メディアグランプリ

酒好きを学びにつなげて暴飲を正当化してみよう


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:Maki (ライティング・ゼミ4月コース)
 
 
室町時代の日本酒、飲んでみたくないですか。
 
1355年の日本で暮らす私たちの遠い祖先たちが嗜んだであろうそのお酒。2023年のいま、私たちは口にすることができるんです。
 
現在日本全国にある酒蔵数はおおよそ1400から1600程と言われています。その中には酒造ライセンスを保有するものの、稼働していない蔵も含まれているので実際の数はもう少し少ないものと想像します。昭和初期のピーク時には7000程はあったとされているので、その減少率はかなりのものであることがうかがえます。
 
一見すると衰退のように見える日本酒蔵の軒数ですが、必ずしも悪いことではありません。ちょうど大阪にあるUSJがV次復活を遂げたように、失敗すると後がないものだから、選択と集中がうまく回り始めるのかもしれません。多くの酒蔵が新しい味の追求やリブランディング、そして蔵人の若返りなどを図るなど、さまざまな試行錯誤をしていることが見受けられるようになったのです。その努力と技術の発展も高じて、最近では若者や女性、そして外国人など、これまで日本酒に無縁と思われていたマーケットでの人気が急上昇しています。
 
そんな風に新たなチャレンジをしている蔵の中でもユニークな取り組みをしているのが奈良県にある油長酒造です。実は個人的にも大変なお気に入り。大きい蔵ではないので年間生産量に限りがあるため正直ここで紹介するのは憚られるところではあるのですが、蔵存続のための見えない貢献と思いその独自の取り組みをお届けしようと思います。
 
1719年、享保4年に創業した油長酒造は、奈良県御所市に蔵を構えています。「鷹長」や「風の森」と言えば、アルコールを嗜む人であれば聞いたことがあるかもしれません。現在の蔵主さんは13代目なのですが、この蔵主さんがなかなかの筋金入り。なんと室町時代にまとめられたという日本最初の民間酒造技術書「御酒之日記」を読み解いてしまったそう。
 
挙げ句の果てには読むだけに飽き足らず、その技術書に記された手法を現代に生まれ変わらせたいと「御酒之日記」をベースにした酒造りに挑戦を始めたのです。そして2020年。それはついに「水端」と銘打って日本酒好きたちに公開されました。
 
今では冬醸造が当たり前とされる日本酒ですが、当時は四季醸造が一般的でした。今回は「御酒之日記」に記された通りに造るわけですから、当然夏にも仕込み作業をするわけです。もちろん使う用具もできるだけ当時のものを再現。ところが現代の日本。夏の湿気や暑さや突然のゲリラ豪雨など、外気温の状態が時間単位で変わっていきます。温度管理はお酒の味に大きな影響を与える要素ですので、この外気温という自然とのお付き合いは、この挑戦の大きな課題となりました。
 
ではそんな自然との戦いの中で、どのようにして味を整えていくのでしょうか。実際に水端ブランドを担当する蔵人さんに聞いてみたところ、このような回答が返ってきました。
 
きちんと最初に自分が造りたい味、目指したいクオリティの目標を立てる
自分でどうしようもできない外的要因は受け入れる
その上で、自分が目指す場所(味)にたどり着くには何をすれば良いか、どうすれば良いかを考えてやってみる
日々、ベストと思われる調整をする
コントロールしようとせず、自然と調和する。日本酒と対話する
 
これって実はマネージャーたちが知ってるとお役立ち。ビジネスにおけるゴール・ビジョン達成のフレームワークそのものなんですよね。
 
チームが実現したいゴールやビジョンをしっかり立てて、それが具体的にどうなっていれば達成できた、と言えるのかを設定して共有。そこへたどり着くまでに起こりうるコントロールできない障害には向き合った上で、チームと一緒にどうすれば良いか、何ができるのかを考えてとりあえずやってみる。しかもそれを一度だけでなく、毎日継続して行動をしていく。そのためにマネージャーは対話を通じて1人1人が主体性を持って動けるように環境を整えてサポートをしていく。
 
蔵人さんのお話しと完全に一致していますよね!
 
そうして精魂込めて再現された室町時代のお酒「水端」は、年に2回の予約販売のみ。蔵人さんたちの歴史を紡いでいきたいという思いと、600数十年前にそこにいた私たちの遠い祖先の息遣いを感じながら味わってみるのはいかがでしょうか。というのは少し大げさでしょうか。
 
ちなみにこの水端、一般的な日本酒瓶の容量である720mlではなく500mlと少し少なめ。しかも独特な濃いトロな芳醇で優しいお味は本当にクセになって止められないんです! 気付けば1人で1本空けてしまっていたわけですが、ゴール・ビジョン達成についての研修で使えるネタが手に入ったんだから一石二鳥としておきましょう。
 
さて、そろそろ冬醸造分がリリースされるはず。いつものあの酒屋さんに行ってきます!
 
 
 
 
***
 
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

お問い合わせ


■メールでのお問い合わせ:お問い合せフォーム

■各店舗へのお問い合わせ
*天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。


■天狼院書店「東京天狼院」

〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
TEL:03-6914-3618/FAX:03-6914-0168
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
*定休日:木曜日(イベント時臨時営業)


■天狼院書店「福岡天狼院」

〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
TEL:092-518-7435/FAX:092-518-4149
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00


■天狼院書店「京都天狼院」

〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
TEL:075-708-3930/FAX:075-708-3931
営業時間:10:00〜22:00


■天狼院書店「Esola池袋店 STYLE for Biz」

〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-12-1 Esola池袋2F
営業時間:10:30〜21:30
TEL:03-6914-0167/FAX:03-6914-0168


■天狼院書店「プレイアトレ土浦店」

〒300-0035 茨城県土浦市有明町1-30 プレイアトレ土浦2F
営業時間:9:00~22:00
TEL:029-897-3325



2023-05-10 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事