メディアグランプリ

都会暮らしか? 田舎暮らしか?


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記事:Keita Hosoya (ライティング・ゼミ 12月コース)
 
 
「まだ東京で消耗してるの?」
 
この文章は、一昔前にネット界隈で大きな話題を振りまいた著名なブログのタイトルである。ブログ著者は、東京のネットビジネスで一財産を築いた後、高知県の自然豊かな限界集落に移住し、件のタイトルのように、東京の息苦しい生活を煽り散らかすという絶妙なポジショントークを展開し始めた。
 
それは、ブログビジネスとしては一種の発明とも言えるポジショントークだった。
挑発的なタイトルはすぐに都市住民の反発に火を点け、ブログは炎上に次ぐ炎上。にも拘わらず「そんなにムキになるってことは図星ですね?」のような論調を展開するものだから、ブロガーへの攻撃は一気に激化した。中には高知の限界集落まで突撃し、その実態をネットで告発する危うい者すら出る始末だった。
 
しかしそれでブロガーの彼が困ったかと言うとそうでもない。
むしろその炎上も彼の術中の範囲内で、炎上の度に彼のブログのPVは爆上がりし、ページに埋め込まれた広告やアフェリエイトの罠で彼は更に財を増やしていったのである。炎上商法の走りのようなビジネスモデルで、極めてしたたかなポジショントークだった。
 
さて、件の話は対立を煽って炎上商法を成功させたポジショントークの一例だが、そこで使われた対立軸としてのこの手の話題は今でもしばし定期的に盛り上がる。最近も、「移住者に都会風ふかさないで」と警告した田舎のチラシが炎上したばかりだ。
 
なぜだか分からないが、日本人はこの手の話題が非常に好きである。すなわち、「都会暮らしが幸せか?田舎暮らしが幸せか?」という問いだ。
 
コロナ禍以降、その傾向は一層増したような気もする。
繰り返される緊急事態宣言とソーシャルディスタンス。マスク着用の同調圧力、徹底した非接触、群がりが出来れば即座に「密です!」の空気。
 
指折り数えていけば枚挙にいとまがないコロナ禍による都市生活の大変化は、確かに人々に自問自答させたのかもしれない。「果たして、都会ぐらいとは本当に快適なのか?」と。事実、都市生活の醍醐味の一つは多種多様な人間との交流だと思うが、コロナ禍ではそれが常に制限される。更には移動の満員電車や人込みは感染症罹患のリスクを常に孕んでいる。人から逃げても逃げきれないのが都会というもので、高い人口密度を変えられない以上、都市住民のストレスはコロナ禍以前に比べ増したはずだ。
 
その点、人口密度が一気に下がる田舎は確かに魅力的に映るかもしれない。確かに空気は綺麗でうまい。自然は近くにあり、夜は満点の星空と閑静な世界がそこにはある。新鮮な野菜をお裾分けで頂いたり、旬な山菜やキノコ、ジビエも楽しむことが出来るのは、田舎暮らしの最大の魅力だ。
 
しかしかれこれ5年ほど田舎暮らしをしている私からすれば、そういい所ばかり見られても困るぞという気持ちもある。
 
なぜかというと田舎の高齢者こそコロナを過剰に恐れ不自由な生活を送っているからである。彼等は毎日テレビにかじりつき、都会の人からすれば考えられないほど日々のコロナ感染者数に一喜一憂しているのだ。見慣れぬ車のナンバーが他県のものであれば、「嫌だね、こわいね」と大騒ぎするのが田舎というもの。
 
ましてや誰かが感染したとなれば、まさに村八部よろしく、穢れが出たかの如くあっという間に距離を置き、ネット社会並みの速度でその噂は村中に広まっているという始末なのだ。
 
加えて近代化が進んでいない住居問題や、車がなければ生活にならない車問題。そもそも仕事が圧倒的に少なく、過疎な地域ほど住民サービスも手が行き届いていないというデメリットもある。
 
田舎の醍醐味である自然に寄り添う暮らしは確かに何物にも代えがたい恵みであるが、田舎とはいえ人間社会から隔絶されるということも不可能で、そこにはそこの便利も不便も混在しているというものである。単純には比較できない故に、「都会暮らしが幸せか?田舎暮らしが幸せか?」の問いを日本人が繰り返すのは、関心はあるが結論が中々でないからなのかもしれない。
 
「まだ東京で消耗してるの?」
 
東京で消耗している人も確かに沢山いるであろうが、それに負けないぐらい、田舎で消耗している人も沢山いることも確かで、やはり最後はどんな環境でも、充実した生活を送れるかどうかは自分次第ということなのかもしれない。
 
天は自ら助くる者を助く。
その原理は、都会暮らしでも田舎暮らしでも変わらないのだ。
 
 
 
 
***
 
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2023-02-15 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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