メディアグランプリ

謙遜するやつは、褒められたがっている


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:新谷 幸菜(ライティング・ゼミ8月コース)
 
 
カラオケは苦手だった。
「誰から行く〜?」「うま〜~〜い!」「俺この後歌うのやだ〜」
なんて言って、でもみんな上手くて。
本当に音痴の人には優しくフォローする。
その優しさが辛かったりするのだ。
テストの点数が良い人こそ、
「全然できなかった〜」
と言っているようなものだ。
そのノリが苦手で、私はカラオケの波に乗ることができなかった。
 
歌自体は好きだった。
小学生の時は幼なじみの「しょうこちゃん」と親の前で歌を披露して楽しんでいたものだった。
2人で歌うと声が共鳴して、家の天井いっぱいに音が広がるのはとても気持ちが良かった。
 
大勢で行くカラオケには乗ることができなかった私だが、それでも気を許した相手とは2、3人で歌いに行くことはあった。
しかし23歳くらいの時に当時よく関わっていた女友達と2人でカラオケに行った際に、
「ちょっと、音程がずれるときがあるんだよね」
と言われたことをきっかけに、私のガラスのハートにヒビが入ってしまった。
それ以降一切人前で歌を歌っていない。
自分でもナーバスだなと思うのだが、繊細なのである。
20代はそうして自分の殻にこもって生きてきた。
しかし、今年30代に突入して「このままの自分ではいやだ」と思うようになったのである。
 
もっと歌いたい。
もっと気持ちよくなりたい。
もっと人の目を気にせず、自分を自己表現したい。
このままの人生はいやだ!
 
そう思った私は、他力本願なようだが「人前で歌えるようになりたい」という目的でボイストレーニングに申し込んだのである。
元宝塚出身というトレーナーの先生の元、小一時間かけて発声練習など一通りのトレーニングをした。その結果言われたのは以下のことだった。
「基本的な音程は取れています。発声もできています。あとはメンタルですね」
そして、度胸付けにカラオケに行くことを勧められたのである。
ボイストレーニングで鍛えてもらおうと思っていた矢先、出鼻を挫かれた感は否めなかったのだが、ここは教えに忠実にとトラウマに近い感情を抱えながら、6年ぶりくらいのカラオケに向かったのである。
 
人と行く勇気はなかったため、1回目は一人で行った。3時間歌い続け、とても楽しかった。
そこで一人カラオケの味を締めた私は、その一週間後また一人でカラオケに行った。
そこで人生初の「カラオケ自己採点」をしてみたのである。
 
採点をしてみて私のカラオケの点数は平均して80点台後半ということが分かった。
ただ、今までカラオケで採点をした経験はなく、他の人の採点結果も見たことがないのでこの点数が何を示すのか基準が良く分からない。正直某神社のおみくじでは中吉の配分が一番多くなっていると言われているように、誰が歌っても80点代が出る設定になっているのではないかと疑ってしまう。
そこでGoogleさんに聞いてみると。
「80点台の方は、大部分ピッチは合っている状態です。特に違和感なく聴ける歌という印象です」
ということだった。
恐れていたより、めちゃくちゃな音痴ではないと言うことだろう。自分の実力を数値化するのは勇気が要ったが、客観的に見ることができて少し安心した。
 
採点していて気が付いたことがある。
「しゃくり」と「ビブラート」という項目があることである。
「しゃくり」は初めて聞いた用語だったのだが、調べてみると以下とのことだった。
「しゃくりは、少し下の音から本来の音へ滑らかにしゃくり上げるテクニックです」
どこで自分が「しゃくり」をしているか見当も付かないが、突如「ピコーン!」と「しゃくり」のアイコンが煌めき、ワンポイントがつく。
ビブラートも同じだ。どこで震わせたつもりもないが、勝手にカウントされていく。
そこで、試しにランダムで適当に震わせてみた。
全くカウントされなかった。
一人で赤面してしまった。私の(自称)ビブラートを返してほしい。
 
それに関連してか、「演歌は点数が高く出る可能性がある」ということにも気が付いた。
昔、高齢者施設で働いていた時に覚えた石川さゆりさんの「津軽海峡 冬景色」や日野美歌さんの「氷雨」などを歌ってみた。
すると、歌い出しや音程がぐだぐだだったのにも関わらず「しゃくり」や「ビブラート」が頻発し、結果「津軽海峡 冬景色」が、今回の最高得点の89点だったのである。
ここから思うに「しゃくり」や「ビブラート」があると点数が高いのではないかと思う。
 
このカラオケリベンジでは2つのことが前進した。
1つは過去のトラウマの克服ができたことである。自分が恐れていたほどの音痴ではなさそうなことが分かり、人前で歌ってみてもいいかもしれない、と思えるほどの自信ができた。
もう1つは、1つの目標ができたことである。
「カラオケで100点取ること」である。
それを目標にボイストレーニングでも技術を磨いていこうと思う。
そしてその先により自分らしくのびやかに歌えるようになりたいと思っている。
30代は自己表現の年。
30代、始まったばかり。
これからである。
 
 
 
 
***
 
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2022-12-07 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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