「マッチングアプリで幸せになりました」発言で気付いた呪いの正体
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記事:村人F (ライティング実践教室)
「私、マッチングアプリで幸せになりましたよ」
この友人の一言に、なぜか強烈な違和感を覚えた。
日本語としては何も問題点はない。
マッチングアプリを使って相手が見つかった。
だから幸せになった。
矛盾の全くない文章である。
ただなぜか一日中、この発言が頭から離れなかった。
それは「マッチングアプリで幸せになれる」と思っていなかったからだろう。
僕が抱いていたイメージは、やってもいないのに散々だった。
色々とデータを登録したところで、結局見るのは顔写真、年収、年齢だけ。
そのような薄っぺらい情報で判断して、いい相手に出会えるわけがない。
このような目で蔑んでいたのだ。
しかし目の前の友人は確かに「幸せになった」と言った。
そして、見るからに幸せそうである。
この光景は、僕が自身に掛けていた呪いの正体に気付くのに十分だった。
なぜ幸せになれないと決めつけていたのか。
それは、幸せじゃない自分を正当化するためではないか。
僕は33年の人生で彼女が一度もいたことがない。
そして「いい出会いがないからこの状況なんだよ」なんて周りに言う独身男性だ。
そのくせ相手がいないことにずっとコンプレックスを抱いていた。
だから、それを紛らわすためにカップルや既婚者に対するネガティブ要素を探しまくった。
男性は「お小遣いが厳しすぎる! 独身はいいな」と羨ましそうな目で僕を見てくる。
女性も「夫が全然家事をしない!」と愚痴ばかり言い続ける。
この状況になるくらいなら独身の方がマシだ。
そう、自分を納得させていた。
そしてマッチングアプリ批判も、同じ文脈の中にある行為だ。
金しか見ない出会い。
文字だけで何が理解できる。
やってもいないのに散々な文句だ。
しかし考えてみれば、これら全ては相手が見つからない自分を慰めるための惨めな自己防衛に過ぎなかった。
マッチングアプリがなぜビジネスとして成立するのか。
それは幸せになった人がたくさんいるからに決まっているではないか。
結婚もそうだ。
独身では決して得られない宝があるか選ぶのである。
この事実に目を背けて自分にない存在を持つ者達を妬んでいるのが、僕のマッチングアプリ批判の本質だった。
まさに己に対する呪いではないか。
これを抱えている状態で幸せになれるわけがない。
この事実を認識させるのに、友人の「幸せになった」発言は十分すぎる威力だった。
ただ同時に、呪いを解く方法も見つかった。
素直な心でマッチングアプリと向き合えばいいのである。
使ってもいないのに幸せにならないと決めつけていたのだ。
ならば実際にインストールして試してみればいい。
そうして勧められたアプリに登録してみる。
最初に聞かれた情報は趣味だった。
複数ある選択肢のうち、当てはまるものを選び続ける。
5分ほどやっても終わらなかった。
選ぶごとに派生データが増えるから、チェックが止まらないのである。
結果的に30項目ほどセレクトしたところで体力が尽き果て、次の質問に進むことにした。
まだ趣味の50%も答えられていないのに。
そして名前と職業を入力する欄になったが、定番の年収が聞かれない。
それを抜きにして、「それではスタートしてみましょう」という流れになってしまった。
つまり、このアプリは純粋に趣味が合う人とマッチングできるよう設計しているということだ。
お金の話は仲良くなってからでいいじゃないか。
そういう製作者の意図を感じた。
この時点でマッチングアプリに対する愚かな勘違いを恥じていた。
だから本腰をいれようという気持ちが沸き上がってくる。
プロフィール画像に使える写真がないので、通っている天狼院書店の写真教室にいる参加者から撮ってもらおうか。
自己紹介文に2000字書いてもドン引きされないだろうか。
前向きな姿勢でアプリと向き合う心境が、どんどん醸成されていった。
きっと、これこそが幸せになるための資格なのだろう。
誰かやアプリを妬んでいる状態が、自分に良い影響を与えるはずがないのである。
そのようなことをしても負の感情がさらなるネガティブを生み出す無限ループに陥るだけだ。
ならば、僕も素直に幸せになりたいという気持ちのまま向き合うべきなのだ。
そしてアプリには同じ目的を持つ仲間がたくさんいる。
ここで切磋琢磨していけば、きっといい相手が見つかるはずなのだ。
その証拠が目の前にいる友人だ。
「幸せになった」という何気ない発言で僕の呪いが解けたのは、それが明らかだったからである。
この後に続くよう、素直な思いで出会いに向き合っていきたい。
***
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