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断(コトワ)リストの極意 ~町工場における総務部のお仕事徒然記~


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:むぅのすけ(ライティング・ゼミ6月コース)
 
 
私は究極の断リストを目指している。
……聞き覚えがないだろうけれど、お許しいただきたい。
電話で上手くお断りできる人という意味で、私が勝手に作った言葉である。
 
 
会社の電話が鳴ると、私の出番だ。
事務所内で紅一点の私は、ひときわ明るい声で電話にでる。
相手が、普段から付き合いのある会社の人であったら、待ってもらって担当者に代わるので何も問題はない。
そうでなければ、大抵は断ればよいだけだ。
 
だがしかし、である。
断り方を間違えると、地獄にハマってしまう。
どんな相手でも、電話の切り際は気持ちよくありたいものなのに。
 
町工場には、多くの、実に多くの営業電話がかかってくる。
特に多いのが社長あてのものだ。
小さい組織でやっているので、あらゆる決済権を社長が持っていることをよく理解しているのだろう。
求人・携帯電話など身近に感じるものから、不動産・証券・信用金庫・業種に関わる機械や配送関係・ITシステム・商工リサーチなどなど……
 
それはもう多岐に渡る内容の業者が、なんとか自分の利益に繋がる決断ができる社長にたどり着こうとしてくる。
敵もさるもの、最近ではあの手この手を使ってくる。
 
『先日、社長と打ち合わせをさせてもらったので~』
などと言ってくる言葉を真に受けて確認したら、社長は、社名も相手の名前も全く覚えがない。
なんてことも結構ある。
こちらとしては
社長が用事のある業者か、はたまたお客様か、と一生懸命お相手したのにぃぃ……時間と労力を返せ!
なんて腹を立てても仕方がないので、こちらも断りスキルを上げていかねばならないのだ。
 
 
電話の相手が、断るべきお方かもしれないと判断すると、私の脳内でスイッチが入る。
 
『どういったご用件でしたでしょうか?』
務めて明るく、そして優しい声色だ。
その時点では、社長が『いる』とも『いない』とも言わない。
そこから、人材派遣や法人携帯電話など、明らかに自社に必要ないことがわかれば、シンプルに断る。
『結構です』 という言葉は、必要という意味にとれなくもないので使わない。
 
『すみませんが派遣の方の雇用は、これまでもこれからもないので、お断りするようにと言われております……』
 
『せっかくですが社用のケータイでしたら、先日見直したところなので、お断りするようにと言われております……』
 
これらのポイントは
まず意に沿えないことへの謝罪と、我が社が断るべき理由を明確にして、会社の方針として必要ないと宣言することだ。
ここまでキッパリ申し上げると、相手は諦めて、また機会がありましたら~~と、感じよく去ってくれる。
 
内容によって
一応、社長に、必要かどうか、もしくは知り合いかどうかを聞いてみようかしら……となったら
 
『確認しますのでお待ちください』
まるで、社内にいるかどうか調べるような口調で保留ボタンを押す。
 
最終的にはたいてい上記のような理由をつけて
『申し訳ないですがお断りするように、とのことでした』
又は
『社長は出てしまっておりまして……ええ、戻っては参りますが、出たり入ったりですので、いつなら居るかというのは、私どもはわからないんです……はい、申し伝えておきます』
と不在を装って遠ざける。
狭い社内で、すぐそこにいたりしても。
 
 
質が悪いのは、用件をダラダラと一方的に話してくる業者だ。
テレアポのマニュアルに、とにかく話続けろとでも書いてあるのかと言わんばかりに、こちらをお構いなしにしゃべり続けてくる。
 
断ることが苦手な人は、必要ないのにいつのまにか時間を取られたり、うっかりこちらの情報を明かしてしまったりするかもしれない。
それは、会社としての損失である。
 
断るならば
最短でこちらに必要な情報を聞き出し、相手がぐぅの根も出ない根拠と意思を持って断るのが断リストの極意だ。と私は考えている。
 
必要ないことを相手のペースで次々と話してこられたら、容赦なく話を切ってよいだろう。
そんな相手には、こちらから逆にどんどん質問してしまうと、主導権はこちらに戻ってくる。
 
だけれど
調子よく話している相手に水を差すことは、なかなか難しい。
でも、今この時間が会社の、果ては自分の損失であるなら、できれば回避したい。
 
とはいえ何も言えないかも……そんな時の秘策がある。
 
時間はどんどん経ってしまう。
うっかり、ハイ、ハイ、と相槌を打ってしまうかわりに、聞こえていても聞き返してみるのだ。
 
『え? 今なんとおっしゃいました?』
 
『はい? ○○って……どういうことですか?』
 
話の腰を一旦折ってしまう隙に、断る意思を固めておいて相手が質問に答えるのを待つ。
その答えに対して
 
『それでしたら、お断りするように言われております……』と畳みかけられたら成功だ。
 
 
無用な営業電話に時間を取られるのは、単純に嫌なものだ。
断った瞬間にガチャ切りされようものなら、余計に腹も立つだろう。
 
その中で究極の断リストを目指す私が、絶対に守ると決めている掟は
相手も人であることを忘れないことだ。
 
当たり前だが
いくら相手がしつこい営業電話であろうとも、こちらのうっぷん晴らしのように荒い態度で接することはしない。
 
断るからこそ、極力丁寧に接したい。
自分だけでなく相手の分も、時間と労力と切際の気持ちを守りたい。
 
そうやって務めていると、もしかしたら回りまわって、いつか我が社のお客様に繋がるかもしれない……なんて下心もありつつ、今後も密かにお断りスキルを磨いて行こうと思っている。
 
 
 
 
***
 
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2023-06-21 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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