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ぼくと母の3,000日戦争

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:吉田雄太(ライティング・ライブ福岡会場)
 
 
突然ですが、周りに「ありがとう」と日頃から伝えていますか?
「え、何かの勧誘をされるの?」
いえ、そうではありません。そんなことはしませんよ。
この内容を通して、「ありがとう」と伝えることを大切にしてほしいのです。
なぜかって? それは、私が「ありがとう」と伝えるようになってから、とある冷戦が終わったからです。私は3つ下の弟、仏のような父、礼儀やお金に厳しい母の4人家族です。
「息子に苦労をかけたくない」
そんな思いで育ててくれた母は、
「勉強しなさい」
「歯医者は行きなさい」
「お金の貸し借りは絶対ダメやけんね」
「自分も相手とも決めた約束は守りなさい」
こんなことを幼少期から口酸っぱく言っていました。
「わかってるって!」
これが私の口癖でした。そうなんです。「わかったよ、ありがとう」と一言お礼を添えればいいだけの話なんです。でも、それが言えなかった思春期の私は、何かするたびにあれやこれやと言ってくる母といつの間にか話さないようになりました。
会話と言えば、「ただいま」と「行ってきます」ぐらい。母は、そんな何も話さない私に、
「何かあったの?」
と聞いてくれていたのですが、それも無視する思春期の私。
とうとう呆れて何も言わなくなりました。それは、まさに母と私の冷戦でした。
そんな中で仏のように怒らず、何も言わない父が
「ママが寂しそうにしてるぞ。何か話してあげたら?」
といつも間に入ってくれていました。
「いや、いい」
ここでも強がる私。(今思えば情けないですね)
思春期が終わり、大学へ進学してもなかなか終わらない冷戦。さすがの私でも、
「両親へ恩返ししたい」
そう思うようになりました。
「でも、小学校6年生から続くこの冷戦をどうやって終わらせよう……」
そんなことを考えているうちにあっという間に二十歳になってしまいました。
ここで私に転機が訪れました。
そう、成人式です。
成人式に両親は来なかったのですが、そこで救世主が現れました。
中学校卒業の時に書いた「二十歳になった自分への手紙」です。
読んでみると、
「よう。元気か? 二十歳の俺って何しているんだろうな。大学に行ってるか? 彼女できてるか?」
冒頭からかなり上から目線で思わずクスッとなりました。読み進めていくと、
「そろそろ両親に感謝しているか? 母となかなか話さなかったこの4年間を俺は本当に後悔している。今からこんな後悔する人生を送るなよ。じゃあな」
グサッと心に何か刺さる感じがしました。
「そうだ……母と話そう。このままじゃダメだ。ちゃんと育ててくれてありがとうと伝えよう」
帰ってすぐに両親への感謝の手紙を書きました。今まで「ありがとう」なんてろくに口にしなかった自分にできる最善の方法だと思ったんです。
そして、照れ臭くて何も言えず、そのまま両親に渡すと、二人とも涙を流していました。
父は「ありがとな」と一言だけ。
母は、「何も話してくれないから寂しかったのよ。ごめんね。手紙ありがとう」
温かい風が吹き込んでくるようでした。
「ああ……伝えてよかった」
それから両親とも色々話すようになりました。最近の出来事から彼女の惚気話までなんでも話せるようになったんです。
それから私は「ありがとう」と伝えることを大切にするようになりました。
大きなことから些細なことまで何でも思った時には「ありがとう」と伝えています。
この文章を読んでいる方は「ありがとう」と普段から言えていますか?
直接言うのは照れくさいかもしれません。でも、たった五文字の「ありがとう」を伝えるだけで、相手も自分もいい気持ちになれます。直接言えないのなら、置き手紙でもいいんです。絶対に日頃から伝えることを大切にしてください。
今の日本は、約3人に1人が3年以内に離職、3組に1組が離婚、そのような状況です。
どちらにも共通した理由が「人間関係(上司や結婚相手)が上手くいかないから」です。
なぜ人間関係が上手くいかないのか、その理由は感謝のラリーが足りないからだと思っています。
妻や夫に「ありがとう」と言えていますか?
上司や部下に「ありがとう」と言えていますか?
人は慣れると感謝を忘れがちになります。
私の会社では、「感謝の朝礼」という、最近あった感謝を述べる時間が毎朝あります。
時間にすると約1時間。
一般的な会社の業務連絡や朝礼は数十分だと思うので、かなり長いと思います。
なかなか無い会社の制度なため、会社に来る方から「長いですね!」と言われたり、ネットでは「宗教だ」と言われたりします。
でも、この時間が大切なんです。
感謝を言う場を毎朝作ることで、その後の仕事も気持ちよくスタートできますし、何よりお互いのコミュニケーションが増えます。
非効率が効率をうむ。
効率ばかり考えがちな世の中に、感謝が増えればいいなと思っています。
 
 
 
 
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2022-10-26 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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