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食べたいものだけ、好きな時間に。


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:飯塚 真由美(ライティング・ゼミ2月コース)
 
 
私の「どこか行きたい病」はいつも、突然発症する。
温泉に入ってリラックスしたい! 明日にでも! の症状が多く、夜中に急いで宿を予約し翌日には出発、も何度かあった。
急に決める旅なので、誰かと予定を合わせる間もなく、思い立ったらぴょんと飛び出す一人旅になる。
 
一人で温泉に泊まるときままな反面、寂しさを感じることもあった。
ビュッフェで賑わう夕食会場で1人はちょっと寂しかった。1人客は皆、なんとなく同じ一角に案内されていたのは宿の配慮だと思う。前のテーブルの1人客の背中を見ながら、周りの人とお互いに視線を合わすこと無く食事をしたのを覚えている。
この体験から、1人で温泉に泊まる事からしばらく遠ざかっていた。
 
だが、ある時ふと考えた。
寂しいと思ったのは大勢の中で食事した時だけだったのよね。
それ以外の場面は、自分の好きなように過ごせるのが楽しかった。行き帰りは思いつくままに気になるスポットを訪れ、気になるカフェをハシゴし、呆れるほど何度も大浴場に行った。
 
だったら食事を買って持ち込んで、部屋で食べれば良いのでは?
 
そう思いついたら俄然、「食事無しプラン」の予約でひとり温泉旅を試してみたくなった。
せっかく行くなら、その土地に行かないと味わえない近海物の新鮮なお刺身や、地元のお肉屋さんの揚げたてコロッケなんかも買ってみたい。人気の洋食屋さんのテイクアウトもいいなあ。ちょっと良いワインやお酒を持ち込むのも良いかも、と妄想が湧き上がる。温泉に行くのに、グーグルマップの検索ワードが「魚屋」になっている自分に笑う。
 
食事を持込して泊まってみたら、鳥かごの外に羽ばたいた小鳥のような自由が待っていた。
いいことが沢山あってやめられなくなった。
 
時間の自由は大きい。食事時間は何時から、という決まりが無いからだ。
夕食の前にもう1回温泉に入りたいんだけど、食事時間が迫っているからやめておこう。
温泉に入ってだるくなったのでお昼寝できたら幸せなんだけど、もうすぐ夕食だから起きていよう。
そういう我慢は無し! 好きなタイミングで温泉に入ってリラックスし、至福のお昼寝でリフレッシュできる。夕食の時間は、自分が決める。
 
他の宿泊者が一斉に食事をしている時間帯は、大浴場がガラガラになることが多い。
敢えてその時間帯を狙って大浴場に向かい、大浴場の貸し切りを楽しむ。いい大人になったのに、こっそり端から端まで泳いだのは楽しくて忘れられない思い出だ。
 
食べるものの自由度も高い。食べたいものだけ食べられるのが嬉しい。
自分でリサーチして買いに行ったものだ。自分で選んだということで、満足度が高まる。
私はお刺身が好きなので、魚屋さんで「地魚ばかりで刺盛り、予算これくらいで作ってください」とお願いする。新鮮極まりないお刺身に「おおっ!」と感激すること必至だ。ホテルで食べたいので、と相談するとお醤油や小皿を持たせてくれる親切な魚屋さんも多くてありがたい。
ホテルによっては食器も貸してもらえるので、買ってきたものをプラ容器から陶器の大皿に盛りつけ直すと一挙にステキ感が上昇する。これまた貸してもらったワイングラスにワインを注げば、自分だけに用意された特別な夕食が始まる。
 
夕食を食べに外出するという方法もある。けれど私は宿に着いて一旦温泉に入ると、出かけるために着替えたりするのが億劫になってしまう。メイクも早々に落としてしまったし。
「チェックアウトまでもう靴は履けません体質」になる自分がいる。徹底的に温泉でぬくぬくして、ダラダラしたいのだ。
そんな時、持込の部屋食は最高なのではないか。
 
チェックインまで、気になるお店であれこれ買いつつ宿に向かう。地元の人に愛されるパン屋さんは、朝食用に是非試したい。ケーキ屋さんで迷いながらおやつを選ぶのも楽しい。
手軽にコンビニで全て調達もできるけれど、できれば1軒でも地元のお店に寄って、その土地を感じたい。
観光スポットとは違う、地元の人が利用するお店に寄ることで、ここにはこんな特産品があるのね! なんて新しい発見もある。こんな風に、より深くその土地を知ることができるのが良いなあと思う。
 
滞在中の過ごし方や食べ物の内容に至るまで、全てを自分で決めることができる、それが「食事を持ち込む一人温泉」の魅力だ。
自分で決める。自分で選択する。こうした積み重ねは、たとえ1つ1つは小さくても、帰る頃には大きな満足につながっている。やりたいことをできた、という成功体験だから。
のんびり昼寝をして起きたら温泉、そして遅めの夕食。これは自分で決めたスケジュール。
魚屋さんで買った新鮮な地魚のお刺身を重点的に食べる。これも自分で選択したメニュー。
お目当てのお店が臨時休業だった、とか予想外のアクシデントもつきものだが、そこからどう挽回するかも旅の醍醐味だと思う。
1泊だけでも、さまざまな決定があり選択があり、時にピンチがあり、その都度自分が道筋を決めていく。
振り返ると、こういう旅は細かい事まで色濃く思い出に残っていることが多い。
 
食べたいものだけ、好きな時間に。
「自分で決定、自分で選択」で、自由と満足を得られる食事持ち込みの温泉一人旅。一度試したらきっと病みつきになる。
 
 
 
 
***
 
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