メディアグランプリ

回復する覚悟


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記事:Dr Blue(ライティング・ゼミ4月コース)
 
 
私は、日本人初の認定トラウマ専門回復コーチだ。
 
管理栄養士、医科学修士、イタリアで生化学の博士号を取得してきた。だけど、子供時代の数多くのトラウマをカウンセリングだけではちゃんと回復出来ず、トラウマ時限爆弾が爆発して、人生がめちゃくちゃになってしまった……。
 
私は、これまでに350万円以上自身のトラウマの回復の為にお金を注ぎ込んできた。
 
イタリアと日本で7年間通ったカウンセリング。だけど、結局仕事か生きるかの選択を迫られる状況まで追い込まれ、その時は苦渋の選択の末、生きる事を選択して無職になった。
 
そこから2年半、自身のトラウマ回復を本業として取り組み始めた。そして、今から1年程前に、IAOTRC(International Association Of Trauma Recovery Coaching:国際トラウマ回復コーチング協会)でトラウマ回復コーチの資格を取得。そこからまた紆余曲折があって、最近ようやく希望の光が見えてきた様に思う。
 
マーケティングのためのキャッチフレーズで巷では、
「こんなに簡単にトラウマがなくなりました」
 
中には、
「世代間連鎖のトラウマなんて嘘。だってトラウマって45分でも取れるもん。」って断言してしまう、トラウマに対する理解と知識が欠如しているセラピストさんまでも……。
 
ここで一つ言いたいのは、トラウマにも色々あり、回復にかかる時間は人それぞれ。そして何より、どの地点を回復とするのかという終着点も人それぞれであるって事を理解している人があまりにも少なすぎる。だから、資格を持ったカウンセラーでさえ、「何度も同じ事を言っていい加減前に進んだらどうなの」と、2次トラウマになる様な声かけをしてしまう。
 
世の中には、英語だけでも400種以上のトラウマ回復の為の療法が存在する。
 
そして残念ながら、どんなサバイバーでも回復する事が出来る魔法のセラピーなんてものは存在しない。
 
瞑想だって、サバイバーが自分の身体の「危険信号」を無理して、勢いでやろうとしたら、トラウマが悪化して回復に余計に時間がかかってしまう事さえある。
 
そして、現代社会の構想として、私達は自分の身体のメッセージを無視せざる得ない生活を送りがちである。
 
「眠いという身体のメッセージを、カフェインという毒で麻痺させ、仕事に出かけ。
疲れたという、身体のSOSを砂糖という興奮剤でごまかす。
栄養価も、心を満たす要素も0のインスタント食品や出来合いの食品を口に突っ込み。
挙げ句の果てには、興奮しすぎた神経を沈めて寝る為に、お酒という身体依存性が高い液   体を体に流し込んで寝る」
 
果たして、そんな生き方をしていて、本当の意味で「生きている」と言えるのだろうか?
 
イタリアから帰国して、日本のサラリーマンの通勤時の表情を見た時のショックは今でも忘れない。あんなに無表情で、死んだ目をして毎日を生きていたらどんなに辛いだろうか。人間としての、感情を極限まで排除させ、なんとか毎日をサバイバルしている。
 
トラウマの話をすると、多くの人が、私には関係ないとおっしゃられる方が多いのだが、もしその人が自分を麻痺させた「生き方」をされていらっしゃる場合、セルフの状態からみたらトラウマ反応である凍りつき状態もしくはシャットダウン状態にあるのではないかと心配になってしまう。
 
因みに、ここでいうセルフとは、好奇心、思いやり、創造性、勇気、落ち着き、繋がり、明確さ、思いやり、存在感、忍耐、粘り強さ、展望、遊び心がある状態の事をさす。
 
回復は、先ずは自分の現状がいかに危ないかという緊急性を認識する事から始まる。
 
そして、この気づくという事が中々難しい。
 
人間の特性として、強烈な苦痛や、大きな病気をする迄は中々自分の健康や生き方を見直すという事はしない。何故ならば、それでなんとか日々をサバイバル出来ているからだ。
 
次に、気づいたとしても、これまでの生き方を手放していく事は、人間の生存本能に逆らう事になるために、たやすい事ではない。勿論、表面上の問題に対処する事はいくらでもできる。でも、根本的な原因となっている、自分を苦しめているトラウマが正しく昇華されるまではトラウマは、手を変え、品を変え、アナタに問題提起をしてくる。
 
私もカウンセリングで核心に迫ってきた辺りから、
「剣山を手で強く握って、手から血が滴り落ちて自分を苦しめている事はわかるのです。
だけどどうしても、手を開いて、剣山を自分の手から離すという事が出来ないんです。
何故ならば、手放すという事が怖いから」
って、臨床心理士の先生に説明していた。
 
それくらい、回復の道は自分との恐怖と向き合わないといけないものだと、回復の道を辿りはじめて数年経った時点で気付かされた。
 
これは、決してこれからトラウマを癒し、回復したいと思っている人を脅している訳じゃない。ただ、回復の道のりで、もしかしたらそういう感覚に陥る可能性がある事を事前に知っていたら、覚悟もしやすいと思い、経験をシェアしている。
 
そして、もし回復が自分の思い描いているスピードで進まなかったとしても、自分を責めてしまう事だけは絶対に避けて欲しいと思う。
 
何故ならば、ここで自己批判サイクルに入ってしまうと、回復にかかる時間は伸びてしまうからだ。そして、悲しいかな、多くサバイバーは、この内側で起こっている自己批判に日々苦しめられている。
 
この文章を読んで、回復に取り組む事に怖気づいてしまう人が出ない事を願う。
 
そして、回復に取り掛かるタイミングは人それぞれ。
回復の道は決して、楽なものではないけれど、それはアナタの中に眠るダイヤモンドを発掘する旅でもある。何故ならば、アナタがこれまで苦しんだ分きっと同じだけの幸せや喜びが待っているのだから!
 
だから、アナタの気持ちの準備ができた時にこそ、大きな一歩を踏み出して欲しいと思う。
 
 
 
 
***
 
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2022-06-01 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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