今日から使える自分をちょっと好きになる魔法
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:高瀬敬子(ライティング・ゼミ2月コース)
「ママ、牛乳」
子供が牛乳を求めています。子供の母親はこう返事をしました。
「ママは牛乳じゃありません」
これはネットで読んだお話です。
牛乳ではない母親の意図は、子供が誰かに何かをお願いする時に、「ママ、牛乳ください」とか、「ママ、牛乳ちょうだい」などのように、単語ではなく文章で依頼する習慣を身につけさせることです。
母親の言い方には賛否両論あるようでしたが、私は確かにこれは大事なことだな、と思いました。保育園や幼稚園で、「先生ー、水!」とか言うようになったらやばいことは子供のいない私でも想像できます。
しかしちょっと待って。よく考えるとこれって私を含めてかなりの大人も実はできていないことなのでは?
例えば居酒屋で。席に座って、オーダーをとりに来た店員さんに、「とりあえず生ビール2つ」とか言いませんか?
コンビニでバイトをしていた時のこと。タバコを買いに来る人たちで、レジ奥のタバコの陳列棚を見て「○○番!」と自分のほしいタバコに付与された番号だけを言う人はかなりいました。
他にも、レストランで食事が終わった後に、「お会計ー」とか。
スタバで「ショートのソイラテと……あと、ドーナツで」とか。
そしておそらく多くの人が、自分の両親や配偶者に対して、冒頭の「ママ、牛乳」と同じようなことを言っているのではないかと思います。私もその一人です。ちょっと自分が恥ずかしくなりました。
一方で、仕事の打ち合わせのために、取引先の会社にお邪魔したとします。
お相手に、「お茶とコーヒーどちらにしますか?」と聞かれて「コーヒー!」って言う人はいないと思います。「コーヒーお願いします」とか、「コーヒーいただけますか」って言いますよね。
取引先で「コーヒーをお願いします」と言えるのですから、居酒屋で、コンビニで、「お願いします」を言えない理由はないのです。
文章ではなく単語で依頼してしまうとき、私たちは無意識に、相手である家族やお店の方達を下に見ている。そして甘えているのだと思います。
今では絶滅していて欲しい昭和以前の家父長制万歳時代の亭主関白は、「メシ! 風呂!」などと言って妻に命令するイメージがありました。実際にうちの父親もよく「メシ」とか、「箸」とか母に言っていました。これに似たことを私たちは無意識に赤の他人にもやっているということになるのでは。もちろんそこまで明確な命令の意図はありませんが、よく考えるとゾッとする話です。
さて、冒頭の牛乳のエピソードを読んで個人的に反省した私は、最後までちゃんと言う、を意識的に実践することにしました。
コンビニで、お会計をするときに「お願いします」と言ったり、お釣りやレシートをもらうときに「ありがとうございます」と言うのは当然今までも習慣になっていたのですが、店員さんにお願いして取ってもらうようなもの、例えばショーケースに並べられたケーキやパンを買いたい時。「ショートケーキを3つ」とか、「アンパンと、クリームパン……あとメロンパン……で」みたいな言い方をすることが以前はありました。最後の「で」に、お願いしますの意図が込められているつもり……という言い訳をしたくなってしまうのですが、きちんと言わないと伝わらないですよね。これを「ショートケーキを3つください」とか、「メロンパン……で、お願いします」とか、最後まで言うように心がけてみる。
天狼院で、ワンドリンクを注文するときに「ホットコーヒーをお願いします」
お土産にするため近所のチョコレート専門店でチョコレートの詰め合わせを買う時に、「これを一箱いただけますか」
居酒屋では「生ビール2つお願いします」
すると不思議なもので、ほんのちょっとですがなんだか自分が少し上等な人になったような気持ちになるのです。そんなに大きなことはしていないのに、というかむしろ本当は当たり前にやるべきことなのですが、最後までちゃんと言う自分、なんだか丁寧で良いな、と感じます。
さらに、この「最後までちゃんと言う」を意識してするようになってからなぜかお店でちょっとしたおまけをいただくことが増えました。
前述のチョコレート専門店ではおオレンジピールを一本、初めて入ったレストランではビスケットを一つ、お会計の後にいただきました。
この物価高におまけしてくれるなんて! 偶然でも嬉しいです。自然と笑顔になります。
そういえば昔こんな出来事があったのを思い出しました。同僚とどこか外国に旅行に行った帰りのことです。
空港で、現地通貨を日本円に両替えしようと私たちは窓口に並んでいました。仏頂面で外国人の担当者だったので私はちょっとドキドキしていました。
同僚が先に順番を迎え、窓口に立ってなぜか満面の笑みではっきりとこう言いました。
「ジャパニーズ エン!」
担当者は仏頂面のまま無言で同僚に日本円を渡しました。
一方私は旅先で英語を使うのが楽しみの一つだったので、待っている間になんて言おうか色々考えて何度も脳内シミュレーションした上でこう言いました。
「Would you please change to Japanese yen?」
すると驚いたことに仏頂面が張り付いていたように見えた担当者が満面の笑みになりました。そして明るくこう言ってくれました。
「Yes sure!」
なんだとっても嬉しかったです。
「ちゃんと最後まで言う」って国は関係ないんです。これをすると、相手も自分もちょっと嬉しい。さらにそのハッピーが結局自分に戻ってきます。
そして、そんな自分が少し好きになります。今日からすぐに実践できる、ちょっとした魔法です。
***
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