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3回転職して伝えたいこと。


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:田村光平(ライティング・ゼミ4月コース)
 
 
「おれの可能性を、この会社の外で試したい」
 
そう思ったのは、29歳になった2017年の冬だった。
 
当然というか、当時の会社に対する不満もあった。
 
方向性の見えない経営者。
仕事中にお茶やお菓子を食べながら、気楽におしゃべりをして業務時間を終えられることに満足しているお姉さま方。
本当に40歳を回っているのかと思うほど、言っていることが支離滅裂で、しかしプライドだけは高いお偉いさん。
 
おれはもっと成長できる環境で働きたいし、それができるはずだ。
 
4年勤めて、新しい環境を求めていたというのもある。
1浪して入った大学を23歳で卒業してから、2年近くはアルバイトの傍らで野球をしていた。
大学時代の怪我の影響が大きかった。
15年続けてきた野球を捨てて就職するまでには、それだけの時間が必要だったのだ。
 
25歳の冬に、同い年から3年近く遅れて就職したのは、石鹸やシャンプーを作るトイレタリー製品のメーカー。
 
工場勤務だった。
 
昭和の色濃い、役職と年齢がものを言う世界。
夏場はとにかく気温も湿度も高く、ムワッとする工場で、半日働いたグレーのTシャツを絞ったら、雑巾のように汗がボタボタと垂れてくる。
 
給与は、額面で月28万円。
年2回、1ヶ月分の賞与つき。
 
今思えば、そんな環境でずっと働いていくつもりは、最初からなかったのだろう。
 
会社が終わった後は、マーケティングや経営の本を読みあさり、土日は20万円もする広告業界のコピーライティングセミナーに参加していた。
 
転職するなら広告業界に行こう。
 
それは働きながら考えていたことだった。
 
それなりに心の準備をして、会社をやめると決断したものの、働きながら就職活動を進めることは、初めての転職体験者にはなかなかハードなものだった。
 
4月に退職した時には、結局まだ1通の履歴書も送っていない始末。
 
広告業界に29歳の未経験男性が転職するのは、思った以上に難しかった。
自分がエージェントを利用していれば、採用する側には100万円以上のコストもかかってくる。
 
応募を受ける企業にとって、自分があまり魅力的な人材でないことも、当時はよくわかっていなかった。
 
色々な採用系のアプリにも手を出した。
 
最初に入ったところは、社長含めて全員で4名。
入っていきなり、
 
「資料作ってみて」
 
といわれ、
最初の1週間は、Googleで検索しながら、一度も見たこともない営業資料らしきものを、見よう見まねで作ってみた。
 
次の1週間は、
 
「動画作ってみて」
 
といわれ、
触ったことのないカメラを持って街の風景を撮影し、見たこともないAdobeの動画編集ソフトの使い方を必死にYouTubeで検索し、墨田区のプロモーション動画らしきものを作ってみた。
 
さらに次の1週間は、
 
「町内清掃してみて」
 
といわれ、
箒とちりとりで1週間、朝から晩まで渋谷区の清掃をしていた。
 
そして3週間が経過した後、
 
「もう来なくていいよ」
 
といわれ、
時給1000円で換算した、3週間分の給与が入った封筒を渡された。
 
その後、たくさん登録していた採用アプリのひとつから応募していたWebマーケティング会社に、なんとか就職することができた。
業務は、コピーライティングの勉強を活かして、メールマガジン(メルマガ)を書き続けること。
 
給与は、額面で月25万円。
賞与はなし。
 
そこの会社で2年弱働いた。
業務はとても初歩的なもので、Webの世界では下働きみたいなもの。
それでも、自分が思った方向に就職できたことが嬉しかった。
 
ただ働いているうちに、この仕事を続けていても、大したスキルのある人間にはなれないことに気がついた。
 
ローンを組んで、数十万円もするオンラインスクールに通って、Webデザインを学んだ。
 
借金を抱えながら学んだスキルで、未経験からでもWebデザインをやらせてくれるという会社に、再度転職。
 
給与は、額面で16万円。
賞与はなし。
その年で32歳になる4月だった。
 
Webデザインの仕事は、ほとんどやらせてもらえなかった。
業務は、さらに他のオンラインスクールに数十万円を払って身につけた、HTMLとCSSのコーディング。
 
それと、オンラインセミナーで自社のオンラインスクールを売るセールス。
 
それまで住んでいた家の家賃はとても払えず、親に引っ越し費用を借りて、家賃共益費込み4万2千円の、木造アパートに引っ越した。
 
残業手当はない。
深夜や土日でも、仕事があればやる。
 
その会社で働く中で、今の会社の社長と出会った。
ハングリーに何でもやっていた姿勢を買ってもらえたのだろうか。
34歳になる今年の4月から、その社長の下で働いている。
業務は、Web広告の運用やWebコンテンツのライター。
 
給与は、額面で32万5千円。
賞与はなし。
契約形態は業務委託。
 
結論からいうと、私は4年前に転職という一歩を踏み出して、本当によかったと思っている。
 
多くの苦労を経験して、いろんな会社を見て、世の中を知った。
最初の会社で優秀だと思い込んでいた自分は、とんでもなく自惚れていただけでしかなかったのだ。
転職をしなければ、それに気づくこともなかっただろう。
 
色々な会社で得た知見は、特に同業の会社では役に立った。
転職を重ねるごとに、会社に対してできる貢献は大きくなっていく。
 
働けることや、進んで勉強することに、喜びを感じられるようになった。
趣味で業務にも関わる本を読んでいる、それだけで評価をしてくれる人も少なくない。
 
新しい世界に飛び込んだ時は、その時が1年生だと思えるようになった。
自分より10歳若い会社の先輩に敬語で接するだけで、親しみやすい謙虚な人だと言ってくれる人もいる。
 
全て、あの時に一歩を踏み出したからこそ得られたものだった。
29歳のおれ、本当にありがとう。
 
今、この文を読んでくれているあなたは、29歳のおれのような悩みを抱えてるのだろうか?
 
もしそうなら、思い切って転職してみることをおすすめしたい。
 
その先にどんな困難が待っていても、給与が下がり続けても、会社を転々とする自分の将来が不安になっても、それでも実現したいものが、きっとあなたにもあるはずだから。

 
 
 
 
***
 
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2022-07-20 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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