メディアグランプリ

自宅がモノであふれる家にならないように決意したお話


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:早藤 武(ライティング・ゼミNEO)
 
 
「うわ、今回のお宅は時間かかりそうだね。手分けして4時間で片付けよう!」
 
日曜日の昼間に仕事が休みということで部屋でのんびりしているところで、社宅で借りている住居のドアの外から威勢の良い男性たちの声が廊下に響き渡っていた。
 
引っ越しかなと思いながら私は何が起きているのだろうかと様子を見るためにドアを開けて、キョロキョロと見回してみると予想とは少し違った光景が目に入ってきた。
段ボールを運び出している引っ越しの光景かと思いきや、2つ隣のお宅から地震でもあったのかと思うほど、家具やゴミ袋や洋服が転がって廊下にはみ出ていた。
どうやら汚部屋を片付ける作業をしているようだ。
テレビなどで片付けられないでゴミ屋敷になって近隣住民に迷惑をかけているという話題は見たことがあるが、ドアからはみ出るくらいに散らばっている家を見るのはだった。
幸いなことに、モノがあふれているだけで異臭が出たりもないようだ。
近隣住民としては少し安心して、作業員の人たちの頑張りを祈りながら部屋に戻っていた。
 
先ほどの衝撃的な光景を見た後で改めて自分の部屋を見回してみるとモノがほとんどないのでホッとする。
現在の自分の部屋は出張ということで最低限の生活サイクルをまわすための生活用品しか持ってきていなかったので、歯ブラシや洗剤類、数日分の替えの衣類のしか置いていなかった。
 
私は仕事の関係で私はあちこち出張することが多い立場にあった。
数週間くらいの短期間であれば、ビジネスホテルに滞在しながら出張先の日々の仕事を片付けていた。
今回は長丁場で半年近くかかるということで、数ヶ月単位で契約できる物件を会社に準備してもらって、入居していた。
 
たまには自宅に帰りなさいという上司のアドバイスを受けて、今週末は時間をかけて車を2時間ほど運転して自宅に戻ることにした。
久しぶりに帰った自宅の郵便受けの中には支払いが済んでいる通知書が入っていたり、近所のスーパーのチラシが入っている程度で、必要なものだけを残して全てゴミ袋に入れた。
友人や同僚が遊びに来ても招き入れることができるくらいには片付いていた。
しかし、ここで決定的にモノを片付けようと決心する出来事が起こってしまったのだ。
仕事に使うために大事に分けて保管していた書類が見当たらなかったのだ。
 
「あれれ、いつも大事な書類はこの辺りにまとめて保管しておくのにどこにやってしまったのだろう」
 
ひとり暮らしにも関わらず、見つからないモノを探している間に不安な気持ちからか独り言が漏れ出てしまう。
これは本格的に片付ける良い機会だと決心して、週末の休みの時間を使って一気に片付けていくことにした。
家の中を手当たり次第では時間がいくらあっても足りないので作戦を立てることにした。
 
参考になったのは、たまたま出張先のホテルのテレビをつけた時にこんまりさんの片付けメソッドを見ることがあった。
手元に残すモノは自分の心がときめくものだけを残してモノの種類ごとに全て仕分けてどんどん捨てていくことを行なうとなっていたが、そのやり方を真似しながらやってみる。
最初はプリント類は基本全て捨ていき、提出物だけ期限を決めて保管する箱に入れる。ここで探していた大事な書類が見つかったのでひと安心になった。
次に衣類は1年着ていないものは次々とゴミ袋に入れていった。
そして読み終わった本も1年は開いていないものは処分するということで、最近手に取っていない本を段ボールにまとめていく。
さらに、最近全く使わなくなったゲーム機が棚からまとめて出てきた。
思い出はたくさんあるけれども、まとまって遊ぶ時間もしばらくは取れないので今回は良い機会だと思って手放そうと決めた。
あんなに昔は夢中になってゲームで遊んだけれども、私も生活スタイルが変わってきたのもあるのだろう。
処分を決めたゲーム機やソフトは近所の買取りができる店に持ち込んで引き取ってもらった。
店員さんからたくさん持ち込んでもらったお礼を言われて見送られて、帰りに少し店内を見回してみると磨き直された商品たちが並んでいて、次の持ち主に引き継がれて楽しくゲーム機とソフトを使って遊んでもらえるなら、モノにとっても本望ではないだろうかと思う。
 
ほぼ毎日使うモノ、季節ごとに使うモノ、使っているだけで気分が上がってきて愛用しているモノを残して自宅はスッキリした。
モノが少なくなったおかげで、どこに何があるのかが分かりやすくなった。
出張先の賃貸マンションの最低限のモノで囲まれた生活が理想になるのだろう。
しかし、思い出の品だったり、いつか使うだろうと手放す決心がつかなかったものも少しは残っている。
これは日付を付箋で貼り付けて、その日までに手をつけなければ、手放そうか決心をしようと自分と約束したのだ。
 
明日は週が明けるので、また仕事が始まる。
そのために向こうの準備は整えてきてあるので、あとは車で移動して戻るだけだ。
モノに囲まれた生活は探し物をする時間を増やしてしまって、自分の生活を無駄にしてしっていたのを改める良い機会だった。
油断をしているとモノが増えて、いつの日か作業員の男性たちが苦戦していたあの部屋のようになっていたかもしれない。
モノが少なくなって少しだけ心寂しい気持ちはあるけれども、また新しい心ときめくモノに出会える機会が作れると思えるので良かった。
 
そうだ、本棚のスペースも空いたので帰りに買おうか迷っていた本を買って帰るとしよう。
 
 
 
 
***
 
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2022-06-02 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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