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やっぱりフライパンは鉄に限る


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:工藤洋子(ライティング・ゼミ2月)
 
 
極めて個人的な見解であることは最初にお断りしておく。
 
それでも私は思う。
フライパンは鉄製のものが一番よい。
なかでも鋳鉄のフライパンが特に素晴らしい。
 
鉄のフライパンと聞くと、
 
「あれですか? 中華の鉄人が鍋を振ってチャーハンとか作るアレでしょう? カッコいいよね、私もできたらいいな」
 
と言われる方もいるが、残念ながら違う。
それは鉄を叩いて延ばして作る鍛造という方法で作ったフライパンだ。あれなら確かに軽い。
 
でも私がよいと思うのは、そういう薄いフライパンではなく、キャンプで使うスキレットと呼ばれるような、直火にかけてもOKな無骨な顔付きのものだ。
 
これがまた、大変重い。
ひたすら重い。
 
手首を使ってオムレツを裏返そうとしようものなら、確実に腕を痛める。もしくは、そもそも片手で持ち上げることさえできない人もいるかもしれない。私だって長く持ち続けることはできないので、野菜炒めを皿に移すのも一苦労だったりする。
 
もし、腕を鍛えたいけど筋トレの時間がない、という人がいたら、鋳鉄のフライパンを毎日手に持って料理するとよい。間違いなく鍛えられるだろう。もっとも、鍛える前に肩か肘がやられる方が先かもしれないが。基本的に腕力のない女性には扱いにくい代物と言えるだろう。
 
さらにとても錆びやすい。
 
なんといっても相手は鉄だ。鉄は空気に触れたり、水に浸けたままだったりすると、すぐに錆びる。本当にすぐに生臭い臭いがして気が付くと、縁のところが錆びていたりする。そうなるとさあ大変! 早く錆を落としてやらないと、そこからどんどん錆が増殖してしまう。
 
「ご飯、美味しかった。さあ、一休みしよう」
 
なんてのんきなことを言っていたら、あっという間に錆が来てしまう。まさに油断大敵、錆ボウボウってやつだ。使ったらすぐに洗って火にかけて空焼きしてあげなくてはいけない。
 
そして、錆びないようにするためには、最初に使う前に油を十分になじませる作業が必要になる。出荷されるとき、放っておいたら錆びるので、フライパンの表面は油の被膜で覆われている。その被膜は調理するときに口に入ってよいものではないので、フライパンをお湯で洗って流してから、さらに野菜クズなどを炒めて新しい油をなじませてやらねばならない。
 
その作業をしてからも使い始めの数回は、その都度油を落としてから新たに調理用の油をしき、使ったら速攻で洗って保護用の油を塗る、という過程が必須だ。
 
まったく本当に面倒くさい。
まるで手のかかる小さい子どものようだ。
 
でもそこが、いい。
 
「出来の悪い子ほどかわいい」
 
とよく言うではないか。
 
重たくて錆びるし、見た目も可愛くはないけど、実はかなりできるヤツなのだ。日本昔ばなしの『三年寝太郎』のように普段は世話かけるだけかけて寝てばかりいる、ものぐさな野郎だけど、いざとなったら頼りになるできるヤツなのだ、このフライパンも。
 
重たい……のは軽くはならない、残念ながら。でも重たいから調理中にコンロからズレることはないし、なんといってもその厚みの分だけ熱を蓄積してくれるから、強い火が必要ない。コンロの火を強くしなくてもよい、ということは……はい、そう、ガス代が節約できちゃう。
 
強火でササッと炒める中華料理のような使い方はできないけど、じっくり火を通す料理ならその効果は抜群だ。
 
たとえば、ホットケーキ。もしくはお好み焼き。
粉物だけしかできんのか、と思ったかしら? いやいや、そんなことはまったくない。鶏もも肉のソテーや特上霜降り肉のステーキだって、鋳鉄のフライパンなら表面が焦げただけで中は生焼け、なんてことにはなりにくい。じっくり火を通して旨みも逃がさず、美味しく焼けてしまうのだ。
 
「でもお高いんでしょう? 焦げ付いたりしそうだし、私はテフロンのフライパンでいいわ」
 
とおっしゃるあなた! ちょっと考えてみて。
 
確かに今の主流のテフロン加工のフライパンは安い。数千円でも十分な大きさのものが買えるだろう。軽いし、振れるし、扱いも簡単だ……初めのうちは。
 
テフロンは表面加工なので、そのうち禿げる。
禿げると当然、焦げ付く。
 
焦げ付くし、テフロン加工の部分が口に入っては体によくないので、きっと買い換えることだろう。毎日使うフライパン、1年程度でもしテフロンが禿げて買い換えるとしたら、たとえ3千円のフライパンでも3年経てばほぼ1万円。さらにそれが続けばもっとかかる。
 
それに対して鉄のフライパンは、一度購入すれば一生もの。
手入れさえ怠らなければランニングコストは比較するまでもない。
 
さらに。
使い続けると表面に油がよくなじんできて、テフロンのフライパンほどではないにしろ、あまり焦げ付かないようになる、というおまけまで付いてくる。
 
さあ、あなたならどっちを選ぶ?
 
スリムでスタイルもいいけど、薄っぺらくてすぐに離れていってしまうから毎年探さないといけない彼氏か。
 
それとも会話を続けるのにもこちらに努力が必要な口下手で、クマのようなずんぐりむっくりの大男だけど、何年経っても変わらずあなたを愛してくれる彼氏か。
 
私ならやっぱり永遠の愛が、いい。
だから鉄のフライパンを使い続けている。
 
 
 
 
***
 
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2023-03-16 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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