嘘つきは泥棒のはじまり?
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記事:森野はるか(ライティング・ゼミ10月コース)
「今夜は誰を殺そうか」
数人で顔を寄せ合って相談している。
「山田は●●だから、酒田だな」
「でも酒田は▽▽だから、俺は牧野を殺したい」
「そうだな、牧野を殺るか」
こんな物騒な話をする彼らの顔は真剣そのもの。
かくして牧野くんはあっけなく殺され、その後もストーリーは展開していく……。
こんな場面が、ウチや近所の子供達が集まる場でときどき繰り広げられている。
これは、大人気のボードゲーム「人狼」。
なぜこんなに人気なのか母たちにはイマイチ分からないが、
小学校中学年くらいから高校生まで、10代の子どもたちが複数人集まるとたいてい誰かが「人狼やろう」と言い出す。
ほかのボードゲームで遊んでいても、必ず一度は「人狼」をやりたがる。
人狼カードが手元になくて、トランプの内側に紙を貼り付けてカードを作ってやっていたこともある(笑)
そんな「人狼」はストーリーのあるカードゲーム。
メンバー全員に役割のカードが配られ、その役柄になりきってゲームが進行していく。
「村人」たちのいる平和な村に、村人のふりをした人狼が混じっている。
村人たちはそれが誰なのか、昼間のうちにさまざまな知恵を結集させて人狼を推察する。
夜になる前に人狼を駆除できれば平和な夜が過ごせるが、駆除できなければ村人が毎晩ひとり殺されていく……。
この過程で、さまざまな推理と騙し合いが飛び交う。
推理の段階では、村人のふりをした人狼が「お前人狼?」と聞かれても「違うよ」と嘘をついてもOK。
人数が多いと「人狼なんだけど村人っぽい」とか「村人なんだけど人狼の味方」なども出現し、
はたからみてると何がなんだかさっぱり解らないが、
本人たちは理解している様子でどんどんゲームを進めていき、
生き生きと「殺された!」だの「誰を殺す」だの主張し合っている。
きっと、ふだん大人から良しとされていない「騙し」や「嘘」が戦略として堂々と使えること、それによっていつもと違う立ち位置の人間関係になるのが、おもしろいのかもしれない。
ボードゲームの達人である友人が話していた。
「日本じゃ、嘘つきは泥棒のはじまりっていうくらい、嘘をつかないのが美徳だけど、ボードゲームの本場ドイツでは、嘘やだましが上手な方が勝つゲームが、いっぱいあるの。
嘘や騙しは、悪じゃないんだよね。
日本人ももっと嘘が上手になったほうが、海外でやっていくチカラが身につくかもよ。」
ナルホド、ナルホド。
文化の違い、世界観の違いなのか。
そういえば、幼児から遊べる「ごきぶりポーカー」というドイツのカードゲームがある。
ごきぶりやハエやクモ、などみんなが嫌がるものが描かれているカードを、
「これは●●です」と言って誰かに渡していく、というゲーム。
その表情や言い方や捨て札の流れから、嘘か本当か見抜き、
さらに自分も騙すのか本当のことを言うのか選択していく……という、
ルールとしては単純だけど、ふだんと違う脳みそが鍛えられそうなゲーム。
わたしは昔、幼稚園児とやってみてコテンパンに負けたことがある(笑
かわいい笑顔で「これ、ゴキブリなの」とか「ハエじゃないよ?」なんて言いながら、
ちいさな手でカードを渡されたら、おばちゃん、信じてしまうではないか。
でも結果はわたしが惨敗。
幼稚園児に騙されたことが悔しくて、大人気なく「なにーっ!!」と言ってしまい、器の小ささも露呈してしまったが、
小さい頃からごきぶりポーカーで遊んでいた彼ら(幼稚園児)の、「騙し」テクニックには舌を巻いた。
笑顔で「嘘」が言える。
大人を翻弄することができる。
これはもう、一種のスキルではないか。
日常生活で多用されたら困るけれど、彼らはもちろんそんなことはしない。
ゲームの上でだけ、嘘と騙しテクニックを使いこなしている。
その時感じたのは、ドイツ人というか欧米にはこの、嘘や本当を交えた熱い駆け引きを、エンタテインメントとして楽しむ文化があり、
子どもたちも幼い頃から、楽しみながら「駆け引き力」を鍛えている、ということ。
日本が外交下手だと言われるのは、外交官たちに、この「駆け引き力」が圧倒的に足りてないからかもしれない。
そう考えると、「人狼」やら「ごきぶりポーカー」やら、嘘や騙しが戦術として使える場で、
「駆け引きスキル」を上げておくことは、人生において、学校の勉強より大事かもしれない。
というわけで、先日も夜遅くまで人狼で盛り上がっていた。
親として、大目に見る説得材料があるというのはラクでいい。
***
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