メディアグランプリ

小説はビジネス書より役立たない?


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:あこ(ライティングゼミ2月コース)
 
 
小説を読むのって、思っていたより面白い。
新幹線の中で、そんなことを思いながら、私は、本のページをめくっていた。
 
もともと私は、そんなに本を読む方ではない。
月3冊が平均。しかも、読むのは、ビジネス書が中心だ。
ここ数年の暇つぶしは、もっぱらSNSが中心。読書をしよう、と意気込んでも、Facebook、YouTube、Instagramを巡回している間に、時間が過ぎることがほとんどだ。
小説を読むよりビジネス書を読む方が役に立つ。
小説を読むより、SNSを見る方が、ストレス解消にもなるし、効率がよい。
そんな風に思っている自分もいた。
 
しかし、今回の帰省の新幹線の中。私は小説を読んでいた。
私は珍しくスマホを触る気にならず、小説を読んでみることにしたのだ。
スマホを触る気にならない原因は分かっている。
昨晩、飲みすぎた影響で、スマホの画面を見るのがしんどい。音楽を聴くにもイヤホンをすることを、耳が抵抗している。
ならば、小説を読んで眠気を誘い、眠ってしまおう、と思ったのだ。
 
しかし、予想外のことが起こった。小説を読むことでの発見が多く、京都駅に着くまで小説を読みふけってしまった。
 
私が読んだ小説は、主人公の女の子が何度も家族が変わる話だった。
家族が変わる、と聞くと、複雑な家庭事情や不幸な生い立ちをついつい想像してしまう。しかし、主人公は、家族が変わる度に愛情に恵まれてきた。主人公自身も物事を客観的に捉える力や感情に折り合いをつける力が磨かれてきた。
新しく家族になる人達も、主人公と向き合い、親としての責務を果たそうとする。
家族がお互い向き合い、人と向き合う中で、お互いの考えや想いを知り、歩み寄っていく。小説の世界はとても温かかった。そして、そんな話を読んでいくうちに、私も家族や結婚、子育てに偏見だらけだったことを思い知った。
 
結婚や子育てについて私が持つイメージは、姉や友人たちから聞く話から「大変さ」ばかりだった。
けれど、小説を読んでいると、親子の会話や向き合い方に、とても面白さを感じた。
ちゃんと一人の人間と、時間をかけて向き合うということは、とても貴重で大切、かつ発見が多い経験なのかもしれないな、と思い、結婚や子育てへのイメージがポジティブになった。
それと同時に、私が「結婚や子育てを大変」と思っているからこそ、姉や友人たちの話の中でも「大変さ」ばかりを強調して聞いてしまうのかもしれないな、とも思った。
 
自分は視野が狭くないつもりでいたが、「ビジネス書ばかり読む」という行為は、視野を狭めているのかもしれないなあ、ということに気づいた。
事実、私は小説を一冊読んだだけで、少し結婚や子育てのイメージがポジティブになったのだ。
また、小説は「人との対話」に少し似ているところがあるな、と思った。登場人物の心情や考えが描かれているため、色々な考え方を知ることができ、面白い。
共感できる考え方もあれば、そんな考えもあるんだ、と気づくことも出来る。
 
小説をあまり読まない私は、知らないうちに自分の視野を狭くしていたのかもしれない。
 
私はもともとそんなに読書をするタイプの人間ではない。学生時代は漫画ばかり読んでいた。
就職活動を始めた時に、本屋に行った際、就職に役立つことがいっぱい学べる、と気づき、ビジネス書を中心に本を読むことが増えた。
しかし、小説を読むことは殆どなかった。
一時期、ドラマをきっかけに東野圭吾作品を読んでいたことはあったが、続きが気になってしまい寝不足になるので、4作品を読んだところで、東野圭吾作品は封印した。
大学院に通い、その後、今の職場である研修会社に就職したこともあり、ビジネス書を読む機会は一段と増えた。
 
今の職場では、先輩や上司に小説や哲学書を読むことを薦められることが多かった。
きっと人間としての幅を広げるように、という意味なのだろうなあ、と思いつつ、私は仕事ですぐに役立つビジネス書ばかり読んでいた。
職場の人はビジネス書を読むことは大前提としたうえで、小説や哲学書を読んでいたからだ。
 
なんとなく、小説や哲学書を読むことがよさそうなのは分かるので、たまに小説を購入はしていた。しかし、必要性に迫られていなかったので、読むことを後回しにしていた。
 
ビジネス書は、確かに面白い。すぐに役立ちそうなことも書いてあり、仕事に取り入れられることも多い。発見も多く、学びも多い。自身の考えに自信を持たせてくれるものもあり、よいビジネス書に出会うと、ワクワクし、仕事へのやる気も一段と高まる。
けれど、今回数年ぶりに小説を読んでみて、小説を読む良さ、というものを発見した、と感じている。
 
まず、多くの人の考えや心情を知れることがよい。主人公をはじめ登場人物の心情・会話についての記載があると、「こんな考え方もあるのか」「こんな背景があるんだな」「この関係性は素敵だな」など、人の理解に厚みが出る。
描写によって、情景を想像できるのも良いことだ。昔は、いちいち想像するのが面倒くさく感じたのだが、今は頭に思い描くことで、現実世界から思考が切り離され、非現実世界へ浸ることが出来る。
今は、SNSや漫画など視覚的に分かりやすいものが溢れているからこそ、自分で想像してみる余地がある方が、新鮮で少し面白いのかもしれない。
そして、小説は「人と人とのやりとり」が中心になるものが多いため、温かい気持ちになることが多い。
私にとってビジネス書は「アドレナリンを出させてくれるもの」であるとすれば、小説は「心をほっこりさせてくれるもの」と位置付けられると思う。
 
SNSも漫画もビジネス書も小説も、それぞれ良いところがある。
ただ、私は今まで小説に触れる機会が少なかった分、触れること・見ることができていなかった部分があった。小説は、面白さはもたらしてくれるが、直接的な学びは少ないだろう、と思っていた私は、視野が狭かったんだなあ、と改めて思った。
加えて、目先の情報収集に重きを置くあまり、ビジネス書やSNSに偏重していた、ということにも気づくことが出来た。
目先の情報収集が大事なこともあるが、そればかりでは情報が流れていくばかりで、つまらないし、頭の中が疲れてしまう。
情報が溢れかえる今だからこそ、小説を読み、想像を巡らせ、ほっと一息つくことが大事なのかもしれないな、と考えた。
 
 
 
 
***
 
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

お問い合わせ


■メールでのお問い合わせ:お問い合せフォーム

■各店舗へのお問い合わせ
*天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。


■天狼院書店「東京天狼院」

〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
TEL:03-6914-3618/FAX:03-6914-0168
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
*定休日:木曜日(イベント時臨時営業)


■天狼院書店「福岡天狼院」

〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
TEL:092-518-7435/FAX:092-518-4149
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00


■天狼院書店「京都天狼院」

〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
TEL:075-708-3930/FAX:075-708-3931
営業時間:10:00〜22:00


■天狼院書店「Esola池袋店 STYLE for Biz」

〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-12-1 Esola池袋2F
営業時間:10:30〜21:30
TEL:03-6914-0167/FAX:03-6914-0168


■天狼院書店「プレイアトレ土浦店」

〒300-0035 茨城県土浦市有明町1-30 プレイアトレ土浦2F
営業時間:9:00~22:00
TEL:029-897-3325



2023-05-10 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事