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手をつなぐって、不思議な効果があることを思い出した


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:飯髙裕子(ライティング実践教室)
 
 
小さな子供の頃は、誰しも親と手をつないだり、抱っこされたりと肌を触れ合う機会は頻繁にあったのではないだろうか。
歳を重ねるとともに、日常で、家族とさえ肌を触れ合う機会は減っていき、ましてや、他人と肌に触れあいというのは本当に少なくなるというのが、一般的な人たちなのかもしれない。
 
高齢者と言われる部類に属するようになると、自分の家にいたとしても家族とのスキンシップはあまりなく、施設などでも、必要時以外は肌に触れてもらう時間というのはとても少ない。
 
けれど、人は、この肌に触れるということが五感を刺激し、脳を活性化して認知症の予防にもなるという。
そんな事実を、昨年から受けていた、高齢者向けのセラピー講座で、改めて認識し、あることを思い出したのだった。
この高齢者向けの講座というのは、高齢者の手や顔をきわめてソフトにマッサージ(というより触れる感覚)することにより、脳を活性化して、生き生きと健康で自立した生活を送る手助けをすることを目的とした美容療法の分野のセラピーである。
厚生労働省の保険外ガイドブックに掲載されている資格の必要なセラピーであり、実際に需要も多く、さまざまな形で活動している人たちがいるのである。
 
その講座で、参加者の手や顔を実際にマッサージしたり、されたりした時にその体温の温かさに心が穏やかになる感覚を覚えとても気持ちのいいものだなと思った。
それは、自分の肌と相手の肌が触れることで、それぞれが持っているエネルギーが循環するためなのかもしれないとその時感じたのである。
 
 
その時、ふと息子が結婚した時のことを思い出したのである。
神前での結婚式が終わった後の披露宴でのことだった。
 
式での和装で現れた息子夫婦は、ほどなく衣装替えのために席を外し、お嫁さんは華やかなドレス姿、息子はタキシードに着替えて現れた。
親族からのお祝いの言葉や写真撮影など、和やかに進んだ披露宴も終盤に差し掛かっていた。
 
会場のステージ席に座っていた息子夫婦がそれぞれの親と共に後方に移動し両親に今までの感謝の気持ちを伝えるというごく一般的な披露宴の流れである。
 
その時、お嫁さんは彼女の父親と共に手をつなぎ移動し、息子は、母である私と手をつなぎ移動するという流れであった。
 
恥ずかしそうに苦笑いする息子と手をつないだ時、もう20年以上も前の幼稚園の頃息子と手をつないだ時の感触がそのままであることに何か嬉しい驚きを感じたのだった。
大人になっても変わらず肉厚なぽちゃぽちゃとした手の柔らかさが、私の脳裏に電気が流れたような衝撃を与え、それと同時に幼稚園の運動会で息子が躍ったダンスの様子がまるで走馬灯のように目の前をくるくると回り始めた。
 
小さな手を上にあげてぱちぱちと叩いていたその光景を見て私はそれまでのほんの数年の出来事を思い出し涙があふれてくるのを止められなかった。
その光景がまるでつい昨日だったかのように私の中で再び目の前に現れたのだった。
 
その時の息子の手の温かさと、肌に触れた感触がすべての五感を刺激し、脳内の記憶さえも呼び覚ましたのだということが、はっきりしたのだった。
 
セラピーの効果は臨床実験によるデータによって証明されているし、それは疑う余地のないものであるけれど、ただそれを聞いたり、資料を見るだけだったら、ここまで納得できただろうかという気がした。日常で、肌に触れるというような経験は気づかないうちに、当たり前の動作としてさらりと通り過ぎてしまうような些細なことの方が多いからだ。
大人になると、それでなくても肌に触れるというのはなんだか気恥ずかしく、よっぽどのことがないと普通はあまりしないものかもしれない。
小さな子供が親に触れられると安心するように、人はいくつになっても、同じように触れられることで、心が落ち着くものなんだと思う。
触れられた肌の温かさは間違いなくその人の経験したことのある嬉しかったり、楽しかった記憶を呼び覚まし、細胞までも活性化してくれる。
 
人生100年時代と言われる今の時代、健康寿命をできるだけ伸ばして、自立した生活を送るために時々肌に触れあうというのはとても大切なことなんだと思う。
 
認定試験に無事合格できたら、そんな健康的な生活を送るためのお手伝いが私にもできるかもしれないと思うとわくわくする。
 
最近誰かと手をつないだことありますか?
子供だけの特権じゃないって事つい忘れていませんか?
ぜひ、大切な人と手をつないでみてください。その温かさにホッとすること間違いないから。
 
 
 
 
***
 
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