「物事には終わりがある」と考えたら、気持ちが楽になった話。
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:大野 敏美智(ライティング・ゼミ9月コース)
みなさんには”短い時間なのに永遠のように長く感じた”経験はおありでしょうか?
おそらく誰しもが1度は経験していることだと思います。
これらの経験、冷静に考えると”死ぬか生きるか”までの大きなことではないのですが、当人にしてみればとても不安なこと。
しかしものは考えようで、「物事には終わりがある」と信じて臨めば精神的に乗り越えられる。
僕は内視鏡検査でそれを経験しました。
僕の勤務先では毎年夏に健康診断があり、(汚い話で申し訳ありませんが)検査当日に便と尿を提出します。
昨年一昨年と2年連続で指摘されたのは、便に血が混じっていたこと。
2年連続だとさすがに疑わしいから、内視鏡検査で腸内を見てもらおうということで、主治医に紹介状を書いてもらい、大病院へ。
紹介状を持って行けば、病院はすぐに検査してくれるわけでもなく、まずは検査前診察。そしてコロナ禍の中での検査になるのでPCR検査。そして当日は何も食べずに約3時間をかけて下剤をこまめに飲み、胃を空にしてから病院で内視鏡カメラを体内に入れての本検査という流れであり、その間約2週間。今まで経験したことがないだけに当日まではとても不安でした。
検査当日は指定されたタイムテーブルに従い、1.5リットルの下剤を20分単位でコップ1杯ずつ飲んでいく。初めは空腹が満たされてよいのですが、1時間もすると単調すぎるためか若干気持ちが悪くなり、下剤の効果が表れだしてトイレとの往復が動作にプラスされる。それも3時間が過ぎてしばらくすると、検査を受けるための身体ができあがって安堵。午前中はほぼこれだけで時間がつぶれます。
安心するのはまだ早い。
午後からの検査が、自分にとっての本当の戦い。
気持ちをリラックスさせるために、予定時間より早く家を出て病院へ行ったのですが、前の人の検査が早く終わったとのことで、僕の検査開始時間はその分繰り上げ。お尻の部分にスリットが入った、日常生活ではまず着ることがないであろう検査着に着替え、待機室でしばらく待つ。
「マジかよ……」
若い女性看護師さんが僕を迎えに来た。えっ、この人にお尻を見せるの? すごく恥ずかしい。でも検査のための身体を作り上げてきたのだから、後へは引き返せない。それにここで年下の女性にうろたえた顔を見せるのは、とてもカッコ悪い。ええい、たかがケツ1つだ! 失うものは何もない!
検査室に入り、看護師さんの指示に従い、ベッドの上で左向きに横たわる。
検査をする先生が入ってきて、検査についての話を始めるのですが、僕は先生に背中を見せた体勢なので、先生の顔は見えない。もう、早よ始めてください。僕が心の中でつぶやいているうちに、内視鏡カメラが体内に入ってきた。例えようのない違和感。
「腸は直線ではなくクネクネしているからね、ここで曲がるけど、腸が傷つかないようにゆっくり入れるね」
腸のクネクネって1往復だけちゃうわな。これが何回か続くんかいな。検査するんやなかった。
後悔の念が僕の脳裏をよぎり、”長い時間”が続く。
「もう少しで腸の最後に着きますからね」
そう声をかけてくれたのは、看護師さん。往路がもうすぐ終わる。今まで掛かった時間をもう一度我慢すれば検査終了なのか。そう考えると看護師さんの言葉が天からの声のように思えてきました。
復路。
もうすぐ終わりや! どんなことにも終わりって必ずあるんや!
看護師さんも気を利かせて、あとどれぐらいかを細かく教えてくれる。僕の心から彼女への羞恥心はすでに消えていた。
内視鏡カメラが僕の身体を離れた。
この検査の時間はおおよそ30分間。体感的には気が遠くなるような時間でしたが、「物事には終わりがある」と自分に言い聞かせたこともあって何とか乗り越えられました。
検査後は自分へのご褒美の意味で「餃子の王将」へ行き、唐揚げ定食と餃子1人前を食べたのですが、朝から何も食べていなかったこともあり、食べ慣れているにもかかわらず美味しさが改めて身に沁みました。
後日、検査の結果を聞きに病院へ。
結果は異状なしで安心したのですが、診察医からは「年齢のこともあるので、3年に1回は定期的に検査することをおススメします」と言われ、またあの”苦しみ”を味わうのかとゲンナリ。
しかし健康を意識すると、それは避けない方がいいと思えるし。
一度経験していることであり、始まりがあれば終わりがある。
ネガティブな気持ちになれば、終わった時の餃子と唐揚げの味を思い出そう。
ポジティブに考えたら不安なんて乗り越えられる。
些細なことですが、そう思えた出来事でした。
***
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