メディアグランプリ

私の推し菓子


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:たかむろシゲユキ(ライティング・ライブ名古屋会場)
 
 
私はおいしいものをすすめるのが苦手です。
それは自分の味覚センスにあまり自信がないから。自分がうまいと思ったものをみんなが全員ナットクしてくれるか。いつも不安です。
ただこれは違う。この和菓子はだれにも「うまいですよ」と推薦できます。その名は「御座候」。この文字で本体がすぐに浮かぶのはかなりの通か、兵庫生まれの方でしょう。
ゴザソーローって「侍」に関係があるの? と連想するのが一般的。私もはじめはそうでした。この御座候は一度食べたらぶっちぎりで熱い熱いファンになってしまう、ひれ伏してしまう「日本甘党」の総裁になってもいいくらいの力を持っている、と私は訴えたい。
 
もったいぶりましたが、御座候(ござそうろう)はいわゆる「大判焼き」のことなのです。これでもピンとこない人には「回転焼き」でどうでしょう。では「今川焼き」では? ええい、太鼓焼きは? 二重焼きならいかがです?
ここでアタマに円筒形で直径約8センチ×タテ2.5センチ、基本色はクリーム色の栗色が混ざった色。その中にふんだんにあんこが詰まった和菓子という風貌がイメージできましたか。さすがに、ここまで解説したら「あれだ! 」とピンとくるでしょう。
 
御座候の魅力を語る前に、まず名称の多さに不思議に驚く私がいるのですが、あなたはいかがですか? どうやら44種類ほどあるらしいのです。これにはいささか驚きますよね。
さらに、この形状の和菓子をどう呼ぶかで、どちらの出身かがほぼわかるというから驚きなのです。たしかにケンミンショーなどのテレビバラエティでは定番のネタとなっているなと……。
「今川焼でしょう」と言えば、たいていが関東あたりの人。
「大判焼きでしょう」と言えば、ほぼほぼ北陸、東北、四国あたりの人。
「回転焼きや、それ」と言えば、ずばり関西あたりの人でしょうか。
それほどに全国に広がっているのに名称はバラバラ。たい焼きは全国共通なのに、です。実は名称がかなり混在しているんですよね。といって、カレー肉は豚派か牛派で語られる「岐阜・三重県境説」のような黄金ラインがあるわけではありません。
かなり適当に混在分布しています。その理由は「うちの店では○○と言ってしまおう」「うちの地域では○○でいこう」「小説にあったからそれでいってしまえ」と、ネーミングはかなりいい加減が許された、ゆる~い和菓子らしいのです。
 
では本題です。
私がどうして「御座候」をイチ押しにするのか。
それは目の前でライブで焼いてくれる立ち振る舞いが実にカッコイイのです。すし職人のようなイナセな風情の店員が磨き上げた銅でできた焼き機の凹みにクリーム状の皮になる材料を流し込み、続いて赤あん・白あんを専用の30センチほどの筒状の器からリズム感よく乗せていく。それが実に華麗で見事なのです。ほれぼれします。さすがプロ!と合いの手を入れたくなります。たい焼き屋のように焼き器具を裏表にガチャガチャひっくり返すような雑さはありません。
 
そして第2が「絶妙な甘み」なのです。餡が甘すぎず、混ざり物なし。粒あんの小豆の食感そのままなのです。ほんのりとしたほくほくさとしっとりさがたまりません。実はいままで食した回転焼きは、なかの餡がちょっとぱさぱさ系でしっとり感に欠けているのです(売れるまで時間がかかるので中が乾燥するのかもしれませんね)。
御座候はしっとり感とどっしり感の甘みで私のハートを射抜いたのです。
 
第3が「御座候」というネーミングです。見た目でもない、作り方でも、土地の名前でもない名付け。あまりに衝撃的なこの名称。いちど聞いたら忘れない強烈ワードはどこから来ているのでしょう。
妻さんが兵庫県姫路の人なので、彼女に登場してもらいます。
「えーとね、御座候ってのは昭和25年に創業の会社の屋号だって。お客さまにお買い上げいただきありがたく御座候、というところからとったんだって」
妻さんは突然、「エッ、スゴッ!」と言うなり起き上がり……
「なになに……創業当初はごく普通の回転焼を売るお店でしたが、戦後の物資不足の中でもお客さまは本物の味を求めていると……なるほど。希少だった上白糖や北海道産小豆などの高価な材料を使ったんだって」
どうも、当時は一般的には1個が5円程度だったのに御座候は倍の10円。しかし本物志向の回転焼は大ヒット!いつのまにか「回転焼をください」ではなく「“御座候”をください」と注文するようになったとのこと。このエピソード、たまりません。当時は倍でも、今は1個95円(税込み)はスゴクないですか。他での相場は120円~150円もするんですよ。
会社の屋号で呼ばれているものをそのまま真似ることはさすがによそはできない。歩く商標登録のようなものです。さすが!
 
中味は粒あん・しろあんの2種類のみ。カスタードやチーズ味などへの迷いなし。店頭で「赤3、白2」と注文するだけなのも超ラクです。
本物をここに見つけたり。みなさんの舌ならず心をとりこにすること、まちがいなしかと……いちど食べてみて御座候。
 
 
 
 
***
 
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2022-09-07 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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