雪の中を運転していたからこそ気づけたこと
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:赤羽かなえ(ライティング実践教室)
朝、窓を開けて呆然とした。
静かな景色の中で容赦なく雪が降り積もっている。
今シーズン2度目の大雪にため息をつく。この雪の中、保育園に娘を送っていくのか……。冬タイヤを履いている車は、いつも乗りなれない夫の車だから緊張するんだよなあ。ため息が白い煙になって空気中に上がっていった。
私が住む広島は、冬はしっかりと寒い。昔、社会科の教科書で『瀬戸内の気候は温暖です』って読んだことがあったから、寒いのが苦手な私は結婚して広島で暮らすことになって密かに嬉しかった。あたたかい土地で暮らせるんだとウキウキしながら広島で初めて迎えた冬、実家のある横浜よりもしょっちゅう雪が降ることを知った私の衝撃を想像してもらえるだろうか。教科書、誤情報にも程がある!
あの衝撃から16年もたったけれど、こんなに雪が積もるのはやっぱり珍しい。
1度目の大雪は旧年中に降った。夜から降り始めて、朝も降っていて、それでもまだ状況を甘く見ている人が多かったのだろう。かなり傾斜のキツイ上り坂の途中でバイクが倒れていてドライバーが呆然としているのを横目で見た。助けてあげたいけど、何も役に立たないのは分かっているから心の中で謝って横を通り過ぎる。いや、その前に、なんでこんなに雪が降り積もっているのにバイクで出かけようとしているわけ? 渋滞で動かない車線を眺めていると、倒れているバイクはその他にはいなかったけれど、スクーターを手で押して歩いている人は何台もいた。このくらいなら何とかなるだろう、という思いで出てきて後悔しているんだろうな。
でも、本当に怖かったのは、先週の雪だった。前回は朝も降り続けていたから路面は凍結していなかったけれど、今回は、朝の時点ではほとんど雪は降っていなかった。車で走っていると、道を進む感覚は降りたての雪を踏むようなふかふかしたものではなく、ぎゅっぎゅと負荷がかかる。ところどころに凍っているところもあって、白いとその区別もつかない。前回バイクが倒れていたキツイ上り坂は、既に進入禁止になっていた。どうやら凍っていて危険なようだ。諦めて別の道から迂回してなんとか保育園までたどり着いた。さすがに今回はバイクとはすれ違わなかった。
保育園から戻る時、主要な道路に出ようとしたら渋滞していて車が全く動いていなかったので、今度は別の裏道を回ることにした。自分的には慢心したつもりは全くない。でも、現実が想定を超えていた。いつも使う道ではあるけれど、雪になったらこんなに道幅が狭く感じるんだ……いつもよりも大きな車に乗っているというのもあるけれど、普段でも狭めの道が雪景色で目測が狂うし、そこにセンサーの接触注意喚起が車内に響き渡る。でも、その時点でバックして戻ることも難しい。背中に汗をかきながら通れるのか通れないわからない道を進んだ。そこを抜けた後も、傾斜のある上り坂で、タイヤが何度か空回りした……冬タイヤを履いていても無理な道は無理なんだ。この道は、雪が解けたと確認できるまでは使えないな……。他にも凍結気味の下り坂など何か所かヒヤヒヤするところはあったけれど、とりあえずは事故なく戻ることができた。
広島は常に雪国ではないからこういう時に慣れていない車の方が多い。私もその一人だし、雪が降っていたら不要不急の外出は避ける方がいいとは思う。でも、今回のように、雪道の視界や雪の坂道のどういう状態が危険なのか、というのは、実際に体験してみなければ知ることはできなかったので体験してみて良かったなと思っている。雪の中運転するのに、冬タイヤじゃないのはもってのほかだけど、ちゃんと対策ができているなら、少しずつ慣れるために運転することも必要なのかもしれない。
雪が降っている時には道路はどういう感触なのか、路面が固まり始めた時、凍ってしまっている時はどうなのか。雪が積もっていると車線が消える、標識が見えないということもあるし、道路の横に積もった雪をどこまで踏んでも大丈夫かなど、普段では想定できないようなことも体感することができた。
それに、雪の積もっていない道だったら見落としがちなことを改めて注意し直すこともできた。例えば車間距離は、焦っていると詰めてしまいがちだけど、前の車がどういう状況で運転しているかはわからないから、常日頃から注意しておくべきところをおそろかにしていた。
そうは言っても、やっぱり雪がない道の方が安心して運転できるもの。この2日ほど緊張して運転していたら、妙なところが筋肉痛になって、緊張したんだなあと実感した。
子供達が遊べるから雪はありがたいものだけど、あまり運転でガチガチに緊張しないくらいがいいなあとつくづく思うのだった。
ドライバーの皆さん、何がなくてもどうぞご安全に。
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