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私と舞台観劇~舞台との出会いとコロナ禍でのこと~


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記事:あんこ(ライティング・ゼミ2月コース)
 
 
「今日も面白かった!」
劇場からの帰り道、いつも充実感と少しの心地良い疲労感に包まれて家路につく。帰り道、やっぱり舞台が好きだという想いに駆られ、次に見る舞台を探してしまうのだ。
コロナが世界を席巻する前、年間15本以上の舞台を観劇していた私。ミュージカルからストレートプレイ、小劇場まで、いろんなジャンルを見る。
私が初めて自分で舞台のチケットを買ったのは、中学一年生の時のことだ。そのチケットを買うに至った過程は、今でも自分で不思議に思うぐらい、グットタイミングの連続だった。
中学生の時、たまたま読んだティーンズ小説が面白くて、その作者の作品を学校の図書館で片っ端から読んでいった。その中で、宝塚音楽学校を題材にした小説に出会った。当時、まったく舞台とは縁がなく、宝塚歌劇自体も知らなかった私には、その世界がどんなものなのか想像も付かず、夢を追う少女達のいちストーリーとして楽しんだだけだった。
しばらくして、ある日テレビを付けていたとき、偶然、宝塚歌劇のドキュメンタリーが放送されていた。初めて見る、きらびやかで華やかな世界。「こんな世界があるんだ!」と、興味がわいた。
偶然というのは、時に導かれるように起こるもので、その後すぐに信じられないことが起きた。地元の町内会の掲示板に宝塚歌劇の公演ポスターが貼られたのである。なんと、いつもは県庁所在地にだけ来ている宝塚歌劇が、周年事業の一環で、その年だけ地元の市民会館に来たのである。独特の舞台化粧にキラキラの衣装。「宝塚歌劇だ!」心が躍った。親に頼んで、チケットを買った。後ろから3列目の席のチケットだった。
公演当日、友人を誘って二人で見に出かけた。公演が始まると、軽快な音楽とともにミラーボールがまわった。田んぼの真ん中で生活をしていた中学生には、刺激的な世界だった。お芝居、歌、ダンス……。見るものすべてが新鮮で面白かった。それからしばらく、宝塚にハマった。今のようにCSもない時代。地方なので、頻繁に東京や本拠地宝塚に行くわけにも行かず、なけなしの中学生のお小遣いで雑誌などを買いあさり、テレビ放送を録画しまくった。その後は、宝塚出身者のミュージカルを見るようになり、そこから舞台全般を見るようになっていった。
旦那の転勤で東京に来て、いつもどこかで舞台を公演しているという状況がうれしくてたまらなかった。そして、いつしか年間15本以上の舞台を見るようになっていった。
そんな当たり前の生活が一変した。コロナである。舞台は軒並み中止となった。いくつかの舞台は、席が取れていたのにもかかわらず、払い戻しとなった。医療従事者の私は、みんながステイホームをしている最中も、ほとんど人気のない電車で出勤し、仕事をこなした。ストレスはすごかった。いつもなら、そのストレスを癒やしてくれるはずの舞台に行くことができなくなり、ますますストレスがかかった。少しして、舞台が再開してからも、今度は、自分が感染しない、そして人に感染させないために、思うように舞台を見に行けない状況が続いた。
そんな中、どうしても見たい舞台があった。席の配置や感染対策を念入りに調べ、見に行くことにした。三谷幸喜さんの舞台だった。久しぶりの劇場。感染に対する緊張感と共に、劇場に来れたことへの感動がこみ上げてきた。開演すると、舞台が始まる前に、舞台に対する想いなどを三谷さんが語った録音が流れた。その言葉に、私の中にあるいろんな感情が揺さぶられて、思わず泣いた。久しぶりの舞台は、やっぱり最高だった。
あれからまた、観劇を少しずつ再開した。職場での感染状況などで、行けない舞台もあったが、舞台への熱い情熱をもつスタッフ、キャスト、そして観客の想いを、コロナ前以上に、舞台を見に行く度に感じている。
これを読んでいるあなたは、舞台を観劇したことがあるだろうか? 学校の芸術鑑賞で観たけれど……という方も多いかもしれない。しかも、興味がなさ過ぎて寝ていたという人も、私の周りには結構いる。そんな私も、高校の芸術鑑賞会で観た京劇の悲恋のストーリーは、頭に入ってこなかった。今観たら、きっと食い入るように見ていたと思う。これは、名作と呼ばれる小説を読むことや修学旅行に似ていると思う。高校時代に教科書で読んだり、読書感想文で読まされたりした夏目漱石。いわゆるリケジョだった私は、まったく興味がわかなかった。しかし、大人になって夏目漱石を読んだとき、そのストーリーの面白さに気がついたのである。修学旅行だって、なぜこんなお寺に? と思っていたが、今となっては、旅行先での寺院仏閣の見学は欠かせない。演劇も同じだと思う。自分が好きなジャンルの話の舞台を観たとき、その面白さに気がつくと思っている。
舞台は総合芸術だ。舞台を観たことのない人には、敷居が高いと感じるのかもしれない。でも、その一歩を踏み出すと、今まで観たことのない世界が広がっている。テレビドラマや映画と同じく、その物語に笑ったり泣いたりしていく中で、学ぶことは多い。
 
 
 
 
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2023-05-03 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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