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「ディフェンス環境」と「オフェンス姿勢」で好きなことを仕事にする


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:福島かざり(ライティング・ゼミ8月コース)
 
 
「好きなことを仕事にしたい」「嫌なことはやりたくない」
そんな理想を抱いたことがあるのは、私だけではないだろう。
 
現在29歳の私は、好きなことを仕事にできている方だと思う。小学生の頃から好きだった作文の延長でライティングを仕事にしているし、基本的にはパソコンを使った在宅ワークだから苦手な早起きをする必要がなく、好きな時間に働けている。
 
しかし、最初からこうだったわけではない。好きなことを仕事にする、は言葉の陽気さに反して、簡単に手に入れられるものではないのだ。6年前の私は家賃を払うことも難しくて、母から経済的援助を受けていた。
 
そもそも私が経済的に困窮したのは、大学卒業後に新卒で入社した会社を、わずか3ヶ月で退職してしまったことに始まる。退職した理由は、海外の取引先が政治の関係で閉じてしまって経営状態が著しく悪くなったとか、営業に配属されたはずがそんな経営状況だから現場に出され、肉体労働ばかりだったとか。
会社を責めることはいくらでもできるが、今になってふりかえってみると、私はあの時、そんな環境に耐えられなくなって逃げたのだ。
 
文字通り、ある朝から会社に行かなくなって、全ての連絡を絶った。会社からの連絡はもちろん、当時は精神的にかなり落ち込んでいたから、友人からの連絡も無視。正確には、返す気力がなかった。
 
たった3ヶ月、されど3ヶ月。23歳の私の未熟な精神がボロボロになるには、十分な時間だった。
 
家からも出られなくなって、生活はいつの間にか昼夜逆転するように。起きてもやることがないからゲームをしたり、ダラダラとスマホを眺めたり。人間の悲しさのひとつは、何もしなくてもお腹が空くことですね。収入はないけど、腹は減る。腹が減ったらご飯を作る。ご飯を作るには光熱費がかかる。生きているだけでお金がかかる。
 
この時期は、母からお金をもらって何とかご飯を食べていた。成人して、大学まで卒業させてもらったのに、さらにお金をもらうことに罪悪感はあったが、断ったら生きていけない。せめてもの気持ちで、感謝と謝罪の言葉は欠かさなかった。
 
そうして何も成さない日々が数ヶ月ほど続いたある日、時間が病んだ心を癒してくれたのか、少しずつ「このままではいけない」と気力に似た感情が湧くようになった。散歩程度なら、家からも出られるようになった。とはいえ、アルバイトに応募したり、就職活動に挑むほどの元気が戻ったわけではない。
 
さて、どうする? その時思いついたのが、自分でブログを立ち上げて文章を書くことだった。当時はブロガーと呼ばれる人がインフルエンサー的に活動しているのが目立っていた時期で、私は小学生の頃から文章を書くのが好きだった。そして、家からはまだ出られないけれど、家の中にはパソコンとネット環境があった。
 
人気を集めていたブログを参考に、わからないところはネットで調べながら、少しずつ形にしていった。一念発起だったから、ブログのタイトルやコンセプトも細かく考えた。途中、「こんなことしても意味ないかも……」と落ち込んだ日々に戻りそうになりながらも何とか踏ん張り、2016年11月に個人ブログ「ONESELF Lab(ワンセルフラボ)」をスタートした。コンセプトは、「もっと自分を知るための研究室」
新卒で入った会社を早々に逃げ出し、信じられなくなった自分のことを、一から知っていきたいという思いを込めた。
 
ブログの開設をSNSで告知し、最初の3ヶ月は毎日記事を更新した。読んだ本の感想や美味しかった店の紹介、生活の中でのふとした気づき。思いついたものは、何でも言葉にした。その過程で自分がどんなことに興味があって、どんな考え方をし、何を好んで嫌うのかを少しずつ知っていった。
 
「毎日書くなんてすごいね」と言われたこともあったが、あの頃の私と社会との接点はブログだけだったから。
 
無気力の中で、日々をやり過ごすためにコントローラーを握っていた手は、パソコンのキーボードを叩くことが日課になっていた。そうやってガムシャラに過ごして半年ほど経った頃、ブログを読んでくれている人が「お店の取材をして欲しい」「ブログの書き方を教えて欲しい」と声をかけてくれるようになり、それが少しずつ仕事になっていった。
 
もちろん、最初はお金にならない。ランチをご馳走になる、交通費が出る、1,000円もらう、5,000円もらえた……と段階的に登っていって、今では一記事5万円で書くこともある。人によっては、「一記事たったの5万円?」と鼻で笑う人もいるだろう。
 
でも家賃を払うことも難しい経済状況から少しずつ階段を登ってきたから、私にとっての5万円はすごい額だ。万里の長城……は言い過ぎだが、東京タワーぐらいの階段は登ってきたと思う。次に目指すは、スカイツリーかな。
 
結果的に、今の私は小学生の頃から好きだった「文章を書くこと」を仕事にできている。
 
でもそれは、子育てを18歳、20歳といった年齢ではなく、経済的に独り立ちするまで、と長い目で捉えてくれていた母のおかげである。また、一度は闇に飲まれたものの、少しずつ自分の足で立ち上がってくれた過去の自分のおかげでもある。
 
頼ることができて守ってもらえるディフェンス的な環境と、その中で自分の足で攻めていこうというオフェンス的な姿勢が繰り返された結果、今の生活にたどり着いた。ディフェンス、オフェンスは主にサッカーやバスケットボールで使われる言葉で、ディフェンスが守る。オフェンスが攻めるという意味を持つ。
 
「好きなことを仕事にしたい」そんな理想を抱いている人は多いだろう。だが、叶えられている人は少ない。でも、もしその理想を追いかけるのなら、「ディフェンス環境」と「オフェンス姿勢」を意識してみるのはどうだろうか。
 
私は今、一旦は好きなことを仕事にできているが、これがいつまで続くかはわからない。
 
その不安から、以前は母が作ってくれたディフェンス環境を、今度は自分で用意することにした。具体的には、これまでの仕事のポートフォリオと貯金である。
 
そして、こうして天狼院書店のライティング・ゼミに通っているのは、オフェンス姿勢だ。好きなことを仕事にし続けるために、文章力のアップを図っている。
 
この繰り返しがうまくいけば、きっと今の楽しい生活を維持し続けられる。もしかしたら、もっと良い生活が待っているかもしれない。そんな理想を夢見て、今日も私は人生の攻防を繰り返す。
 
 
 
 
***
 
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2022-09-22 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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