メディアグランプリ

「250年前の経済学者に学ぶ仕事論」

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:高木宏明(ライティング・ライブ大阪会場)
 
 
「仕事が多すぎて残業地獄、早く帰りたい」
「会社のジョブローテーションで職種が変わって慣れない仕事で苦労している」
早く仕事を終わらせたい、もっと仕事を効率的に回せるようになりたい。
そう思ったことはありませんか?
 
私はあります。20代、会社員生活でその悩みを抱えていました。
毎日100~200通のメール。電話もクライアントからの問合せやこちらからの確認電話で毎日20本以上。部署移動で慣れない職務の中、毎日毎日遅くまでオフィスに残って仕事をしていました。心を亡くすと書いて忙しい(いそがしい)という漢字になる、その意味を心底味わう日々でした。
 
ある時、直属の上司ではなく一つ隣の部署の先輩に相談しました。その先輩は私以上の仕事を抱えているはずなのにいつも余裕があり、残業しても19時には帰宅していました。
ひとしきり私の悩みを聴いたあと、「私の仕事のやり方を教えるね」と先輩は、
 
「まず午前中はメールの処理。これだけに集中する。1通当たり遅くとも5分以内。例え電話が掛かって来ても会議中で折り返すといってすぐに切る。とにかくメールだけやる」
 
「13時~16時は電話やミーティングの時間。その時間帯に入れるよう調整する。ミーティングは無駄な時間も多いから裏で資料作成や頭の中で検討したいことを整理する」
 
「16時以降は臨機応変に対応。終わっていないことや翌日以降の仕事の段取りをする」
 
「あと君の場合は、分からないことで悩んでいる時間が多いように思う。五分悩んだら上司や先輩に聞くべき。悩む時間は無駄と割り切った方がよい」
 
 
それまでは何か作業をしていても割り込みの電話やミーティングで中断したり、集中して取り組めなかったりした。しかし、もらったアドバイスを意識すると仕事はどんどん早くこなせるようになった。メール一つでも、よく使う文章は変換辞書登録する、箇条書きで簡素に要件を伝えるなど、自分なりの工夫を凝らしてスピードUPを意識した。
それから半年も経つと当初の半分以下の時間で同じ量の仕事をこなせるようになったと思う。(ただ、仕事が早くなった分、さらに仕事を振られるのがサラリーマンの悲哀であったが…)
 
◇経済学者アダム・スミス著「国富論」1776年出版
20代の体験から5年後、私は経済学者アダム・スミスの書いた「国富論」を読んだ。国富論は経済学の古典的名著だが、その中の分業論のページには先輩と同じアドバイスが書かれていた。
 
 
アダム・スミスは裁縫用のピンの製造工場を観察して
「何の訓練も受けていない者がピンを製造しようとしても1日に1本が作れるかどうかだろう。訓練をしても一日20本を超えられない」
 
「しかし、一人が針金を引き伸ばし、2人目がそれをまっすぐに延ばし、3人目がこれを切り、4人目がそれを尖らせる、5人目は頭部を作る(中略)。これにより10人で一日48,000本のピンをつくることができる。これは一人当たり4,800本のピンを製造していることになる」
 
工程を分業することによる4,800倍の生産性向上。
その理由についてもアダム・スミス記している。
① 分業により作業を単純化させると職人はそのプロセスの技術向上ができる
② 分業することで1つの作業から別の作業へ移る時の無駄な時間を無くすことができる
③ 各職人はごく単純な目標に集中し、適切な器具の使用に気づく(創意工夫が進む)
 
 
この国富論で書かれた分業論のアイデアは、その後も自動車製造工場などあらゆる生産の現場で取り入れられており現代社会の繁栄のもとになっている。
 
 
250年前と現代とでは、仕事の内容は大きく変化している。しかし、国富論で書かれていた内容は、私が受けたアドバイスとその後の試行錯誤の日々と同じ。そのエッセンスは現代でも通用する。
 
もしあなたが過去の私と同じような仕事の悩みを抱えているのなら、
「仕事内容を工程分解できないか考える。一つ一つの工程に集中して取り込む、その工程の効率向上のために創意工夫を考える。もし作業中の割り込み要因が発生する(例:電話)ならそれをどうやったら排除できるか、もしくは一カ所の時間に集中して対応できるか考える」
 
1ヵ月もしない内に驚異的に仕事のスピードが上がると思います。
よろしければ参考にしてみて下さい。
 
先輩と経済学者アダム・スミスに感謝して。
 
 
 
 
***
 
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2022-10-12 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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