メディアグランプリ

ランチを1回我慢して、お花のサブスク始めてみたら


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:横山裕子(ライティング・ゼミ4月コース)
 
 
「お花のサブスク、始めました!」
地元のタウンニュースの記事が目に留まった。
見れば、ご近所のお花屋さん、若いご夫婦の笑顔の写真が載っていた。
 
「サブスクって、なんだったっけ?」
なんとなーく、意味は分かっているのだ。でも、インフルエンサーをインフルエンザの言い間違いと、疑いも持っていなかった私。すぐに、スマホで検索した。
サブスクリプション、いわゆる定額制サービスのこと。
「なるほど、お花の定期便。新しいサービスを始めたんだな~」と、納得した。
 
お花がある生活に憧れる。
雑誌によくみる北欧調の白木の家具に白い小花の花束、玄関に元気が出るビタミンカラーの花、床の間に一輪挿しも素敵! 想像は膨らむ……。
目に浮かぶお花たちは可愛く、部屋はきれいに片づけられ……。
そうなのだ! 片付けられた部屋、それが問題なのだ。
せっかくお花を買ってきても、部屋を見てがっかりでは台無しになってしまう。
「お花のサブスクなんて、まだまだ先だな」と、諦めていた。
 
そんな時、職場で「お花のサブスク」が話題になった。
始めた人の話によると、まず、お店のアプリを入手、登録する。30日間のコースは、二千円でお釣りがくる。初回に小さな花瓶をもらい、並んでいるお花の中から好きなものを一つ選ぶ。その際、アプリのカレンダーにQRコードを読み取る形でチェックを入れる。持ち帰ったお花は別の花瓶に生け、空になった花瓶を持って、また貰いに行くというスタイル。
1日1回だが、毎日行ってもOK!
同僚は、毎日のように通っているという。
ふむふむ、価格としては、ランチに1回行ったと思えば、そんなに高い金額ではない。
写真を見せてもらった。
「可愛い~!」女子会ならぬ、おばさん会の声が上がる。
うわっ、だめだ、やられた~。
カラフルな花たち、添えられたグリーンもまた、いい感じ。
家からも近いし、価格も生花にしてはリーズナブル、「お試しでやってみようかな」と、部屋の片付けはどこへやら、ぐっと惹きつけられてしまった。
 
かくして、「お花のサブスク生活」が始まった。
最初に連れて帰ったのが、ピンクのあじさいと、ブプレリウムというグリーン。よく見ると、薄黄緑色の可憐な花が咲いている。
お店で選ぶときに、店員さんが、花の名前や特徴などを教えてくれる。
忘れないように写真を撮って、名前を書き込み、「花アルバム」を作った。
2日に一遍のペースで通って、お花をもらう。毎回、いろんな花に出合え、店員さんとの会話も楽しい。
 
そして、肝心の片付け問題は、どうなったか……。
なんと、少しずつではあるけれど、今までよりは進んでいる!
最初に飾った玄関は、余計なものは収納したり処分したりして、拭き掃除、何年振りかで花瓶敷まで引っ張り出した。花を飾ると、靴まで収納したくなり、古い靴は処分、三和土まで掃除してしまった。その行動力に、自分でもちょっとビックリ!
「なーんだ、やればできる?」いやいや、油断は禁物。
けれど、お花のそばに雑多な物を置きたくなくて、周囲だけでも片付けるようになったのは、嬉しい変化だった。
 
サブスク仲間との会話も、季節の花の話題や、花を長持ちさせる方法など、楽しい情報交換の場となった。
花々が、サブスクによって生かされ、それぞれの家で楽しんでもらえることが、とても嬉しかった。
 
それというのも、ある光景を思い出したからだった。
学生時代、お花屋さんに憧れて、バイトをしたことがあった。
お花に囲まれて、さぞや楽しいバイトになるかと思いきや、手は荒れる、花と水の入った重たいバケツを持ち上げて、腰は痛くなる。その上、一日中立ちっぱなしの過酷な仕事だった。
なかでも衝撃だったのは、お店に並んで数日たった薔薇の花を、やおら取り出し、ごみ箱の上でバチバチと切り始めた時だった。
まだ数日は楽しめる、しかも1本500円もするバラの花を捨ててしまうなんて……。
明るい姉御肌の店主は、「持っていきな!」と、時々、花を持たせてくれた。
商売上、時間が経って持ちの悪くなった花を、お客様に売るわけにはいかないという。
それはその通りだ。でも、細かく刻まれた花が哀れだった。
 
サブスク用に並んでいる花は、比較的、丈が短い。
途中から折れてしまったり、少し時間の経過したものでも、お花屋さんでしっかり処理されている花であれば、水切り(水の中で茎を切ること)しただけで、長持ちする。
長いまま飾ったり、花束にするのでなければ、十分に花を楽しむことができる。
捨てられる花は少なくなるに違いない。
 
花を飾るようになってからは、花瓶の水を取り替えたり、元気がなければ水切りをしたりして、お花のご機嫌を伺っている。手間が増えたと言えば、そうなのだが、プチ片付けでスッキリした場所に咲く花をみると、気にならない。
ふっと息が抜け、穏やかな気持ちになれる。
 
お花のサブスクは、日々の生活を彩り豊かにしてくれた。
そして何より、いのちあるものを最後まで慈しむ、そんな心の豊かさまでプレゼントしてくれた。
「どんなお花と出合えるかな」
今日も、足取り軽く、お花屋さんへ向かう。
 
 
 
 
***
 
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

お問い合わせ


■メールでのお問い合わせ:お問い合せフォーム

■各店舗へのお問い合わせ
*天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。


■天狼院書店「東京天狼院」

〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
TEL:03-6914-3618/FAX:03-6914-0168
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
*定休日:木曜日(イベント時臨時営業)


■天狼院書店「福岡天狼院」

〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
TEL:092-518-7435/FAX:092-518-4149
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00


■天狼院書店「京都天狼院」

〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
TEL:075-708-3930/FAX:075-708-3931
営業時間:10:00〜22:00


■天狼院書店「Esola池袋店 STYLE for Biz」

〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-12-1 Esola池袋2F
営業時間:10:30〜21:30
TEL:03-6914-0167/FAX:03-6914-0168


■天狼院書店「プレイアトレ土浦店」

〒300-0035 茨城県土浦市有明町1-30 プレイアトレ土浦2F
営業時間:9:00~22:00
TEL:029-897-3325



2022-06-29 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事