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神様がみている


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:山本三景(ライティング・ゼミNEO)
 
 
私はいい人ではない。
しょうもない嘘をついたこともあるし、小さな悪いこともしたことはある。
そして、それは必ずといっていいほどバレる。
いや、バレるというか、大変な目にあって後悔する。
その確率は100%といってもいい。
誰かが監視してるんじゃないかと思う。
私は悪いことができない体質なのではないだろうか。
 
まだ幼かった私は、ちょっと悪いことをしてみたいと思い、実際に試みたことがあった。
どんな悪いことを考えついたか……。
 
他の人の迷惑になってはいけない。
でも、ちょっと悪いことをしてみたい。
その結果、考えついたのが、「自分の家に間違い電話をかける」ということだった。
自分の家に電話をかけているだけではないか?
まあ、そうだ。
ともかく、悪い心が芽生えた小さな私は、自分の家に間違い電話をかける計画を立てた。
一応、頭の中で設計図を描く。
 
自分の中の想定としては
 
「もしもし、〇〇さんのお宅ですか? 〇〇くんいますか?」
 
と、自分の家に間違い電話をする。
リアリティを出すために、友達のお兄さんの名前を出す。
小さいながらに完全犯罪を目論んでいる。
 
「うちは〇〇ではないですよ」
 
と、それで終わる予定だった。
頭の中で何度も繰り返す。
自分の家に電話するのも緊張する。
少し声をかえてみようか……なんて考えながら
そして、実行した。
 
プルルルル プルルルル
 
小さな手で受話器を左耳にあてながらドキドキしていた。
誰も出ないことを願っていたかもしれない。
 
プルルルル プルルルル
ガチャ
 
「もしもし」
 
出た!
 
電話に出たのは兄だった。
そして私は想定していたセリフを言った。
よし、これで山場は越えた。
すると、受話器の向こうから信じられない言葉がきこえてきた。
 
「今、うちに遊びに来てるけどかわろうか?」
 
!!!
 
本人がいる!?
まさか、友達のお兄さんが私の兄と仲良しで、家に遊びにきているとは予想外だった。
 
「い、いいです! かけ直します!」
 
慌てて電話を切った。
悪いことをすると神様がみてる! 幼い私はそう思った。
らしくないことはするもんじゃない、そう学んだ。
 
自分のためについた嘘も、やはり自分に返ってきた。
心にやましいことがあると、それは必ず自分に返ってくるので、なるべく正直に、素直な心で生きようと心がけている。
 
悪いことをすると痛い目にあう。
 
そう、わかっているはずだった。
 
しかし、今日は気候のせいなのか、睡眠不足のせいなのか、イライラがMAXだった。
私はマルチタスクで物事を進めるのが苦手なのだが、複数の仕事を同時に進めざるをない日々が続いていた。
仕事の期限がどれも間近に迫っている。
そんなとき、いつもは簡単に許可が通ることが、しつこいくらいに詳細をきかれた。
オンラインツールのチャット上で繰り返されるやり取り。
私の求めるものと、上司の求めるものが違っていたのは仕方ない。
このとき、丁寧に説明するということが抜けていた。
 
なんで、いつもと同じなのに通らない……私だから通らないのか
 
段々とネガティブモードになっていった。
もちろん、イライラしているのはみせないようにはしている。
そして、ついに普段はやらないことをやってしまった。
すこし、愚痴めいたことを書いて後輩に送ったのだ。
そう、送ったつもりだった。
 
送信 Enter!
 
あ……本人に送ってしまった!
誤爆!
誤送信は社会人になってから一度もしたことがなかった。
だって、悪口なんて言わないから。
 
送信内容はこうだ。
「工数を2.5人日に設定したんだけど、多いのではないかと言われまして……この部分については0.7人日にしよう!」
と書いてそれぞれの工程にかかる工数を送った。
 
送ってしまって気が付いた。
もう後戻りはできない。
ギリ大丈夫な気もする。
後輩に送った文章だけど、「言われまして」の部分は敬語じゃない?
何とかごまかせるか……いや苦しいか。
 
宛先、間違ってないですか?
 
そう返信がきた。
 
ですよね……。
そう思いますよね……。
 
確かに宛先を間違えた。
しかし、「間違えました! すみません」とサラッと返すのも違う気がした。
誠意が大事だ。
相談しなければいけないこともあったので、直接、本人をオンラインで呼び出した。
宛先を間違えたこと、自分に余裕がなかったので少し工数を多めにとったことを話した。
誤送信の相手は、私のこれからのスケジュールのことも考えた上で色々と言ってくれたことがわかった。
逆に謝られてしまった。
申し訳なさでいっぱいだったが、お互いの思っていることがわかって、後悔よりもすっきりした気分になった。
 
いつもは愚痴や悪口を後輩に言わないのに、言った途端にこうなった。
相手に嫌な思いをさせてしまった。
 
やはり、神様は私をみている。
悪いことはしてはいけない。
 
そう思って業務を終了した。
 
そして、その夜、ある講義がオンラインであったのだが、全員宛に送信したと思われるチャットが、間違えて私宛にきた。
因果応報なのか。
 
間違えて送られているかもしれません。
 
私は丁寧に返信した。
 
 
 
 
***
 
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2022-06-15 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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