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自分の欠点との付き合い方


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記事:成澤ゆう(ライティング・ゼミ 10月コース)
 
 
もう10数年前になりますが、当時名古屋の営業支社に勤務している時、新入社員が配属されてきました。どんな経緯だったか覚えていませんが、ミスした彼にこんなことを伝えたことがありました。
 
「別にミスしたっていいよ。〇〇さんが出来ないことがあるから俺が指導するという仕事が成り立つんだから。俺にとって出来ない〇〇さんはいるだけで価値があるんだよ」
 
「気楽にやんなよ」というつもりで何気なく伝えたのですが、当時の彼はポカンとして首を傾げていました。でも、今考えると「よくそんなこと言ったな」と過去の自分を褒めたくなります。
 
人には、必ず欠点があります。この欠点は、何かで埋めて補うべきでしょうか? 補うべきというのが、おそらく普通の答えでしょう。だからミスした彼も「出来なくていい」「いるだけでいい」と言われてもピンと来なかったのだと思います。私自身、気休めで言ったので深く考えていませんでしたが、彼に伝えた言葉は間違ってなかったと思います。なぜなら、私は今、「欠点」をサッカー選手における「フィールド」のように思っていて、「欠点」の存在をポジティブに考えることがあるからです。
 
サッカー選手は、サッカーをする能力に優れていますが、その能力を発揮するには「フィールド」が必要です。フィールドがあるから試合が出来、観客が楽しみ、プロであればお金がもらえるのです。「フィールド」は不可欠な存在であり、普段は当たり前に捉えているかもしれませんが、歓迎し、存在に感謝しても良い対象なのだと思います。
 
「欠点」もこれと同じで、欠点があるからそれを埋めるために誰かに何らかの仕事が発生し、その仕事に対してお金がもらえるようになっています。先ほどのミスした彼の例で言えば、彼がミスしたことで私が指導する仕事が生まれます。その仕事をしたことで彼のミスがなくなれば、私は評価されてお金がもらえるようになります。
 
つまり、「欠点」も他者の力を発揮するための「フィールド」として必要なものであり、歓迎・感謝すべきことなのかもしれないということです。そして、そう考えた場合、自分自身の「欠点」は気にする必要はなく、出来ないことがあったら堂々と誰かを頼ればいいのではないかということです。
 
「Aさん、IT業界について詳しかったよね? 今度、IT企業に提案しに行くんだけど、俺IT業界についてよく分からないから今度教えてくれる?」
「えぇ、いいですけど、Bさんのお役に立ちますかね?」
「うん、大丈夫。俺、全然分かってないからさ。Aさんの知識を分けてもらうだけで全然違うと思うんだ」
「分かりました。じゃあ、どっか空いてるところで予定飛ばしてください」
 
(Aさんのレクチャーを受け、IT企業への提案終了後……)
 
「Aさん、こないだのIT企業への提案、上手くいったよ! 教えてもらったことを話したら先方の担当が「よくご存知で」って言ってくれて、信頼してくれたみたいで」
「あ、本当ですか! それはよかったです。お伝えした甲斐がありました」
「いや、本当ありがとう。Aさんに聞かなかったらこの案件は取れなかったと思うよ」
「いやいや、そんなにお役にてるなら、もう少し私も業界のこと勉強してみようかな。次はどんな提案をする予定ですか?」
 
自分の欠点を曝け出し堂々と他人を頼ることで、こんなやり取りが生まれます。実はこれ、Aさんが過去の私です。
 
当時の私は、IT業界から転職支援の仕事に転職していましたが、まだ成果を出せてなくて、少し焦り始めていました。そこにBさんから声をかけられた格好でした。Bさんが弱みを出して頼ってくれたことで、私は自分の知識を活用する場面を与えてもらい、その知識がBさんの成果になりました。私は間接的に会社に貢献できたことで、安心しモチベーションが高まりました。
 
こうした経験があるので、今の私は遠慮なく自分の弱みを出し、先輩・後輩を問わず人を頼るようにしています。私が弱みを出すことで、相手の方がやりがいを感じてくれるなら、それだけで価値のあることだと思うのです。
 
それに、弱みを出して助けてもらうことで、相手との関係が深まることもあります。助けてもらった感謝と頼りにされた嬉しさが、お互いを近づけるからです。実際、私の場合も、Bさんに相談しやすくなり、お互いが相談し合う関係になりました。
 
だから、弱みは遠慮なく出していって構いませんが、一つだけ注意点があります。それは、弱みを出す人自身が、仲間に貢献しようという意欲を常に持っておかなければならない、ということです。そうでないと、頼られる側の頼られて嬉しいという気持ちが薄れてしまい、関係性が深まるどころか悪くなることがあるからです。これも少しだけ経験があります。
 
かつての同僚との間で経験したことです。その同僚は残念ながらあまり能力の高い人ではなく、サポートが必要でした。サポートすること自体は例のごとく構わないと思っていましたが、サポートをし続けるうちに気づきました。その人は何かあると、自分で考えずにすぐに私のところに聞きにくるのです。決して甘やかすようなサポートの仕方をしたつもりはありませんが、自ら状況を改善する行動が見られず、私に依存しているようでもありました。それに気づいたことで、私の中でその人が同じ目標を一緒に追う仲間から、私の時間を奪う人に変わってしまい、サポートする意欲が薄れていきました。もうその人を仲間として信頼することが出来なくなっていたのです。
 
フィールドの例えで言うならば、芝生が荒れている状態と表現すればいいでしょうか。フィールドを目にしても、「ここではプレーしたくない」と思わせるのと同じ感覚だったかもしれません。やはり芝生は青々として、気持ち良く走れるように整っていなければなりません。人で言うなら、出来ないまでも出来るようになるための努力や得意な他の分野で取り返そうとする頑張りが青々とした芝生であり、相手を気持ち良くプレーさせる土台なのだと思います。
 
自分の「欠点」は、誰かに力を発揮してもらうための「フィールド」であり、自らさらけ出していって良いものですが、相手からの信頼を得るための行動も同時に出して「フィールド」として整えておかないといけません。同時に出しさえすれば、相手と深い関係性を築くことができるわけですから、そこを目指してやっていくべきなんだろうと思います。
 
「欠点」は隠す対象や落ち込む原因ではなく、人との関係を築くための「フィールド」として見ると、違った世界が拓けるかもしれないですね。
 
 
 
 
***
 
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2022-11-16 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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