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困ったアイツが一瞬で可愛くなる方法


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:くろねこ(ライティング・ゼミ4月コース)
 
 
「チョロQみたいですよね」
 
その瞬間、緊張した空気がふっと緩み、思わずクスッとしてしまった。
悩みのタネがおもしろネタに変化して、気持ちがすーっと軽くなる。
事実は変わらないけれど、捉え方次第でプラスに変えることもできる。
そんな方法を共有させてほしい。
 
 
私はITベンチャー企業で人事として働いている。
職種柄、日々様々な要望が寄せられたり、あの人に困っている、という相談が来たりすることもある。
かつての私は、その対応の度にもやもやしたりイライラしたりしていた。
 
その頃私を悩ませていたのは、20代半ばの社員だった。
新卒で当社に入社をした彼は、持ち前の行動力を活かしメキメキと頭角を表していた。これをやろう、と決めた後の行動に移すまでのスピードが極めて早く、頭の回転も早い。誰もが彼の将来に期待をしていたし、私のその一人だった。
 
ただ、そんな彼にも困った点がある。それは周囲への事前の調整なく物事を進めてしまうことだった。本来ならば、法的に問題はないか事前に法務に確認したり、ビジネスモデルによっては経理とも会計の処理方法を相談したりしながら進めていくところだが、彼はすっ飛ばしてしまう。そしてあとからストップがかかり、結果的に様々な人に迷惑を掛けてしまう。周りも困惑し、ちゃんと面倒見てよね、という注意が私に届く。
 
皆様のご要望はもっともだ。一方で彼の行動スピードは何物にも代えがたい強みでもある。
彼にも改善の仕組みが必要だが、周囲も彼をサポートできるような、そんな形が理想なんだけどな、と頭を悩ませていた。今後の対応策について話し合っている最中に、チームの女性が楽しそうに言った。
 
「彼って……チョロQみたいですね」
 
……チョロQ?
床に置いて、タイヤを床につけたまま、うしろにびーっと引っ張って手を離す。
そうするとしゅるしゅるしゅるー! と猛スピードで走り出す、あれ?
 
「そうです! 手を離すと一気に走り出しますよね」
 
確かに。彼はチョロQだ。
最初からトップスピードで走り出す姿も、ハンドルもブレーキも持たない、ある意味いさぎよい姿もまさに彼そのもの。障害物にぶつかるまで走り続ける。なんてうまい表現なんだろう。彼の一生懸命な姿とチョロQの真っ直ぐさが重なって、笑みがこぼれる。
 
不思議なもので、目の前で起こっている事実は変わらないのに、ニックネームがついたことで可愛い存在になる。思い返してみると、私の大体の「もやもや」や「イライラ」は自分だったらこうするのに、なんでそうしてくれないの? 普通そうするよね!? という考えから生まれていた。私の中の常識を基準に判断していたのだ。
 
あだ名がついたことで、自分と他の人は違う人間である、だから判断軸も行動パターンも違うのだ、という当たり前の事実を認識しやすくなった。さらにキャラ化することでそういう行動を取るのは仕方ない、だってチョロQなんだもの。それ前提でどう対応しようかな、という気持ちも生まれた。
 
翌日、彼にあなたの姿は私からはこのように見えている、と伝えた。
「走り出したら誰にも負けない。ただしスタート後の軌道修正が難しいので、事前にこれは確認しよう」これまでも何度も伝えてきたが、共通イメージを持つことで今までで一番伝わったように感じた。後日、それよりもさらに大きなメリットがあった。周囲の人からの理解だ。彼の特性を伝える上で、チョロQという単語を用いるとみんな「ああ、なるほど。そっか」とクスリと笑う。そして、それならばこういう支援がいいね、というアドバイスや協力も得られるようになった。
 
ニックネームの力はすごい。そのパワーを侮ってはいけない。
ニックネームを考えるとき、悪い感情が湧いているのであれば落ち着くまで待とう。冷静になってから、その人の行動特性を抽象化して類似しているものを探す。そしてなにより愛を込めたものにすることが大事だ。基準は本人が聞いても嫌な気持ちにならないものがよい。
 
 
おなじように、当社ではニックネームを持つ社員が多数いる。何度怒られても全くへこたれない彼は「フェニックス」の二つ名を持っているし、自分がハワイ旅行に行くために全社イベントの日程をずらそうとする若手マネージャーは「ハワイアン王子」と呼ばれている。(毎年無理やり日程を調整してハワイにいくのはきっと王族クラスの重要な人物で、向こうで仕事があるに違いない、という仮説からだ)
 
ちなみに私は無理難題を突きつけられると、全ての感情を停止し、無表情になって業務処理をし始めることから「鉄仮面」と呼ばれている。会議中にメンバーからこっそり「鉄仮面でてます!」と注意されるので、元に戻れるきっかけももらえる。
 
 
人と関わる以上、困ったな、ちょっと苦手かも……という人は出現するものだ。
いまこそあなたのネーミングセンスを発揮して、困ったアイツを可愛いキャラに変えてしまおう!
そして、素敵なニックネームができた暁には、ぜひ教えてほしい。
 
 
 
 
***
 
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2023-06-07 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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