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昔から、まことしやかに囁かれている『小姑は鬼1千匹』という言葉にある『鬼』の正体とは?


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記事:むぅのすけ(ライティング・ゼミ6月コース)
 
 
『小姑は鬼一千匹』
小姑一人は鬼一千匹と同じくらい、嫁にとっては厄介な存在だ……という意味で使われてきたこの言葉を知った時、10代だった私は、なんちゅうえげつない言葉かと驚いた。
嬉しい相手ではないかもしれないにしろ、鬼だなんて……
今風に言うと
あからさまにディスり過ぎなんじゃないか?
 
 
小姑とは、その家に嫁に来た女性から見て、夫となる男性の姉妹を指す。
いわゆる
夫のお姉さんである義姉、もしくは、夫の妹である義妹のことだ。
他家へ嫁いでいるにしろ、実家にいるにしろ、嫁いでいなくて実家を出ているにしろ、当然ながら、お嫁さん本人の望む望まざるに関わらず、結婚と同時に親戚となる相手である。
 
 
か弱き女性を捕まえて『鬼一千匹』と同等だなんて、いったい何をもって言い出したのだろう。
 
例えば、めちゃくちゃ性格が悪い、とか
容姿が見るからに化物じみている、とか
なにか特別に変わっていて恐ろしい女性で、鬼と称されるだけの材料があったりするから、というわけではないのだ。
ただ男兄弟がいるだけの女性に対して、その男兄弟の妻となった女性視点では鬼になってしまうという。
 
しかも、一匹ではない。一千匹分だ。
 
確かにドラマや物語に出てくるような姑や小姑は、嫁に対して明らかに意地悪であったり、裏表が激しく陰で嫁を追いつめていたりという、悪役のような描かれ方をしていることも多かった。
姑とか小姑って、怖―い
なんて、そんな浅い根拠で思ったりした。
 
そしてもう一つ、あの言葉の理由になりそうなことに
昔は結婚と同時に同居することが当たり前で、正月等の帰省の時期に、小姑たちが実家に帰ってくるので、人数が増えるからお世話が大変だ……というのがあった。
 
だとすると、気を遣う相手が実家で羽を伸ばしに帰ってくるのは、それを姑たちが喜んで迎えるそのお世話をするというのは、嫁にとっては仕事が増えるだけである。
今よりもずっと、どんな家事にも手間がかかっていた頃のことだ。
想像するだけで骨が折れる気がすることもあるだろう。
でもお嫁さんが、そんなことを大きな声で口に出して、愚痴を言うのも憚られた時代だ。
鬼になぞらえたくもなるかもしれない。
 
時代は移り、令和の現代では、結婚後の暮らし方も大きく変化している。
両親と同居することも稀になり、夫の姉妹なんて普段の生活には関わらずに済むケースも多いのではないだろうか。
 
 
だがしかし、である。
嫁の立場となって約20年経った今ならわかる。
 
誤解を恐れずに言うならば、確かにその存在は厄介なのだ。
それも、とてつもなく。
不思議なのは、小姑がどんなにいい人であっても、ということだ。
 
 
ちなみに私の夫は、いわゆる真ん中長男だ。
お姉さんと妹さんがいる。
計算すると、私は二千匹の鬼を相手にしている……ことになる。
 
結論から言うと
夫の両親をはじめ、姉妹の2人とも、とても私によくしてくれる。
意地悪なんて、これまでにされたことない。
たまに会うときは、甥にあたる息子を赤ちゃんの時からずっと、とても可愛がってくれるし、ありがたいことに、私にもすごく気を遣ってくれるのだ。
 
 
そう
この『気を遣ってくれる』というのがポイントだ。
当然のように、私も先方に対して気を遣う。
当たり前である。
 
舅と姑にあたる夫の両親は、完全に上の世代なので敬って気を遣うのが当たり前だが、同世代の小姑には、また違った気の遣い方が必要だ。
 
正直言って、どんな気の遣い方が正解か未だによくわからない。
関わる時はごくわずかであっても、毎度、必死である。
そして無駄に力が入り過ぎているのだろう。
ものすごく、疲れてしまう。
 
……鬼を相手にしている気分に、なってしまうのである。
彼女たちに全く非はないのに、なんだかもう、ひたすら申し訳ない気持ちだ。
 
多分だが、彼女たちと私とは、お互いにこれまで近くにいなかったタイプの性格のように思う。
義姉の当たり前と、義妹の当たり前が、実は私とは違うことが多い。
その分、会話の流れやふとした動きに神経を張り巡らせて、その場を過ごさねばならない。
でもそれこそ、そんなものなのだろう。
違って当然なのだ。
 
慣れない頃は、私も未熟だった。
婚家の人の、自分と違うささいな感覚を目の当たりにする度に、絶望してもうムリだ!……なんて思っていた。
その時は必死だったのだろうが、まぁなんとか、今も踏みとどまっている。
未来で笑い話に出来れば上等だ。
 
 
『鬼』の正体とは
私の場合『嫁側が勝手にもう疲れる程に気を遣いまくってしまう相手』ということだ。
 
繰り返すが、相手は何も悪くない。
男兄弟がいるだけなのに、そしてそれも御自分で選んだわけじゃないのに、嫁がきたら密かに鬼一千匹分だと恐れられるだなんて……
なんてひどい話でしょう。
いやもう、本当に恐縮するばかりである。
 
そんな思いをしながらも、そもそもなんでそこまで気を遣うのか……?
 
それはやはり、とても大切な人だからである。
私が愛して共に生きる人の、大切な家族である姉妹のお二人は、私にとっても大切なのだ。
これまで親しい人にいなかったタイプだとしても、現在大切な人である事実は変わらない。
だからこれからも、お二人には精一杯の気を遣っていくことになる。
『鬼』というのは言葉の綾だ。
本当はたまに思い浮かべてそっと笑うだけで十分なのだ。
 
 
 
 
***
 
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2023-06-29 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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