人生最高に太ったのに、プロに写真を撮ってもらったら凄かった話
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:峰風仁香(ライティング・ライブ大阪会場)
「プロの写真、撮りに来ない?」
旧知の女性社長が、そうお誘いしてくださった。
その方は、エステ店を多店舗展開されている敏腕経営者。
わたしとは昔からの知り合いで、落ち込んだ時にさりげなくお声かけてくれるなど、
いつも内面の変化を敏感に感じとってくださる、メンターのような方だ。
「自撮りとか苦手なんでしょ?
ちょうどうちのセラピストさんの写真を新しくするから、ついでに撮りにきたらいいよー」
「衣装はいろいろ持ってるから貸してあげる。その時に選んだらいいから」
わたしはその時、社長の意図は全く分からず、
ただ軽い気持ちで、プロの撮影いいなあ、と気軽にお受けさせていただいたのだが、
……想像もしていなかった結果が待ち受けていた。
***
わたしはいま、コロナ禍のこの2年で、《人生最高体重》を更新している。
若い時から20年以上ほとんど体形が変わらず、細身とまではいかないものの、
身長154cm、体重45~6kg辺りで安定していたのだが、
新型コロナの感染拡大や各種規制が始まった2020年春ごろから、
仕事もプライベートも大幅にスタイルが変化、
新しく始めることになった仕事になかなか慣れないことへのストレスや、
仕事がようやく片付いた夜中の23時、24時に食べてそのまま力尽きて寝てしまうなど、食習慣も変わってしまったことで、
昨年冬、1年半ぶりの体重計で、ついに人生史上見たこともない数字に突入してしまったのだ。
気づけば+12キロ。
プ ラ ス じ ゅ う に キ ロ!!!!!
当然ながらそこまでいくと、家族はもちろん、会う人会う人に
「あれ、ちょっと(だいぶ)太った?」と第一声で言われるようになる。
新しい誰かと会うたびに同じことを言われるのは正直気が滅入るのだが、不愉快な表情を作るのは苦手なこともあり、
「そうなんですよー、コロナで10キロ以上太っちゃって、へへへ」
などとヘラヘラした対応をするのが常になってしまった。
お腹が二段になっても、二の腕がだるだるでも、太ももが1.5倍に膨張しても、
日常生活にさして支障があるわけではない。
だが、毎日、「コロナで太って」と言い訳を続けるうちに、不格好な部位にばかり気持ちがいってしまい、だんだん、まるで醜いエイリアンを見るような目で自分にダメを与え続けるようになっていった。
それが最近は日常にも影響を及ぼし、仕事に身が入らず行動にムラがでてしまったり、原因不明で2週間ほど体調を崩すなど不調が続くさまを見ていてくれたのが、旧知の女性社長だったのだ。
***
「プロの写真、撮りに来ない?」
そういって、その女性社長は日にちと場所を指定してくれた。
当日、指定されたマンションにお邪魔すると、真っ先に目に飛び込んできたのは、クローゼットにずらりと並ぶ、華やかで露出度の高いワンピースやドレスの数々。
「こ、これを着て撮影するんですか?(新地のお姉さんみたいや……)」
「そう。今日はこれを着て撮影ね。せっかくだから、どれでも好きなのを着ていいからねー」
思ってもみなかった展開に混乱しながら、なんとかその中から、比較的地味な黒っぽい色目のワンピースを選ぶと、すぐに撮影が始まった。
担当してくれた若い男性のカメラマンさんは、超プロだった。
ただのデブった中年、しかも普段撮られ慣れていないど素人の私に、
明るく、人懐っこい笑顔で弾丸のように話しかけ続け、不自然なくらい大袈裟なお色気ポーズを次々指定し、
「はーい、口を閉じて、次は半分空けて、最後にっこり!」「そのポーズいいねえ~」「お姉さんすごく綺麗です!」「これはいけるよ!」などと言われている間に30分の撮影は終了。
露出度の高い衣装への恥ずかしさと、生まれて初めてのお色気ポージングに混乱し、
あのーデブってますから、修正をよろしくお願いいたします……とだけ小さな声で伝えて、社長に御礼を言い、逃げるようにその場を立ち去った。
なんやったんや、この撮影は……
小太りでイタいおばはんが映っているだけに違いない。そうに違いない。
今日のことは忘れよう。
***
3日後、思いもかけないことが起こった。
社長から「綺麗ですよ」とLINEで送っていただいた写真を開いた瞬間、
えええええ! とひっくり返ってしまったのだ。
これまで一度もみたことのないわたしが映っていた。
自分で自分を愛おしそうに抱擁するような腕の組み方、
露出された肌の白さ、柔らかさ、
腰からお尻・足にかけてのボリューミーでなまめかしいカーブ、
それらがすべて溶け合って、エロティックなのに、まるで聖女のようなわたしがそこにあったのだ。
いわゆるアプリでの不自然な加工写真とは違う、
いまの体型のわたしが一番美しく見えるであろう絶妙な角度、プロカメラマンさんの視点、表情の引き出し方、光の当て方。
お腹も、二の腕も、太ももも、しっかり映っているはずなのに……
毎日ダメを与え続けてきた醜いエイリアンは、どこにもいなかった。
***
言葉にならないほどの感動を覚えて、
『写真って、何より癒しのセラピーになるんですね』……と御礼とベタな感想LINEを送ると、
『私もね、いろいろ仕事で辛い時、自分の綺麗なエロティック写真を見てすっごく癒されてるの。これ以上自分がアガるものなんてないんじゃないかな』
『だから、貴女も撮ってみたらいいかなって思って』
『そうなんですね……』
と返信を打ちながらいつの間にか泣けてくる。
『自分が見ているままに人は自分を見るから、美しい写真は自分の世界をハッピーにしてくれる。この写真は私から貴女へのプレゼントね』
こんなに嬉しいプレゼント、いままでもらったことがあるだろうか。
あれから毎日、感謝の気持ちに溢れながら生きている。
この写真はわたしをエイリアンから聖女に変えてくれたのだ。
***
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