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来年の夏は三国花火へ。


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記事:石橋香織(ライティング・ゼミ6月コース)
 
 
花火といえば、どの花火大会が頭に浮かぶだろうか。東京であれば、隅田花火大会や神宮花火大会、地方で有名な大会といえば、長岡花火大会だろうか。私は花火といえば、三国花火を思い出す。みなさんは、この三国花火という花火大会を聞いたことはあるだろうか。
 
三国花火は、福井県にある日本海に面している湊町、三国町の湾で行われる花火大会である。毎年決まって8月11日に開催される。昔良く訪れていた花火大会で、この花火には、他にはない特徴がいくつかある。
 
花火といえば、夜空に浮かぶ大きな尺玉の花火。ここ三国花火でも、もちろん大きな尺玉の花火が夜空に打ち上げられるのだが、なんと言っても一番の特徴は、ここでしか見れない水中花火である。わずかに海面より下に船から花火を仕掛け、水中で爆発させる。その後、海面に半円を描く花火のことだ。海辺に何艘もの船が繰り出し、次々に仕掛けをかけていく。いくつもの半円の花火が放たれる。中には特大の水中花火もあり、半円ながら浜辺まで届きそうな勢いである。その半円の水中花火の合間に夜空に打ち上げられる色とりどりの花火。上に下に横に、それは豪華絢爛な競演である。見逃すまいと必死に目で追いながら、その美しさにため息がもれる。
 
この花火の特等席といえば、波打ち際である。遅く訪れると、そこしか空いていない場合もあるのだが、波打ち際に座ると、大尺玉の花火が頭上に降ってくると錯覚するほどの迫力を感じることができる。いや、本当にたまに頭上に降ってきている時もある。できれば、浜辺に寝転ぼう。ごろんと寝転んで空を見上げていると、夜空が一層広く感じられる。その夜空に打ち上げられた花火が、一番高いところでボンっと開き、花火の残り線があたかも自分に向かって降り注がれていく、そんな体験をすることができる。最近は、椅子付きの有料席も販売されているが、浜辺の前の方に陣取ることをお勧めする。
 
そして、ここでしか得られない究極の体験がある。
概ね、この花火の時期は晴天に恵まれるのだが、花火そのものを楽しむ前に壮大な自然の仕掛けがある。この日でなければ一番のクライマックスになり得るぐらい迫力のある、日本海に沈む夕日と真っ赤に染まる空間である。
花火が始まる数時間前から浜辺に座ってほしい。はじめは海水浴の家族連れもいて、まだ汗ばむ時間だ。そのうち、時が進むにつれ、潮風が吹き始める。だんだんその風が気持ち良くなってくるとともに、海のはるか上に佇んでいた太陽が沈み始める。眩いばかりだった太陽が徐々にはっきりした輪郭を結び、海面に近づいていく。太陽の光が海面に反射してきらきらと光の道筋を作りながら、太陽は赤みを帯び、空を染め上げていく。いつの間にか周囲の会話もやみ、数分の静寂とともに夕日は海に沈んでいく。真っ赤に染まりきったと思った瞬間、太陽は跡形もなくなる。同時に、空は青みを帯び、漆黒に変わり海を交わっていく。遠くに漁火というイカ釣りをする船の灯りが点々と見え始める。辺りが暗くなってくると同時に、ざわめきが戻り、皆そわそわしてくる。明るいアナウンスの合図で、花火大会が始まる。海に沈む真っ赤な夕日から漆黒の夜に移り変わり、花火は始まる。このまるで映画のような一連のシーンは他では目にすることができない格別な体験だ。
 
最後に、翌日には旅の醍醐味である食も忘れてはいけない。三国は、古き良き湊町の面影も残しつつ、新しい食文化も発信している場所でもある。もちろん有名な旅館が経営している新鮮な海鮮丼を食べれる美味しいお店もあるし、古くからの土地の名物、酒まんじゅうも名店が軒を連ねている。加えて、昔の問屋を改築した新進気鋭のフレンチや、三国や福井で取れた野菜、フルーツや塩をベースにしたジェラート屋さんもある。古い街並みを散策しながら、美味しい食にも舌鼓を打てる、そんな場所だ。
 
2024年には北陸新幹線が福井まで開通する。おそらく今までよりも多くの旅行客が福井まで足を伸ばす機会が増えるだろう。世界最大級の恐竜博物館、100年前の景色と変わらない佇まいと今でも修行僧が垣間見れる曹洞宗大本山永平寺、火曜サスペンス常連の崖と白波の東尋坊などの名所を訪れるだろうが、そのうち三国花火も名所の一つとして人気が爆上がるはずである。
今年の三国花火大会は、すでに終了している。実は、来年の夏が三国花火に行ってみるのに最適なタイミングである。新幹線が開通した後だと、もう浜辺に寝転ぶスペースは残されていないかもしれない。まだ、それほど多くの人に知られていない今、多くの旅行客で混み合う前に、この特別な花火大会を体験してみませんか。
 
 
 
 
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