メディアグランプリ

デジタル対アナログ


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記事:中村健二(ライティング・ゼミⅡ)
 
 
今、私達夫婦の中では静かな戦いが行われている。
デジタルか?
アナログか?
それが問題だ。
妻は家でピアノを子供達に教えている。
典型的なアナログ派だ。
最近妻がぼやくのは、本物のピアノを買う生徒が減り、電子ピアノを購入する生徒(結局、親だが)が増えてきているという。
電子ピアノを購入する家は昔からも少なからずいたが、最近はますますそれに拍車がかかっているのだそうだ。
妻に言わせると、
「電子ピアノは結局スイッチを押すだけで、機械が設定した音色を出しているのに過ぎない。本当にピアノを上手になるのはホンモノのピアノに毎日触れる以外ににない」
なのだそうだ。
習い事をしたことがなく、楽譜も読めない私は
「へー、そんなもんなのねー」
と適当な受け答えをするしかない。
そんなことよりも、私が最近気になっているのが、DTM=デスクトップ・ミュージックだ。
ETVでヒャダインと岡崎体育がやっている番組では音楽制作ソフトで音楽を作る楽しさが紹介されている。
この前見た回では、ピコ太郎をプロデュースした古坂大魔王が、オリジナル音源全くなしで、
ソフトに付属しているサンプル音源や市販されているMIDI音源を購入して、それを編集して1曲に音楽を制作する方法が解説されていた。
「うーん、これなら、自分でも訓練なしに音楽が作れちゃうかも……」
と毎回、音楽を作る欲求にかられてしまう。
でも、気持ちだけで、実際には実行に移せてないのだが……
私達の世代では、音楽を習いに行ける家というのはレアケースで、ごく限られた家だっただけだったように思う。全世帯調べたわけじゃないけど。
40年前もやはりピアノを家に所有して、ピアノが練習できる人はごく限られた家庭だったのだ。
実際に私の家の周辺では、団地が多くて、ピアノを習っている人はいなかったように思う。
確かに、団地でアップライトピアノを置くだけでも邪魔だろうし、団地でピアノなんか弾こうものなら、騒音になってすぐに隣近所に怒鳴られそうだ。
電子ピアノならまだしも、ホンモノのピアノは中古といえども結構な価格だ。
しかも、折角はじめたのに子供が途中で挫折したら、ピアノはただのインテリアになってしまう。
つまり昔は庶民にとって、子供にピアノを習わすなんて、金に余裕がある選ばれた人だけの贅沢だった。
これがピアノ教育の普及により、そんなにお金に余裕がない人でも習わすようになったことで、リアルピアノよりも電子ピアノの購入が増えてしまうという皮肉な状態になっているようだ。
「つづくかどうか分からんものに、そんな金が出せるか!」
と言う父親の方が多いらしく、ピアノの購入を巡って、母親と父親の意見が分かれしまうケースも多いようだ。
妻の指導によって、娘も物心ついたときからピアノを練習している。
やはり、ピアノやらバイオリンやら、クラシックの音楽は、小さい頃から始めないといけないらしい。
となると、私たちのような幼い頃に音楽を習う人は
「はい、残念でした。来世でいい家の子に生まれ変わったら、習いなさい」
と、今世での楽器演奏習得のチャンスは遠のいてしまう。
そう言えば、大人になってこれまでいろいろ楽器は買ってきたけど、一度もまともに習うどころかろくに触りもせず、例に漏れずにインテリアになってしまった。
大人になってから楽器を習うというのも、また時間とお金に余裕がないとなかなか実現しえないことなのだ。
そこでDTMだ。
DTMなら音楽の基礎知識が全くなくても、なんとなく音楽らしきものが作れてしまうらしい。実際にはまだ実行に移してないんで、本当のことは知らんけど。
私は、デジタルやITのおかげで、なんとか生きてこられたのだと思っている。
コロナ禍で立ちゆかなくなった飲食店を閉めて、ライティング業が成立したのも一重にインターネットがあったればこそ。
そもそも田舎にいながらライティングを習得できたり、情報収集に本を大量に読めたりしたのも全て、ネットが普及していればこそだった。
読書量が加速度的に増えていったのは、明らかにAmazonのおかげで、どんな希少本でも手に入れられるようになったし、地元の図書館がネットで予約できるようになり、しかも県にある図書館の蔵書が全て借りられるシステムになったからだった。
ライティングで生活できるのも、ネットでクラウドソーシングがあって、自宅で気軽に始められたからだった。
DTMにしたって同じだろう。
これが5歳からスタートしないといけないとか、ピアノを購入しないといけないという細かな制約があったら、誰も手をつけないはずだ。
特定の条件がなければ参入できなかった壁を、デジタルは取っ払ってくれた。
ライティング、イラスト、音楽、動画作り、
昔だったら、縁遠かったはずの人達が、ものづくりができるようになったのだ。
今の子供達は本当に恵まれているのか、不幸なのか。
私の中では結論はまだついていない。
 
 
 
 
***
 
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2022-08-24 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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