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「敗者こそおいしいポジションだ」と思うと人生が面白くなる理由


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:松本萌(ライティング・ゼミ6月コース)
 
 
「敗者はおいしいポジションだ」
こう聞いたらどう思うだろうか。
「おいしいポジションじゃなくて、おしいポジションの間違いじゃないか」と思われるかもしれない。
書き間違いではない。
敗者こそおいしいポジションだ。
なぜ私がこんなことを言うのか不思議に感じられたなら、ぜひ最後まで読んでほしい。私が実体験を通じて学んだことを紹介したいと思う。
 
私が初めて海外に行ったのは高校2年生の夏。学校主催の語学研修に参加し、二週間オーストラリアのブリスベンに滞在した。ホームステイをしながら現地の高校で英語の授業を受け、夜や週末はホストファミリーと過ごすという英語漬けの毎日がとても楽しかった。
 
オーストラリアでの思い出が深く心に残り、また海外に行きたい、現地の人とコミュニケーションをとりながら英語を学びたいと思うようになった。
 
学生の時は海外に行くお金がないため、どうすればよいか考えた結果が「語学研修」への参加だった。勉強が目的であれば親は援助してくれるだろうと思い頼んだところ、読みが当たった。
 
人生二度目の海外は夏の一ヶ月間カナダのモントリオールにある大学の寮に滞在し、英語習得のカリキュラムを受けるというもの。日本からの参加者50人程に対し、現地の大学生数名が私たちのお世話をしてくれた。
 
その中に対照的な男子学生二人がいた。
 
一人は色白のひょろっとした体型でぶ厚いレンズの眼鏡をかけており、たいてい真顔かみけんにシワをよせている真面目くんタイプ。
名付けて学級委員長。
いかにも真面目そうな顔立ちなのだが、よく見ると眼鏡の奥にある目は大きくクリッとしていて、まばたきをする度にパシパシと音がしそうな長いまつげの持ち主。全女子が「私もあんなまつげになりたい」とため息交じりにつぶやいてしまうような目許だ。
よく友人たちと「眼鏡をとった素顔が気になる」と話していた。
 
もう一人はやや長髪でゆるくウェーブのかかった髪型、目許の笑いじわが印象的で白い歯を見せながらいつも陽気に笑っているラテン系男子。
日本の学生とはもちろん、現地の大学生仲間ともいつも楽しそうに話していて、周囲に人が絶えない人気者タイプ。
名付けてラテンくん。
 
学級委員長は親しみやすい雰囲気ではないものの、困ったときはいつも親身になって助けてくれた。
ラテンくんは「ハーイ、ガールズ! 今日も元気?」とみんなに分け隔てなく接し、いつも明るい気持ちにさせてくれた。
 
どうしてそんな話になったのか忘れてしまったのだが、ある日友人と二人で賭けをすることになった。
内容は炭酸ジュース一気飲み。
敗者は学級委員長に「眼鏡を外して」と頼むというものだった。私たちはどうしても彼の素顔を見たかった。
 
炭酸の一気飲みをしたことはなかったが、なんとかなるだろうと思っていたのだが。
考えが甘かった。
一口目を勢いよく口に含んだ瞬間、大いにむせた。私が苦しんでいる間に友人は飲み干し、私の負けが決定した。
 
賭けのことを知った他の友人達がニヤニヤしながら見守る中、学級委員長に「眼鏡を外してほしい」とお願いしたら「眼鏡がないと全く見えないから外せない」と真顔で言われた。
死ぬかと思うほどむせて辛い思いをしたのに、報われずに終わった。
 
語学研修も終盤にさしかかった頃、カリキュラムの参加者を対象にしたパーティーがあった。各テーブルの真ん中に花が置かれていて、私たちのテーブルには真っ赤な一輪のバラが飾られていた。
この一輪のバラをラテンくんがくわえたら、絵になるんじゃないかと盛り上がった。
 
賭け第二弾をする時が来た。
賭けをするのは前回と同じ友人と私。
内容はデザートに出たアイスの早食いだ。
 
同じテーブルに座る現地大学生や日本人の友人たちに見守られる中、賭けが始まった。
二度も負けたくない私はアイスの冷たさを物ともせず勢いよく食べたが、僅差の差でまたしても負けた。
 
ラテンくんは笑いなが「いいよ!」と言ってくれるだろうと想像しながら、ニコニコしながら私たちのテーブル近くに来たラテンくんに「このバラをくわえてくれないか」とお願いしたら、いつも陽気なラテンくんが固まった。
 
顔を赤くして「えっ、バラをくわえるの? それはちょっと……」
と言いつつも、最終的にはバラをくわえてくれた。
恥ずかしそうにはにかみ笑いでバラをくわえたラテンくんと、そのラテンくんを満面の笑みをたたえながら囲む女子達との写真を、私は今でも大切に持っている。
 
日本に帰国した後も、この賭けの話をするたびにみんなで笑った。
「女子大生が炭酸一気飲みとかアイスの早食いとか、普通しないよね」
「しかも二回も負けるなんて」
「学級委員長の素顔、結局見られなかったね。見たかったな」
 
振り返ってみると、みんなの心に残る思い出を提供したのは賭けの敗者である私だ。
学級委員長へのお願いは不発に終わったが、一回目の賭けがあったからこそ、二回目が盛り上がったと言っても過言ではない。
こう考えると、敗者であることは勝者以上においしいポジションと言える。
 
もちろん常に敗者であることは好ましくないだろう。
ただ別の言い方をすれば私は賭けに負けた人ではなく、みんなに楽しい思い出を提供した人になる。
 
ビジネスの世界であれば負けた原因を追及することで、次の成長に生かすことができる。偉人たちだって最初から成功したわけではない。たくさんの失敗や負けを経験し、それを糧に諦めずに極めたからこそ「成功者」と言われるようになったのだ。
 
敗者はかっこ悪くない。
むしろおいしいポジションだ。
負けを恐れず、躊躇せず色々やることで人生は楽しくなる。
 
最後に、この場をお借りして私たちの遊びに協力してくれた学級委員長とラテンくんにお礼を伝えたい。
あれから20年以上経った今でも、思い出すと笑いがこみ上げてきます。二人のおかげで楽しい夏を過ごすことができました。そして私は今でも英語が好きで勉強を続けています。
 
 
 
 
***
 
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2023-06-29 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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