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ハイナンジーファンは、永遠に答えの出ない実験を楽しめる、食である。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:森本裕子(ライティング・ライブ東京会場)
 
 
7月になって、せっかく夏の始まりを楽しもうと思っていたのに、一気に真夏みたいになっちゃいましたね。
 
こうも急に暑くなると身体がついていかず、食欲が落ちてしまう人も多いかもしれませんが、秋まで毎日そうめんでいいやって訳にもいかないと思うので、今日はハイナンジーファンの魅力について紹介していきたいと思います。
 
ご存知でしょうか? ハイナンジーファン。
漢字で書くと、海南鶏飯。
もう少しなじみのある言葉だと、海南チキンライスとか、シンガポールチキンライスとか、呼ばれています。
 
今日私が紹介したいハイナンジーファンは、シンガポールの名物料理です。シンガポールでは、高級ホテルのレストランでも、町の料理店でも、ホーカーズという屋台でも、色んなお店でそれぞれの味が楽しめます。もちろん日本のシンガポール料理店でも食べることができます。
 
私が初めて食べたのは25年以上前になります。元々シンガポールに住んでいた事もあり、一度食べたらその魅力にハマってしまい定期的に食べ続けています。
 
季節的にはちょうど今、日本の夏至の頃から本格的な夏に向けて食べたくなる事が多いです。というのも気候的に常夏のシンガポールに一番近い時なので、体が本能的に欲しているんだと思います。つい先日も東京のシンガポール料理店で楽しんできました。
 
ハイナンジーファンは、基本構成がある程度決まっています。
 
1しっとりと茹でられた鶏肉
2鶏のだしで炊かれたごはん
3赤・白・黒の3色のソース
4鶏だしのさっぱりスープ
5パクチー
 
この5つの要素が、日本の定食みたいに、お盆の上にレイアウトされています。お店によって、鶏肉とごはんがワンプレートになっているものもあれば、ごはんは茶碗に盛られている場合もあります。
 
私が、ハイナンジーファンにハマってしまった理由は、美味しいのはもちろんなんですが、
お盆の上に乗っている5つの要素を、どのバランスで組み合わせて、どうやって食べ進めるかは、食べる人の自由。無限の組み合わせを試して楽しんで味わえる所なんです。
 
鶏肉は、しっとりとはまさにこの事、という位やわらかく茹でられていて、ツヤツヤの真っ白い鶏肉を口に入れると、余計な味付けをしていないので、鶏の旨味だけをギュッと味わえます。(お店によっては、茹で鶏と、揚げ鶏を選べたり、ハーフ&ハーフで両方楽しめる所もあります)
 
ごはんは、日本のお米よりも細長い形のジャスミン米と呼ばれるお米を、鶏のだしで炊いてあるので、少しベージュがかった色をしています。タイやインドのお米特有のプンとする香りと鶏だしの香りが合わさって、お米一粒一粒に鶏の香りとだしと旨味が染み込んでいます。
 
3つのソースは、とうがらしの辛味と酸味が刺激的な、赤いチリソース、生姜の香りと辛味で清涼感のある、白いジンジャーソース、中国醤油のコクと甘みが濃厚な、黒いブラックソイソース、と3色3様。それぞれ単独で茹で鶏に付けてもいいし、複数のソースを混ぜてみると味や香りが複雑になり、自分だけの新しいソースが誕生します。
 
スープは、塩味をほとんど感じない、さっぱりとした鶏だしのスープ。茹で鶏とごはんを楽しむ合間に飲んで、口をさっぱりさせるものいいし、れんげにのせた茹で鶏やごはんをスープに浸して口に入れると、口の中でスープかけごはんになって、サラサラッと食べられちゃいます。さっぱり味に飽きてきたら、3つのソースを溶かし入れると、味変も楽しめます。
 
パクチーは、アクセントに欠かせない存在です。そのまま食べてもいいですし、鶏にも、ごはんにも、スープにも、ちょっとパクチーを添えて一緒に食べると、特有の香りと味で、一瞬で異国の地へ飛んでいけそうな気持ちになります。
 
こんな風に、5つの要素それぞれ1つずつでも十分美味しいのですが、どれとどれを、どうやって組み合わせるか、誰にも何にも縛られる事なく、一人で自由に試して口に入れてみるのが、ハイナンジーファンの醍醐味だと私は思います。
 
「一巡目は、それぞれの素材の味をまずは楽しんで……」
「3つのソースを混ぜたスペシャルソースで、茹で鶏を食べてみよう」
「鶏肉を一回スープに浸してから、ごはんにのっけると、ジューシーさがマシマシになる!」
「これって、ぜーんぶを一緒に口に入れてみたら、一体どんな味になるんだろう?」
 
何だったら一口ずつ全部違う食べ方をしてみたくなっちゃいます。
 
1つ1つの要素がすごく個性的な味という訳ではないのですが、色々試してみるといつも組み合わせの妙があり、新しい発見があって、探求が尽きる事はありません。一人であれやこれやと、答えのない実験を繰り返していると、気づいたら最後の一口、なんて事もあり食欲がイマイチでも楽しく美味しく食べられちゃいます。
 
食べる人に食べ方を押し付けず、それぞれ好きな味加減にして、好きな食べ方で楽しんでくださいね。というスタンスが、多様性に富んでいて、ごちゃまぜ文化を愛する、多民族国家のシンガポールらしい食だと思います。
 
 
 
 
***
 
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2022-07-12 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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