メディアグランプリ

どんなに残念な日でも万歩計は救ってくれる


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記事:村人F(ライティング・ライブ名古屋会場)
 
 
やることなすこと、全て残念になる日がある。
例えばこの前の休日。
私は愛知県の一宮市にいた。
全ては名物のモーニングを食べるためである。
 
県外の人はモーニングといえば名古屋と思われるかもしれない。
だが、ほとんどはドリンクにトーストとゆで卵がつく程度に過ぎない。
テレビに出るようなド派手メニューは、実はこの一宮市が本場なのである。
しかし名古屋に引っ越してから約4年、実際に体験したことはなかった。
そのことにふと気づいた私は、意を決して早起きし一宮駅に向かったのである。
 
きっと、いっぱいカフェがあるんだろうな。
そんな期待をぶち壊したのは駅前に広がるシャッター街だった。
行けども行けども営業時間外の居酒屋しかない。
活気が1ミリもない風景。
街全体が朝は寝るもんだと諭しているように見えた。
30分くらい放浪したが、開いている喫茶店は1件しかなかった。
 
仕方なくその店に行って、その辺と同じトーストとゆで卵が付くモーニングを食べながらスマホで調べてみると、なるほど合点がいった。
そもそも駅前で探したのが間違いだったのだ。
 
そう、ここ愛知県はトヨタ帝国。
全県民がレクサスを所有していると囁かれる車社会だ。
そのため繁盛する条件は広い駐車場である。
だからそんなスペースのない駅前にゴージャスな喫茶店を作ったところで誰も来ないのだ。
実際ネットでオススメされていたのは皆、駅から車で10分以上の店である。
つまり歩きでモーニングを堪能しようとしたメンタリティが、東京に毒された誤りだった。
こうして不完全燃焼になった私は、駅ナカの見たことのないチェーン店のモーニングをハシゴすることにした。
簡単なメニューなのに20分も待たされて余計モヤッとした。
 
しかし幸運なのは、上記が全て朝の話ということである。
だから1日はまだ長い。これからいくらでも挽回できる。
逆に言うと、更に残念な休日を演出する可能性もあるわけだ。
その日はハズレルートだった。
 
チェーン店以外でスーツを買おうと百貨店を回ると、予算の10倍する服しか売っていなくて仕方なくチェーン店で購入するハメになった。
その次はノリノリで骨伝導イヤホンを買いに行ったら思いのほか音漏れが凄くて諦めた。
しかも店内CMでイヤホンの悪い点をアピールされて一体何を買いに来たのかと暗い気持ちになった。
 
やることなすこと全てが何かしょっぱい。
劇的に悪いわけではなく、リアクションしにくいションボリ具合。
ここ数年では上位にランクインする残念な休日だった。
 
そんな時、ふと眺めたスマートウォッチに救いがあった。
こいつに備わっていた万歩計が「17961歩」という数値を示していたのだ。
1ヶ月の平均が5552歩だから約3倍の成果を上げている。
そう、私は今日いっぱい歩いたのである。
 
この事実に気づいた時、心が急に晴れやかになった。
そうか、モーニングを探してシャッター街を歩き回ったのも、百貨店の超高級スーツに泡を吹きかけたことも、全てこのためだった。
つまり1万歩以上歩いた満足感を得るための旅路だったのである。
 
ああ、これこそが万歩計を持つ理由なのだ。
休日など日々の気持ちは主観的である。
それゆえ感じ方次第でブレが生じてしまう。
 
しかし、万歩計は違う。
この数字は客観的な事実を示す。
どんなに暗い気持ちで歩こうが、1万歩は1万歩である。
このように多ければ多いほど評価される絶対的な値なのだ。
そのため気分によらず必ず褒めてくれる実績になる。
だから、どれほど残念な休日を過ごそうが万歩計は救ってくれるのだ。
 
そしてこの事実は、さらなる希望を生み出す。
歩けば歩くほどいいのだ。
つまり車で10分くらいの距離は最高の稼ぎ時ではないか。
だからむしろトヨタ帝国である一宮モーニングは、その意味でパラダイスなのだ。
いっぱい食べた分のカロリーも消費できるから一石二鳥である。
服もいっぱい迷えばいいのだ。探してウロチョロすれば歩数も増える。
このように無駄だと思っていた行為が万歩計を共にすることで生産性を得る。
これこそ人々が持つべき理由なのだ。
 
私はこれからも、万歩計を持って色々なところへ行こう。
その先にはテレビで紹介されたびっくりモーニングが待っているかもしれない。
もしくは1時間放浪しても大した店が見つからないかもしれない。
しかし、どちらでもいいのだ。
万歩計は歩いた分だけ救ってくれる。
仮に残念なことが起ころうと、必ず歩数で褒めてもらえる。
さらにカロリー消費も一緒に計算してくれるのだ。
これほど素晴らしい人生の相棒は他にはないだろう。
 
そして今日も歩きつづける。
何が起こるかわからない愉快な日々を。
 
 
 
 
***
 
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2022-06-15 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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