メディアグランプリ

「silent」な世界から聞こえてきたもの


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:南雲小夜花(ライティング・ゼミ10月コース)
 
 
言葉は、何のためにあるのだろう。
 
昨冬大ヒットしたフジテレビのドラマ、「silent」の最終回から約1ヶ月が経った。最終回の数話前から「#サイレントロス」といったタグが生まれるほど、多くの視聴者がそのストーリーに釘付けになり、涙した。私も涙を流しまくった1人だ。
 
「silent」は音のない世界で“出会い直す”ラブストーリーだ。
8年前に別れた元恋人は、病気によって聴力を失っていた。「聞こえない」という現実にぶつかりながらも、音のない世界で2人は再び思いを通わせていく。
2人の周りにいる友人や家族なども含め心情を繊細に捉えており、いつの間にか視聴者も感情移入してしまう物語になっている。
 
聴こえる彼女と、聞こえない彼。
ドラマの中で、2人は言葉を伝え合うためにさまざまな“手段”を用いている。
 
まずは手話。
手の動きで言葉を表す手話は、「あ」とか「い」のように一音を表すこともできるし、「大丈夫」「ビール」といった単語を表すことができ、組み合わせながらコミュニケーションをとる。ちなみに、「silent」をきっかけに手話教室の受講者数が急増したそうだ。
 
他には筆談。
ノートやメモ、黒板に手書きするシーンもあれば、スマホの画面で入力し、それを見せるという、現代的な筆談シーンもあった。
 
そして、音声読み取りアプリ。
これは実際に存在するアプリケーションで、周囲の音声を読み取って一瞬にして書き起こしてくれるものだ。精度も高く、タイムラグの少ないコミュニケーションを後押ししてくれる。
 
こういったさまざまな手段は、言葉を徹底的に“見える”ようにするものだ。
音のない世界で生きる方にとって、形のない言葉は言葉としての役割をなかなか果たせない。口の動きで言葉を読み取る読唇術もあるが、やはり正確に言葉を伝えるには言葉を“見える”形にする必要性が高いのだ。
 
広く言えば、こうして私が書いている記事も“見える”言葉と言えるだろう。
ライターとなってまもなく3年目に突入する私は、ずっと“見える”言葉に苦しむ日々を過ごしている。言葉を見える化することに苦しんでいる、と表現した方が正しいだろうかもしれない。
 
ライターはある情報を広く伝聞していくため、取材して、それを記事にする。
ただ、聞いたことをそのまま書き直すのならば私でなくてもできる。
意味を汲み取って、時に補足したり、構成を変えたりすることで、よりわかりやすく伝えられる形に編集していく。
 
つまり“私”というライターは、音声読み取りアプリと同じく、言葉を見える化する1つの手段なのだ。ライターが介在する意味を、言葉をより良い形で“見える”ようにすることを通じて発揮しなければならない。
 
でも、私には力がない。
 
昨年の秋から通い始めた天狼院書店のライティングゼミでも、そのことを痛感した。
 
ライティングゼミでは毎週課題が出る。フリーテーマで、毎週2000文字の記事を書く。
週末が近づくたび、「次のテーマは何にしよう」「今週も書き上げられるかな」と、どんよりした気持ちになることもしばしば。不合格になるたびに、自分のアウトプット力のなさ、話題のストックのなさ、そして一本の記事を最後まで読み切るものに書き上げる編集力のなさを痛感し、何度も愕然とした。
 
 
そんな時期、ちょうど放送されていたドラマが「silent」だ。
ドラマには言葉に関するセリフが何度も出てくる。
その1つが、冒頭の「言葉は、何のためにあるのだろう」だった。
 
正直、そんなこと考えたこともなかった。
だって、言葉という存在は私の人生に当たり前にあったものだから。
なんなら、今苦しんでいる原因こそ、言葉にあるし。
 
ドラマは進む。音のない世界でなんとか気持ちを伝え合う2人。耳が聞こえなくなった彼の心のドアをそっと開いたのは、“見える”言葉だった。
その様子を見るうちに、そしてライティングゼミの課題を書き続けるうちに、言葉について深く考えるようになっていった。
 
言葉は、何のためにあるのだろう。
私なりに出た答えは、「自由に進むため」だった。
言葉は船を漕ぐオール。前へ進む時に力になり、うまく使いこなせなければ転覆して自らや周囲を傷つける。これまで進んできた航路を振り返るにも、他の船と近づこうとするにも、やっぱりオールが必要だ。
 
ドラマ終盤でも、中途失聴した彼がこんなセリフを言う。
「言葉が見えるようになってよかった」。
どんな形になっても、言葉に込められた力は一人ひとりの船を動かす推進力になる。
 
そしてライターは、言葉を見える化することでオールを押す手に力を添える。
ライティングゼミでも、他の方の原稿を読むうちにいろんな角度から励まされた。
筆者によってテーマも内容も異なるが、 “見える”言葉が一読者である私の背中を押してくれた。
 
この記事を読んでよかった。励まされた。明日も頑張ろうと思えた。
誰かが言葉というオールを漕ぐその時、私がそっと力を添えたい。
「silent」とライティングゼミを通じて“見える”言葉について考えた今、私が目指したいライターの姿が見えてきた。
 
自由に進む船には希望が宿る。
そう信じて、今日も私は言葉を紡ぐ。
 
 
 
 
***
 
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2023-02-09 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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