メディアグランプリ

メダカなんて飼うもんじゃない

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:中村正信(ライティングゼミ2月コース)
 
 
図書館で「メダカを飼おう!」的な本を手に取ったのは2017年。
当時は個人輸出を仕事としていて、「他にも何か収益の柱が欲しいな。」と思っていたところに、ネットオークションでメダカの取引が流行っているニュースを目にし、興味を持ったのがきっかけだ。
 
しかしその後、詐欺まがいの取引、珍しい品種の常識はずれな高騰で品種を偽って稚魚を送りつけたり、届いたメダカが生きていなかったりとトラブルになるケースも多く、また、幼少時、酪農家の叔父宅で売られていく仔牛を見て涙したりと「生体を扱うのは自分には無理だな」とメダカ のことは、すっかり忘れていた。
 
時は過ぎて、2022年10月。
急にメダカのことを思い出し、仕事帰りに、そのままペットショップへと車を走らせる。
しかし、着いたもののメダカのことなどなにもわからない。水槽は必要だ。しかしサイズは?何匹飼う??え?こんなに種類があるの??と、まぁ一旦メダカや必要そうな水槽、照明類を眺めて「今日のところは帰って、少しくらい調べてから、また来よう。」と思った時に目に飛び込んできたのはフトアゴヒゲトカゲ。「トカゲもいいかも。」なんて考えながら車に乗る。
 
翌日再訪し、水槽と水の安定剤、水質維持のためにバクテリアを購入して、水槽の準備をする。
翌週、赤いメダカ5匹と青いメダカ5匹を連れて帰宅。
 
水槽の準備はできているも、ショップの水と自宅の水では水質が異なるので水合わせをする。
まずは温度を合わせるために、袋に入れたままのメダカたちを水槽に入れ1時間ほど放置。次にメダカたちの入った袋から1/3ほど水を抜き、同量水槽の水を入れるを1時間ごとに3回繰り返す。
 
さて、ようやく水槽へとお引っ越し。なのであるが、ここが第一の関門らしい。水質の違いからくるショックで、召されてしまこともあるらしい。調べた情報よりも時間も回数も多く水合わせをしているので大丈夫、と言い聞かせながらメダカたちを水槽へと移す。特に変わった様子もなく泳いでいるので、「まぁ平気なのかな?」と思いつつ寝る。
 
 
翌朝。
 
一匹が召されたのを皮切りに、つぎつぎに、というほどでもないが、結果、現在は38匹。
気温も下がりつつある頃だったので産卵はないだろうとタカを括っていたところ、赤1匹、青3匹となってしまった親メダカたちが、どんどん卵を産む。
 
子育てのことなど考えていなかった。
 
春になって、暖かくなったら水槽ではなく屋外でビオトープ(生態系としてとらえることの可能な最小の地理的単位)にしようと考えていた。
 
しかし相手は動物。こちらの都合なんて考えてはくれない。
あわてて卵を採取して、別の容器で管理する。幸い、生まれる直前までは水道水でいいそうなので、水道水を毎日換えるを約2週間ほど。その間に、有精卵には目があることが確認できるようになり、だんだんと卵の中で動き出す。グルグル、グルグルと動き出す。無精卵の方は水カビが生え出す。白いモヤモヤしたものが、卵を覆いだす。そうなったら孵化することはないので、また他の卵にも移っていくので見つけたら取り出す。ちなみに、卵の管理に水道水がいいのは、塩素の殺菌作用で水カビが発生しにくくなるんだそうだ。
 
毎日毎日、可能な限り日光に当てながら待つこと13日。
朝起きて卵容器を確認すると、中をスイスイと泳いでいるのがいる。「いや、そこにいたら召されるから!」と、慌てて親メダカの水槽から水を拝借し別容器へ、を繰り返すこと34回。
 
こう言ってはなんだが、本当に「水合わせは必要なのか?」と思う。毎回こちらはタイミングを伺っているのに、ことごとく外してくる。水道水の中を元気に泳いでいるところを取っ捕まえて、親メダカ水の別容器へと移動する。この水質変化に耐えられるのであれば、水合わせの必要性なんてないのではないか?
 
針子(生まれたての稚魚)は、腹に3日分の栄養分を蓄えている。つまり、3日間のエサは不要。しかし、ここから2週間が生き延びることができるかどうかの正念場。針子の死因の多くのは餓死なんだそう。次点で水質の悪化。
 
「針子のエサってなに?」
 
ゾウリムシです。
 
「では、ゾウリムシのエサは??」
 
豆乳です。
 
2リットルのペットボトル2本にゾウリムシ。毎日の攪拌と2日ごとの豆乳で増殖中。
 
もちろん、粉状のエサもあるにはあるが、水質悪化の原因は食べ残しとフン。なので、ここは迷わずゾウリムシを選択。そして、親メダカたちも生き餌の方が食いつきがいい。さいきん、食品添加物に興味を持ってしまい、自らが食さない物を与えるのもいかがなものかと思い、親たちももっぱらゾウリムシ。
 
さすがに気温も下がっているので産卵もしなくなったが、残ってくれた親メダカたちは毎日元気に食べ泳ぎ回っている。子メダカたちは泳いでいる、と言うよりも小さく震えている感じだが、日々大きくなっている。気がする。
 
正直、「メダカの飼育は簡単」と聞いていたのに騙された感じではあるが、その癒し効果は個人的には絶大である。何時間でも水槽を眺めていられる。最初はメダカ以外なにもいない殺風景だった水槽も、底砂が敷かれ、水質の安定のためにマツモ(水草)が浮き、同じく水質改善要員のドジョウとタニシたちも元気に動き回って日々藻を片付けてくれている。
 
仕事の関係で家を空けることも多いのだが、家を離れている間はメダカが気になって仕方がない。
 
 
メダカなんて飼うもんじゃない。
 
 
 
 
***
 
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2023-02-22 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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