メディアグランプリ

神様、仏様、ヨモギ様!


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:工藤洋子(ライティングNEO)
 
 
お昼時。
パスタの袋を開けるのに包丁でサクッと切っちゃえと思ったら、愛用の包丁が牙を剥いた。
 
「痛ぁぁ〜〜〜〜!」
 
サクッと切れたのは私の小指だった。
 
ああ、もう無精してハサミを使わないからこうなるんだよ。
分かってる、分かってるけど、とにかく痛い。
血がダラダラと流れてく。
 
でも、大丈夫!
うちにはヨモギがあるから。
 
九州の山の中にある自宅の周りにはどこもかしかも草の茂るところにはヨモギがもれなく生えている。私はキッチンの勝手口を出てすぐにヨモギの葉をちぎってきた。
 
昔、おばあちゃんの知恵袋的な感じで聞いたことはないだろうか?
 
「ヨモギは血止めになる」
 
たかが草と侮るなかれ、その効果はなかなかのものである。
 
斜めに皮膚を切ってしまったため、傷は深くないが結構血が出ているようだ。さっと洗ったヨモギを軽くもみ、傷口に当てる。さすがに即座に止まる訳ではないが、ヨモギの上から絆創膏を貼ってしばらくすると、垂れるほどの出血は止まったようだった。
 
いや〜、やはり困ったときの神頼み、血止めにはヨモギ様ですな!
 
ヨモギは日本全国どこにでも生えている。
街中の道路脇でも、田舎の道ばたでも、人が踏もうが排気ガスが充満していようが、どんどん成長する大変生命力のある植物だ。さすがに真冬は見かけないが、立春を過ぎる2月初旬にはもう柔らかい若芽が出てきている。
 
その生命力の強さ故か、ヨモギには強い薬効があるようだ。
止血効果はそのうちのひとつで、私が何度も何度も包丁で手を切って、人体実験しているので間違いない。息子が幼い頃、お手伝いをしてくれた時に包丁で、それこそサクッと切ってしまったときも、いつもいつもお世話になってきた。
 
止血効果だけではない、ヨモギには他にも効能がある。
 
まず、造血・浄血作用がすさまじい。
よい血液を造り、悪い血液を浄化してくれる作用がある。今、「腸活」がよく話題に上っているが、腸活はいかにキレイな血液を作るか、という点もひとつのポイントだ。あれがよい、これがよい、と健康によいとされるものを食べる「足し算」の健康だけではなく、身体に悪いものを「引き算」思考で取り除いていくことも重要になる。過食や人工添加物の摂りすぎで疲れた現代人の腸には引き算してあげるぐらいでちょうどよいだろう。ヨモギはそれを手伝ってくれる。
 
悪いものを浄化してくれる、とはつまり、デトックス効果があるということだ。美容と健康のために「ヨモギ蒸し」など体験してみたことがある方もいるだろう。蒸気でヨモギの成分が身体に届き、美容効果が抜群に上がるそうだ。私も一度試したことがあるが、草っぽいニオイなどまったくせず、気持ちのよいものだった。
 
そういった健康効果を得るには何も外用だけではない。
ヨモギは食べることもできる。以前、若杉ばあちゃんとして親しまれている若杉友子さんの野草教室に行って、色々と教えていただいたことがあった。
 
春の時期から旺盛になるヨモギは草餅の原料だ。団子にして緑色を楽しんだり、あんこと合わせてお餅として食したりできる。刈って干すと、ヨモギ茶を作ることができるし、早春の2月、3月頃なら軽く茹でて味噌汁の具にしたり、おやきの生地に混ぜたり、和え物の材料としても使える。4月、5月になってくると、アクが強くなるのでアク抜きの下ゆでをする必要が出てくるが、色々と活用することができる。
 
あとヨモギはお灸の原料だ、ということはご存じだろうか?
お灸に使われるモグサはヨモギの葉の裏にある白い綿毛のような成分を集めたものだ。ヨモギをよく乾燥させてから丁寧にもんでいくと、茎や葉からその白い綿毛が外れてモグサになるらしい。生のヨモギ100kgから取れるもぐさはたったの500gだという。一体いつ誰がそれだけの苦労をしてモグサを作り、それが身体に効くことを発見したのだろうか? とても不思議な気になるが、とにかく昔からヨモギは活用されていたらしい。
 
そんな万能なヨモギだが、ひとつ大問題がある……私にとっては。
外用で使う分にはまったく問題ないが、なんと私はヨモギの味が大の苦手なのだ!
 
昔、友人と沖縄料理を食べに行って「フーチバー」(沖縄のヨモギ)のおかゆを頼んだはいいが、私はまったく手を付けられず、友人に全部おまかせしてしまったこともあった。私は野草で酵素エキスをよく作るのだが、ヨモギは一度試しに作ったけど自分ではろくに飲めず、結局人に譲ってしまった。
 
あの苦い味はまだしも、ちょっとスースーする清涼感のある後味が耐えられない。と、そのようにいろんな人に説明するのだが、どうにもこうにも分かってもらえないのだ、これが。草餅も厳密にいえば、口の中がスースーする。あんこがあるからなんとか助かっているけど、お餅は白くていいな。緑色が欲しければ他の野草で付けたらいいじゃない? と思っている。
 
なぜスースー感があるとダメなのか。
それはヨモギよりも苦手な、我が人生の宿敵というべき、ミントの味になってしまうからだ。(個人の感想です!)
 
野草としての苦みに加え、そのスースーとした清涼感を味わってしまうともう食べ続ける意欲を完全に喪失してしまう。だから私は、ヨモギのその素晴らしい効能は外用で恩恵にあずからせていただくことにしている。食用は若芽オンリーでお願いします、ヨモギ様!間の使い方、実に大切だ!
 
 
 
 
***
 
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2022-06-02 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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