自分の知らないものに対しての心持ち
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記事:後藤灯(ライティング・ゼミ9月開講)
「落語」って、なんか、うーん……おもしろい、のか……??退屈になりそう……
これは、私が「落語」を聴くまでの正直な心境である。
私の通う高校では年に1回、この時期に「芸術鑑賞会」なるものが開催される。去年はゴスペルソングを聴いた。そして、今年の「芸術鑑賞会」は「落語」だった。
「落語」ってどういう芸能なのか分かっていなかったのもあって、「落語」に対して少し抵抗があった。しかし、「落語」が始まってみると自分でもびっくりすることに、話に引き込まれ、気づいたら声を出して笑っていた……! この「芸術鑑賞会」は私の中に存在した「落語」に対する「おもしろくなさそう……」という負の感情を、見事に抹消してくれた。「落語」って私が生まれる何百年も前に登場したはずなのに、共感し思わず笑ってしまうような話だ。はるか昔に生きていた人と現代に生きる私のツボが一緒だったんだなぁと思うとなんだか嬉しかったし、親近感が湧いた。
実は、芸術鑑賞会に行く前、落語や浪曲が好きだと言う祖母に「落語っておもしろいの?」って単刀直入に聞いてみたのだ。すると、「めちゃくちゃおもしろいよ!」って即答された。そ、そんなにおもしろいのか……。私は「落語」に馴染みが無さすぎて、祖母から「おもしろいよっ」って言われても、素直に受け止めることができなかった。今までの、私の思う「落語」の価値観が抜けずにいた。しかし、実際に「落語」を聞いてみて、おもしろい上に楽しかったので、私はすっかり「落語」に魅了されたのだった。もっともっと「落語」を聞いてみたい! 他にどんな話が「落語」にはあるのか知りたい!と思うようになった。
私は「落語」を聴いてまず、落語家さんの話し方の技術のすごさに感動した。落語家さんの話し方は、話を聴いているこちらに寄り添ってくれるのだ。どういう場面を話しているか、すぐに分かる。なぜなら、場の雰囲気などを言葉を巧みに使って話すからだ。また、登場人物が複数いても、それぞれの性格を見事に区別して、落語家さん1人しか居ないのにあたかも会話をしているように感じるのだ。後から考えてみると、それが「落語」の醍醐味でもあるなぁと思った。それに落語家さんの話は、最初から最後まで、聴いている側に心地の良い疾走感がある。それは、話を聴いている側を置いていくくらいの速いスピードではなくて、話を聴く側にとってちょうど良いスピードだからだと思う。聴いている側にちょうど良いスピードで話すことは、とても難しいと私は知っている。それでも、分かりやすく話せる落語家さんのその話術に私はただただ尊敬している。
そして、「落語」で忘れてはいけないポイントが、「オチ」である。この「芸術鑑賞会」でいちばんはじめに、「落語」についての説明があった。その中で言われたのが、「落語には必ずオチというものが存在して、これがとても大切なんです」と言うことだった。このことをすごく強調されていたので、何かあるなぁと思っていた。落語を聞き終わると、「オチがとても大切」という意味が分かった。「落語」の「オチ」は、私たちが最後の最後まで「落語」を楽しめるようにするための、素晴らしい仕掛けだと思う。
「落語」がいかにおもしろい芸能か、ということが、この「芸術鑑賞会」でよく分かった。
私は知らず知らずのうちに、初めて知るものや体験するものに対して「これは嫌いだなぁ〜」とか「これは無理だよぉ」など否定的な発言をしているみたいだ。よく、家族に指摘されてしまう。はじめから消極的な態度で臨むのではなく、好奇心を忘れないようにすることがとても大切だと思う。どんなことにも、まずは「楽しそうだなぁ」とか「面白そうだ!やってみよう」などの前向きな気持ちを持つことにする。「落語」の他にも、この世界には、私が知らないだけでおもしろくて、楽しいことがいっぱいあるように思う。これから、私はまだまだ新しいことに出会うはずだ。とても楽しみだ。たとえ、自分にとっておもしろく楽しいものだと思えないものでも、まずは好奇心をもっておこうと思う。
「落語」をきっかけに、さまざまなことに好奇心を持とうと思うようになった。これから、私が経験することを前向きに、楽しい気持ちで迎え打とうと思う。
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