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病気を経験して良かったと思うこと


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:園田夢実(ライティング・ゼミ6月コース)
 
 
この記事を読んでくれているあなたは、24時間テレビで闘病生活を送った人の話を聞いて、涙を流したことはあるだろうか。
医療ドラマで病気と闘っている人の姿を観て、心を動かされたことはあるだろうか。
人はきっと病気というものから感じること、学ぶことがたくさんあるだろう。
私もそのうちの一人だ。
 
私は2、3歳頃から10歳まで、周期性嘔吐症という病気を患っていた。
周期的に嘔吐が止まらなくなってしまう病気で、自家中毒とも呼ぶらしい。
私の場合、年に3回くらいこの症状が出て、そのたびに数日学校を休んでいた。
この病気の原因は不明で、やせている子ども、特に女の子に多くみられるらしい。
根本的な治療法はなく、症状が出るととにかく嘔吐が止まらないため、ご飯を食べるどころか飲み物を飲んでも吐いてしまう。
栄養を取ることができなくなってしまうため、症状が出ると毎回深夜であっても急いで病院に行って点滴を打って症状が治まるのを待つ。
2時間の点滴をだいたい2本打って家に帰り、それでもまた吐くこともしょっちゅうで、するとまた病院に行って点滴を打つ。
これが3回くらい続くと、「入院しましょうか」と言われ3日ほど入院する。
これで自然と症状が治まり、また普段の生活に戻る。
 
私のこの病気が発症するのは、新しいクラスになって気持ち的にストレスがかかる5月頃と、クリスマス前でワクワクしている12月頃と、誕生日に胸を膨らませる3月頃。
毎年だいたいこれくらいの時期に発症していた。
だからクリスマスの夜は病院で過ごすことは普通だったし、誕生日もぐったりしながらお祝いされるのも珍しくなかった。
 
私はサンタさんを心の底から信じており、25日になった瞬間にサンタさんが来てプレゼントを置いていくものだと思っていた。
ある年のクリスマス・イブ、例のごとく発症したため23時くらいに両親が車で病院に連れて行ってくれた。
点滴を打ってとりあえず家に帰ると、時刻は深夜2時。
ということはすでにサンタさんはプレゼントを置いていってくれているんだ。
そう思って毎年プレゼントが置かれているクリスマスツリーの下をワクワクしながら覗いたが、そこには何もなかった。
「あれ、0時ちょうどに来るんじゃないんだ」
ちょっとだけ幻滅したのを覚えている。
私の病気の思い出は、こんなものばかりだった。
 
病院の先生からは「10歳くらいになれば自然と治るよ」と言われていた。
先生の言う通り、10歳になったら本当にぴたりと発症しなくなってしまった。
 
中学生になってから、総合的な学習の時間で「疾病」や「環境」などのテーマから自分で好きなものを選び、数週間情報を集めてクラスの前で発表するをするという機会があった。
私は自分の病気のことを何も知らなかったので、自分の病気のことを調べて発表することにした。
このとき、初めて自分が患っていた病気のことを調べ、向き合い、考えた。
物心ついたときにはすでにこの病気を持っていたので、自分が病気であるということをあまり意識したことはなく、調べることもなかったし疑問に思うことすらなかった。
だからこの授業が始まったことは私にとってはすごくいいきっかけだった。
 
発表用の資料を作るために、どんな治療をしていたかなとか、どれくらいの頻度で発症していたかなとか、いろんなことを思い出してみた。
 
数時間おきに吐くの辛かったな。
夜寝ているときに吐いて布団を汚したこともあったな。
夜中でも病院に行ったりして大変だったな。
入院中は寂しくて泣いたこともあったな。
 
そんなことを考えていると、ふと家族の顔が思い浮かんだ。
 
私が吐くといつも背中をさすってくれる母。
夜中でも急いで病院まで連れて行ってくれる父。
当時はまだ小学生だったのに、深夜であっても家でお留守番をして待っていてくれる兄姉。
 
そういえば、母は前にこんなことを言っていた。
「夢実のお腹がきゅるきゅる鳴るのを聞くと、ちょっと昔を思い出しちゃう」
 
当時は私もすごくしんどい思いをしていたけど、それと同じくらい、もしくはそれ以上に辛い思いをしていたのは家族だったのかもしれない。
確かに発症したときは身体的に辛かったけれど、精神的な辛さを感じたことはあまりなかった。
きっとそれは、こうして家族がずっとそばにいて支えてくれたからなのかもしれない。
 
どんな病気でも、本人はもちろん辛い。
病気と闘うことは決して楽なことではない。
けれど、一緒に闘ってくれる人がそばにいる。
私の場合はそれが家族だったけれど、友人や恋人、主治医の先生だって一緒に闘ってくれることもあるだろう。
当時はまだ小さかったから気付くことはできなかったけれど、家族が一緒に闘ってくれていて、私はとても幸せだったんだなあ。
家族のありがたみを感じることができたから、病気になって本当によかった。

 
 
 
 
***
 
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。

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2022-07-06 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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