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メディアグランプリ

世界平和はマスクの下に


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:タカイ(ライティング・ゼミ9月コース)
 
 
仕事帰りに駅まで歩いていたら、つまづいて転んだ。
あっっっ!!! と思ったものの、咄嗟に反応できない体だった。
アスファルトの地面に、顔面ダイブしてしまった。
あまりの衝撃にうめき声が出る。
うめき声ってなかなか出すことはない。
しばらく動けずにうずくまって顔を覆っていたが、なにより羞恥心が勝った。
周りに人はいなかったのでホッとしながら、鞄から飛び出した荷物をかき集めてつっこんだ。
その時はあまりの痛さと衝撃で、気が動転していたのだろう。
少し落ち着いてから顔を触ると、ヌルっとした。
手に血がついていた。
鼻血か?
もうすぐ駅だったので、手で顔を隠しながらトイレに駆け込み鏡を見る。
鼻下がズル剥けで、血塗れになった自分の顔が写っていた。
痛みのあまり手であちこち触ったものだから、顔の大半が血だらけだった。
どうりで人からの視線を感じたわけだ。
 
やってしまったーー。
とにかく、この顔をどうにかしないと……。
トイレットペーパーを水で濡らしながら、何度も何度も血を拭いた。
そんなことをしていても周りは気にもとめないし、気にして欲しくもなかった。
ただただ、人に見られたくなかった。
顔にこんな怪我をするなんて、どう考えても跡に残るだろう。
泣きたくなるのを飛び越えて、もう諦めの境地に至った。
 
血は拭いたがどうしよう。
そうだ、マスクがあるじゃないか!
手で口元を隠しながらすぐ近くの薬局に行くと、マスク売り切れの張り紙が……。
駅の売店も売り切れ。
皮肉にも、当時は新型コロナウイルスが広まり始めた頃で、どこもマスクが品薄状態だった。
豚インフルエンザが神戸で流行ったことが思い出された。
なんてタイミングなんだ。
幸いなことに冬でマフラーをしていたので、トイレットペーパーを何枚も折りたたんで鼻下に付け、マフラーでぐるぐる巻きにして帰宅した。
その後、なんとかマスクを手に入れられたので、怪我を隠すことができた。
 
この皮膚がえぐれている怪我が治るのに半年以上かかり、跡が目立たなくなるのに約1年かかった。
 
 
コロナ騒動が始まってから、そろそろ丸3年になろうとしている。
「新型コロナウイルス」という、全く未知な病原菌の影響はとてつもなかった。
日本どころではなく、世界中を圧巻してしまった。
コロナのおかげで、世界の在り方がひっくり返ったといってもいい。
まさかロックダウンなんて映画のようだ。
コロナで大変な目にあった人は数えきれないだろう。
特に仕事に関しては、ロックダウン中は規制がかかって休業せざるを得なくなったり、いつ明けるか分からない自宅待機を体験する羽目になるとは誰が予測できようか。
仕事、働き方の変革が強制的に行われた混沌とした世情になっていた。
目に見えない何かに怯え、いつ終わるか予想もつかない新型世界大戦が始まったようだった。
 
しかし、ほぼ全世界がマスク着用というあり得ない事態になったおかげで、怪我を隠すことができた。
鼻下を大きなガーゼで貼っていてもバレなかった。
ビジュアル系みたいな、マイケル・ジャクソンがよくしていた黒いマスクも当たり前になり、デパートにマスク売り場ができたり、マスクをオシャレにする傾向になった。
マスクは顔の一部に進化したのだ。
 
 
ある時自分の顔を鏡で見ていたら、口髭がうっすら生えていたのに気付けていないことに恐怖を覚えた。
ヤバいだろう、女子力だだ下がりじゃないか。
マスクをするのに慣れてしまってメイクをサボり始めた結果だった。
マスクに色が移るので、リップはもちろんつけていない。
リップ自体、食べたり飲んだりするとすぐに落ちてしまうので、長らくつけていなかった。
きちんとメイクをしたのはいつだったか……。
このままではどんどん女として劣化していきそうだ。
飲み会に好みのイケメンが参加すると聞いて念入りにメイクをする、そんなメイクはマスクをするようになってからしていない。
すっぴんをマスクで隠す、怠惰なマスク生活に陥っていた。
 
 
メイクをするのは絶対必要なことではない。
ただの自己満足だ。
その日の気分に合わせて色を変えたり、服とメイクを合わせたり、上手くできたら気分があがったりする。
男性がスポーツカーや時計に憧れたりするのと同じだ。
すでに、約13000年前の飛鳥時代にもメイクはされていたのだ。
メイクは、いつの時代も少しでも可愛く綺麗に見せたい女心の結晶である。
これは、いくつになっても女子力を保ち続けている人に共通するだろう。
「メイクはマナーだ」と接客業をしている友人は言う。
ある意味、戦闘服なのだ。
 
「すっぴん」がいいと男性陣はよくおっしゃるが、「素のすっぴん」と「すっぴんのようなナチュラルメイク」とはまったく違うのだ。
まっっっっったく違うのだ!
女性の「すっぴん」を舐めてもらっては困るのだ!!
 
ちょっと厚化粧だろうが、野暮ったいメイクだろうが、変なことになっていようが、素の顔とかけ離れていようが、その女性にとっては最善の戦闘服なのは確かだ。
メイクに限らず、服や食べ物、さまざまな気分があがる、テンションがあがるアイテムが女性にはある。
メイクはその1つである。
マスクをしていても、マスクをしていなくても、リップをつけている女性は尊敬に値する。
今では、芸能人ではなく一般の男性がメイクをするのも通常になりつつある。
たかだかメイクでその女性の気分が良くなって、そんな女性がたくさん増えてハッピーが巻き起こるなら、こんな幸せな連鎖はない。
女性が気分よく笑顔でいられれば、男性にも影響が大きいはずだ。
妻や彼女、周りの女性のハッピーがそこら中にある。
なんて素敵なんだろう。
メイクをした女性は尊い存在なのだ。
 
「マスクの下は笑顔です」のポジティブキャッチコピーが終了するのは、まだまだ遠そうな日本社会だ。
 
世の中の女性たちよ。
さらに磨きをあげていこうではないか。
それが、ひとつのハッピーを産むのだから。
 
 
 
 
***
 
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2022-11-30 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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