メディアグランプリ

空中のアクティビティ、ジップライン


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記事:板井さやか(ライティング・ゼミ6月コース)
 
 
「ジップライン」というアクティビティをご存知だろうか?
山や森のなかで高いところに架けられたワイヤーを専用の滑車を使って滑り降りるアウトドアのアクティビティである。
イメージとしては木々の中を「アァーアァー」と叫びながらターザンのように空中を移動するのに似ている。
ただし、ターザンのように木のツタにつかまる代わりに、ワイヤーにかけられた座面付きハーネスに体をあずけて空中を滑走する。
私のような2階建て一軒家の屋根の上にも立てないような高所恐怖症で、ジェットコースターに乗れない人でも、地上数十メートルの空中と時速約110kmのスピードを克服し、楽しむことができる最高のアクティビティだ。
 
冬になると日本のみならず世界中からスキーヤーが訪れる北海道のニセコに日本最長のジップラインがオープンした。
私が訪れた日は2つの台風の合間で雲一つない天気、空気が澄み渡っており、
ニセコを象徴する羊蹄山が「蝦夷富士」と呼ばれる理由がはっきりとわかるほどきれいに見えていた。
体験したのは最初に約400メートル級2本で高さや速さに慣れる練習をし、最後に目玉である1,700メートルのもので締めくくるプランだ。
 
まずは山のふもとのロッジで受付を済ませ、同意書にサインをする。
同意書が出てくるアクティビティ、なんだかドキドキである。
 
続いて、装備を装着。
座面のついたハーネス、小学生の帽子のような黄色のヘルメット、眼鏡・サングラスなど目を守るアイテムを身に着けたら、今日の相棒となるトローリー(滑車)をもらう。
このトローリーが山の中に架かっているワイヤーにはめられ、私たちをふもとへ運んでくれる。
これで準備完了。
 
ジップラインは山の高いところから低いところに向かって滑り降りるので、まずは山の中腹にあるスタート地点へ出発だ。
最初に冬はスキーヤーたちを運ぶのにも使われている8人乗りのゴンドラに乗る。
ゴンドラにはインストラクターの女性も同乗しており、いろいろと質問する。
「最高時速が110kmと書いてあったけど本当ですか?」
「木の枝が足に当たることはないですか?」
「これまで有名人は来ましたか?」
しかし、本当に聞きたかったことを聞く勇気はなかった……
「これまで怪我した人、落ちた人はいますか?」
ここまで来てそれを聞いてももう引き返すことはできない禁断の質問である。
 
10分程度でゴンドラタイムは終了。
スタート地点に着いたと思いきや、ここからさらに車で上に向かうという。
道中は車1台が通れる幅の道路があるが、その両脇には草木が生い茂っている。
奇しくも、北海道では野生の熊が出没するニュースが頻発しており、じわじわと不安が出てくる。
 
車はクネクネした山道を進み、スタート地点に到着した。
スタート地点は木製のやぐらで、高さ3階建てくらいの階段を登っていく。
まずはインストラクターのお手本。
てきぱきとトローリーをコースとなるワイヤーに装着し、ためらうことなくスタートした。
そこで信じられないことに、トローリーの持ち手部分から手を放して両手を広げたのだ。
インストラクターによるとスタート時はしっかりトローリーを握っている必要があるが、コースに出た後は手を放して大丈夫とのこと。
ただし、手を広げると空気抵抗が大きくなり、(体の正面が)横向きになったりスピードが落ちたりするという。
「なるほどね、どうしようかな」などと考える暇もなく、早速私の番が来た。
 
「スタートの時は足はまっすぐ前に向けて、ゴールのときは足を広げて垂らしてください」というシンプルな説明のあと、高速3カウント。
「はい、いきまーす! ワン、ツー、スリー」
確実に3秒かかってない。
 
ワイヤーに吊るされた時点で全体重はハーネスの座面にかかっており、スタートした瞬間はフリーホールのように大きく真下に体が落ちる感じがする。
しかし、グワっとするのはその一瞬だけで、その後は怖いとか不快といった気持ちは一切なくなる。
ひたすら高さとスピードに圧倒されながらも、すぐ横に見える羊蹄山の大きさと美しさに息を飲んだ。
1本目と2本目はそれぞれわずか30秒なので、景色を楽しみながらも、高さと速さに慣れてきたところで終了し、いよいよ3本目。
今日のクライマックスである全長1,700メートル、時速110kmに挑戦するときがきた。
2回の練習でスピードのコントロール方法と余裕を身に着けたので俄然最強な気分!
またまた高速3カウントでスタート。
横にはきれいな羊蹄山、正面に見える景色はひたすら自然でとても美しい。
聞こえるのは自分が風をきる音だけ、なんだかこの世界には自分だけがいるような気分になる。
今まで経験したことのないスピードで、今まで経験したことのない高さを移動しているのが信じられず、飛んでいるようにも思えた。
両手両足を大きく広げ、映画『タイタニック』の主人公のように「I’m the King of the world !」と叫びたい気分だ。
「キャー」とか「フー」とか、実際に声に出してみると本当に気持ちがいい。
壮大な自然のなかでこれまでに味わったことのない解放感を感じた。
不思議なことに普段は恐怖の対象である高さも速さもまったく怖いと思わず、心の底から楽しむことができた。
さらなる高速を楽しみたいけど、もっと長くゆっくりとこの体験をしていたいという葛藤で、スピード調整のため足を曲げたり伸ばしたりした1分半で経験した解放感と感動を私は忘れることはないだろう。
 
ジェットコースターが苦手でも高さと速さを体験してみたい人、壮大な自然を体験したい人、そして日常からの解放感を感じたい人、次の休みにジップラインはいかがだろうか。
 
 
 
 
***
 
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2022-09-29 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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