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コーチングを学んだ臨床検査技師がコーチングの技術を使って新人教育してみたら


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:小田恵理香(ライティング・ゼミ4月コース)
 
 
「これ、私にできるんだろうか……」
 
私は現在臨床検査技師として病院で働く傍ら、コーチングを学んでいる。
コーチングとは相手との対等な関係性を大切にしながら、目標達成に向けての主体的な行動を引き出し、気づきを与える支援方法だ。
コーチングスクールに入学し、コーチングのスキルを学んでいる。
最初は講師の先生のその能力に圧倒され、自身も受けてみてコーチングの効果に圧倒された。
だが授業を受けていくにつれて、
 
「自分にこれができる気がしない」
 
と不安が襲ってきた。
受講生同士の練習は何度かしているもののまだ実践経験が浅いからだ。
そんな話になった際に、
 
「日常生活でコーチングを意識してみると良い練習になる」
 
とアドバイスをもらった。
そのタイミングで私に新人教育の話が来た。
神様の思し召しとでもいうべきか、このチャンス使わせてもらうしかない。
かくして私はひっそりとコーチングの技術を新人教育に応用することにした。
自分が新人だった頃を思い出すと、毎日涙していたように思う。
 
「専門学校でなにをやってきたの!」
「技術は見て学びなさい!」
「一度聴いたらできるでしょう!」
 
と毎日とにかく怒られていたのだ。
給料を得て報酬を得ることの難しさ、責任を持って働くことの厳しさ。
できて当たり前の世界。
もう学生でないことは頭ではわかってはいるけど、理不尽だなと感じていた。
そして同時にできない自分に悔しさも感じていた。
今思えばまさに昔ながらの新人教育だったと思う。
その厳しさがあったからこそ、現在しっかり働けているのかもしれないが時代は令和。
巨人の星やアタックNo.1などの昭和スポ根漫画のような教育だけはやめようと決めた。
 
まず意識したのは新人の話を“傾聴”することだった。
ここで少し質問をしたい。
 
あなたは人の話を深く聴けていますか?
自分の関心があることだけ、相手に聞いていませんか?
相手の話を共感しながら聞いていますか?
 
できているあなたは素晴らしい。
できていなかったなと思っても安心してほしい。
私もはっきり言ってできていなかった。
傾聴とは相手の話したいことに対して、深く丁寧に耳を傾け相手に対して肯定的な関心を寄せながら共感して聴くコーチングのスキルだ。
 
とにかく新人の話をうなずき、話を遮ることなくしっかりと聞いた。
これから働くうえでどんなことが不安なのかはもちろん、仕事とは関係ない学生時代のことや、住んでいる土地のことも。
話を深く聞いていくうちにどんどん新人が自らどんどん話してくれるようになった。
人は話を聴いてもらうだけで安心感を得られる。
そして話をしてアウトプットしていくうちに、自分の考えが整理される。
仕事に関することも
 
「あ、私こういうことがわからなかったんです」
「じゃあ、それできるようにするにはどうしようか」
「ちょっと、教科書のあのあたり勉強し直そうかな……」
 
という具合に私がアドバイスをしなくても自発的に今の課題を見つめて、それに対してどう行動すればいいのかを自分で決めて行動できるようになった。
配属されて2週間の出来事だった。
 
3週間目からいよいよ実践的に検査を覚えていくことが始まった。
尿沈渣という検査がある。
これは提出された尿を遠心分離機という機械で、上澄みと細胞成分に分けその成分にどんなものが出現しているかを調べる検査だ。
新人にとっては最初の難関だと思う。
もしちゃんと成分を見ることができなかったら、おそらくかつての私が受けた新人教育で行くと叱責されることだろう。
ここで私は新人を“承認”することを意識した。
 
承認することと褒めることは似ているようで違うものだ。
褒めることは相手の良い点やあげた成果を肯定的に評価し、それを伝えること。
対して承認することは肯定・否定に関わらず、相手の存在そのものを認めること。
特に社会においては結果が出ないとマイナス評価をされ存在そのものが否定されがちだ。
 
いくら学校で学び、資格を取ったからと言ってすぐに仕事ができるかと言われればそんな超人的な新人はまずほとんどいないだろう。
実際に顕微鏡を通して尿中の細胞を見始めた新人も最初からすんなりとはできなかった。
結果が出ないことを嘆く彼女に私は、評価を下すのではなく、まず彼女がしっかりと最後まで顕微鏡で見切ったことを認めた。
そしてこんな細胞が出ていると答えた彼女の意思も認めた。
尿には細胞以外にも、トイレットペーパーや下着などの繊維が混じってきたりするし、尿に含まれているたんぱく質成分が邪魔をすることもある。
だからと言って
 
「こんなことできないの」
 
といった存在を否定するようなことは言わずに
 
「どうすれば鑑別できたと思う?」
 
という具合に鑑別できるようになるにはどうすればいいか、具体的にどんな行動を起こせばよいかよいか気づかせる方向にもっていった。
こうしたことを続けていくうちに自分で気づけるようになり、質問の仕方が変わった。
 
「これ全くわかりません」
 
だった質問は特に指摘もしたこともないにも関わらず、
 
「この細胞、こういう風に見えるのでこれだと思うんですけど、どうでしょう」
 
と医療従事者らしい質問に代わり、自分でここが苦手だからここを意識しようと目標を立てながら仕事を進めていくようになった。
4週目、5週目と覚える検査が増えてもだ。
1か月半がたった頃には一人でしっかり結果を出せるようになり、安心して仕事を任せられるようになった。
そして思わぬ収穫があった。
急遽仕事を休まなければならなくなり、翌日出勤した際に謝ると
 
「小田さんが休みだから、今自分にできることをしっかりやろうと思って昨日は働いていました」
 
と明るく返してくれた。
周囲の人間も、
 
「彼女本当によく頑張ってくれたんだよ」
 
と口々に言っていた。
知り合ってわずか1か月にも関わらず、知らず知らずのうちに私と新人の間にはしっかりとした信頼関係ができていたのだ。
 
思わぬ収穫はもう一つ。
誰もが仕事ぶりを心配している後輩がいた。
そんな後輩が、私の今回の新人教育を見て刺激を受けたらしい。
どんどん自発的になり成長していく新人を見て、私と同じように指導するようになった。
 
「僕もあんな風に指導されて見たかったなと思って。というわけで真似させてもらいます」
 
と言った誰もが頭を抱えていた問題児は、新人にとっても実習生にとっても頼りになる先輩として急成長した。
実は彼にもコーチングのスキルを意識して接していたのはここだけの話にしておこう。
 
コーチングを学んだ臨床検査技師がコーチングの技術を使って新人教育してみたら、新人が自ら考え目標を立てながら仕事を確実にこなせるようになり、1カ月半後には一人で十分任せられるようになった。
コーチングは会社として人材育成のために導入している企業も増えている。
時代は令和だ。
かつてのような叩き上げではなく、自発的な行動を促すコーチングを導入した人材育成がどんどん普及していけばと思う。
 
 
 
 
***
 
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2022-06-16 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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