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メディアグランプリ

コツコツ人間は、プロセスを愛し、人生の復習をする様に、文章を書く。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:森本裕子(ライティング・ライブ東京会場)
 
 
「きみって、優等生だね」
 
これまで、そう言われた事が何回かあるけど、全然褒められている気がしなかった。どうも別の意味があるに違いない。一度辞書で優等生を調べてみたら、成績優秀者という意味の次に、そつがない、個性がない、面白みに欠ける、と書いてあって、そうだったかと、妙に納得してしまった。
 
そう、私は目立った個性がない人間だ、という自覚がある。
 
最初に気付いたのは幼稚園の時だ。いつもクラスの真ん中にいるのは、ひょうきんでやんちゃな子。おゆうぎ会の時も運動会の時も、話題と笑いをナチュラルに振りまいている。私はクラスの輪の真ん中にいる事もなく、だからといって輪から外れる事もなく、ほどよく普通の幼稚園生を謳歌していた。
 
中学では個性を大切に、個性を伸ばそう、と耳にたこができる位言われ続けた。勉強や部活や行事で、オンリーワンの個性を発揮するクラスメート達をよそに、私は目立ち過ぎず落ちこぼれ過ぎず、毎日を過ごしていた。
 
その結果、自分の個性の乏しさを、目の当たりにする事になったのは、大学の入学式の日だ。
 
ものづくりやデザインに興味があった私は、東京の美術大学いわゆる美大に行く事になったのだが、入学式の日、当たり前のように、きれいめのジャケットを着てキャンパスに向かった私は衝撃を受けた。
 
同級生達は、古着の柄シャツに膝が破れたデニム、草木染の渋い焦げ茶色の着物、当時流行っていたむじんくんという宇宙人のコスプレ……など、自分自身を表現するファッションに身を包んで、入学式に来ていたのである。
 
「あぁ、私って、なんてつまらない人間なんだろう」
 
入学1日目にして、帰りの電車で大いにへこんだ記憶がある。
 
そんな訳で、自分らしさを堂々と発揮している周りの人達がキラキラと輝いて見え、私には、人を一瞬で惹きつけるユニークな個性は無いんだと思っていた。
 
そんな私も、どうやら個性らしきものが1つだけある。
 
それは、コツコツ続ける、事である。
 
仕事はもうすぐ25年、趣味は15年以上、一度好きになったら1つの事を長く続けるし、やると決めたら時間がかかってもやる。最初から続ける事を目標にしているというよりも、気付いたら10年経っていた、という事も多いのだが、これだけはもしかしたら私の個性と言ってもいいんじゃないかと思っている。
 
私が、コツコツ人間を自覚するようになったのは、今の仕事を始めて数年経った頃。ある日職場の人に、
 
「仕事がいつも丁寧だよね」
 
そう声をかけてもらった。何でそう思われたのか尋ねてみると、毎回ミーティング議事録が分かりやすく書いてあるから、との事だった。それを読んだらミーティングに出ていなくても内容が分かるから。と理由を話してくれた。
 
言われてみれば確かに、私はミーティング議事録を書く時に、ミーティングの場で話された内容をそのまま書くのではなく、ミーティングで決まった事、決まらなかった事、その理由、次回までの課題、の順に整理して書き、関係者に毎回共有していた。
 
自分では当たり前の事として続けていたが、その人が言うには、仕事の準備に時間をかける人は多いけど、終わった後の仕事が丁寧な人は中々いないんだよね。という事なのだ。
 
思いがけない声かけに、気をよくした私は、それからも終わった仕事の整理整頓を、コツコツと続けるようになった。つまり仕事の復習をするのである。思い通りに運んだ仕事はどこがポイントだったのか、結果が思わしくなかった仕事は何が原因だったのか、似たような事が起こったら次はどうするか。
 
そして段々と、仕事だけにとどまらず、趣味や家の事や人とのコミュニケーションについても、1つ1つのプロセスについて振り返りをする様になり、自然と復習が身についていった。
 
そして今は、自他ともに認める「課題整理屋さん」となった。
 
……さてここまで、個性について思う事を書いてきたが、私は恐らく、幼少期から学生時代、個性というものを勘違いしていた。集団の中で目立ったり、パフォーマンスするのが、個性だと思っていたのである。私にとっては、息をするように普通の行動でも、周りの人から見て「〇〇さんって、△△だよね」と言ってもらえる事こそが個性なんだと、今は思う。
 
これまで約4ヶ月間、全16回のライティング・ゼミの課題を一度も休まず提出できた。途中で挫折しそうになる事もなく、幸いネタ切れにも困らなかった。これもコツコツ人間ならではの、なせるワザなのかもしれない。
 
そして、講義で教えていただいた内容を復習し、自分自身の体験談をありのままに綴っていった私の文章を読んで、
 
「読者の心に届ける事ができている」
「響く読者は多いのではないかと思う」
 
と言ってもらえたフィードバックが、また1つ、私の個性を発見する事につながった。
私、コツコツ人間は、日々の1つ1つのプロセスを振り返り、人生の復習をする様に、文章を書くという、自分らしさを手に入れたのである。
 
 
 
 
***
 
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2022-08-03 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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