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メディアグランプリ

40代からの就活で得たこころ豊かに生きる知恵

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:廣岡 麻紀子(ライティング・ライブ東京会場)
 
 
気づけば半世紀も生きてきた。 若さという圧倒的な武器はなくしたが、それに代わる最強の身の守り方は覚えた。 年を重ねることでしか得られない機知やしなやかさを手に入れた。 自分の感情をコントロールし、と同時に他人のうっすらとした感情も読み取る術も知らず知らずのうちに体得しているように思える。 それは特化型訓練で得られたのではなく、すべては、経験なのだ。
 
長い外資系企業の正社員を夫の転勤にともなって辞したあと、しばらくはわりと気楽な専業主婦とパート社員。 それはそれでなかなかに得難い経験ではあったが、40歳に手が届きそうなところで出産。 それまでに旅行も買い物もそして恋愛もおなかいっぱい楽しんだ、バブルの恩恵を賜った世代。 なのでいまさら焦ることもない、余裕で臨んだお母さん1年生、の、はずだった。 ところが、現実は厳しく、子供がいる、という未知の環境は毎日が発見の連続で新鮮な反面、アウトプットできないジレンマにフラストレーションは増大。 細切れの24時間。 子供はかわいかったし全力で守らねばと思ったけれど、知り合いもいない土地での初めてのワンオペ家事育児は予想以上に精神を破壊しかけた。 なまじ年を取っていただけ、プライドも邪魔をして、周囲に頼り甘えることはなんとなくいけないことだと思ってしまったことでさらに自分を追い詰めた。
 
働かねば。 立ち位置を確保せねば。 この先何十年も仕事をしていないで家庭の中だけで老いていく自分が想像できなかった。 正社員として育休を取っているひとなら職場に戻ることは自然の流れだろうが、いちど完全に専業主婦であった自分が出産してからこの時期にわざわざ働きに出ること。それは子育てのしんどさから逃げることじゃないのか、子供を見捨てることじゃないのか、と、罪悪感が頭をもたげたりした。
それよりも現実的な問題として、今からでも働けるのか、この数年のブランクは埋められるのか。 もとより大した実績やテクニックがあるわけではなかった。 でもブランクが長くなればなるほどつぶしのきかない文系だ。 だからとにかく少しでもどんなところでも働かせてもらえるならそこで実績を作らなければ。 折り悪く世はリーマンショックで失業率は上昇の一途。 選択の余地などなかった。 唯一学生時代から勉強しつづけていた英語がチャンスをくれた。 歩みを止めてはいけない。 今いる環境で最大限できることは何か。 こころをフラットにして考え直した。 浮かんできたのは、丈夫な体に生み育ててくれた両親への感謝と、子供の邪気のない笑顔だった。 健康で守るべきものがある自分って強いんじゃないか。
 
かくして私は派遣社員となった。 自分に手の届く範囲でライフスタイルに合わせやすいのはありがたかった。 軸足はまだまだ家庭に置いておきたかったから、選択肢はさほど多くない。 少々通うのに骨が折れても、全く向いていないと思うことでも、与えられたことに感謝してまじめに仕事に取り組んだ。 何より、会社にいる時間は集中して働けることがうれしかった。 皮肉なものだ。 以前はあんなにストレスを抱えていた職場が一転して自己解放できる場所になったのだから。
 
働きながらの子育てはしんどかったが、充実感は専業主婦の時のそれとは比ではなかった。 子供はどう思っていたのだろう。 忘れられない出来事がある。 ある朝いつものように大急ぎで子供を保育園に預け、ハグもそこそこに立ち去ろうとした背中に娘が呼びかけた。 「行ってらっしゃーい! 大きくなったらこんどは○○(名前)が一緒に会社行ってあげるねー」と手をふったのだ。 思いがけない大きなごほうびの言葉に「ありがとう!お願いねー!」と手を振り返しながら駅までの道をおんおんと泣きながら走った。
 
 
そうしていくつかの派遣先で働くうち、様々なスタイルでの就業にも順応できる適応能力と柔軟性を身につけた。 それに、突発的な変化にも柔軟に対処できるバランス力や、高いストレス下でもやりきることができる忍耐力は子育て経験の中で得たスキルだと思う。
 
1日はあっという間に過ぎ、とにかく「自分の時間が欲しい!」とずっと思ってきたけれど、就活をなんどか繰り返し、静かにこれまでの自分の歴史を棚卸ししているうちにハッと気づいたのだ。
家族との他愛ない会話で笑顔になれる時間も「自分の時間」。 家事も、考えようでは自己鍛錬の時間。 何をしていようがそれらすべて「24時間すべて自分の時間」なのだ、と。
私は片付けは得意だけれど料理が好きではない。 ただ、作るからにはあれこれと知恵を働かせ工夫もする。 段取りを考えて手足を動かしたりしながらいろいろな考えに思いめぐらしたり好きな音楽をかけて時にひとりごとをつぶやいたり。 そうやって気が進まないことでもやってみることでいつの間にか意志の強さや実行力が身に着いたのだ。 家事というルーティンワークのなかで、少々のことでは崩れない自分をつくってきたのだと。
 
どんな経験もすべてが今の自分をつくる伏線であり、今になってそれらをひとつひとつ回収していっている充実感は何に代えることができようか。 費やした時間はすべてが意味のある事で明日につながるってこと。 だから、おばちゃんは最強なのだ。
 
 
 
 
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2022-06-22 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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