メディアグランプリ

24時間戦う世代の現代社会を生きる心構え


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:花 橋子(ライティング・ゼミ4月コース)
 
 
社会人にとって、急な体調の変化というのは恐ろしい。
 
先週、立ち仕事をしていたとき、尋常でないほどの汗が出てきて、急にめまいに襲われた。これは熱中症かもと思い、スポーツドリンクを飲みながらしばらく座って休んでいたが、まったく良くならない。その日は学校のオープンキャンパスで、教員であるわたしは、自分の学科を紹介しなければならなかったため、帰ることはできない。その学科紹介の時間以外は保健室で横になり、自分の出番になったら会場に行くようにし、なんとかその日の業務を終えた。
 
しかし、次の日以降も、体調は回復しない。それでも教員として授業に穴はあけなくないため、だましだまし出勤していたが、ついにある日の朝、上司から「業務はこちらで対応するから休め」とメッセージが送られてきた。その日も「がんばれば行ける」くらいの体調だったが、「休め」と言われているのに無理に出勤してふらふらしているのもどうかと思い、その日はお言葉に甘えて休むことにした。
 
 
ここまで読んで、みなさんはどう思っただろうか。
 
上司が「休め」って言ってくれるなんて、うらやましい。
「がんばれば行ける」なら、行けばいいのに。
そこまで体調が悪いのに仕事に行くなんて、信じられない。
 
もしかしたら、世代によって感想が分かれるのではないだろうか。
 
 
24時間戦うCMをリアルタイムで見ていた世代のわたしにとっては、仕事を休むというのは、なかなかハードルが高い。加えて、今年80歳になるわたしの父は超仕事人間で、少々の体調不良など意に介さず、40度近い熱が出てどうしようもなくなったら休むという人だったため、わたしは仕事とはそこまでしなければならないものなのだと、自分が社会人になるまで信じていた。だから、プライベートの用事で有給休暇を取っている人を見たときには驚くと同時に、とても安心したのを覚えている。
 
 
今は仕事上、新卒の求人情報を見たり、会社説明会を聞いたりする機会が多い。「社員のプライベートの充実を重視しています」、「働き方が自由に選べます」などなど、わたしが就職活動をしていたころには考えられなかったワードが、企業のアピールポイントとして並ぶ。24時間戦う世代のわたしとしては、羨ましさとともに若干の違和感もあるのだが、これが今の働き方なのかと思って、それを眺めている。
 
 
働き方だけではない。AIの活用にしても、LGPTの問題にしても、新たな考え方や価値観が次々と生まれている。いや、これを「新しい」と思うこと自体、年齢を重ねているということなのかもしれない。
 
20歳前後の学生は、まだ社会を「学ぶ」段階にあるから、今、起きていることが新しいとは感じない。「社会ってそういうもの」として捉えているのだろう。実際、先ほどのワークライフバランスを重視する企業のアピールも、今の学生は当然のこととして受け取っている。
 
一方、社会の荒波に多少なりとも揉まれた世代は、自分なりの社会に対する理解と処世術がある。しかし、社会はどんどん変化していく。自分が理解していた社会と現実の社会は、ぼんやりしていると、あっという間に乖離してしまう。苦労して身につけた処世術はどんどん通用しなくなっていく。それで、不安を感じたり、イラだったりする。
 
わたしも同じである。正直、理解できないことやモヤモヤすることもないわけではない。でも、変わってしまうものは変わってしまうし、それに抗うのは、いたずらに気力を消耗する。だから、わたしは新しい考えに出会ったとき、次のように自分に投げかける。
 
 
「そうなんだ。で、自分はどうしよう」
 
 
いったん受け止め、そのうえで自分の処し方を考えるのである。ポイントは、あくまで「自分」の処し方であるという点である。
 
多様性の社会といわれる今、すべての価値観や考えを受け入れるのは難しい。受け入れられないものに出会ったら、それを批判したり否定したりするのではなく、その中で、自分がどう行動していくかを考えていくことが大切である。
 
今は、SNSで他者の共感を得ようと躍起になっている人が多い。しかし、他者から共感を得られる言動をしようと思えば思うほど、自分がしたいことがわからなくなり、苦しくなってしまうのではないだろうか。そもそも、他人に自分の言動を認めよということ自体、多様性から逆行していると思う。
 
他者と自分を切り離し、自分で生き方を選択し、他者の選択には干渉しないこと。それが、現代社会を生きるわたしの心構えである。
 
 
だから、わたしは、仕事より充実させたいプライベートがある人がうらやましいなあと思いつつ、いまだに24時間戦う社会人である。
 
ちなみに、ずっと続いているめまいは、自律神経の乱れによるものだと医者に言われた。24時間戦えるあのドリンクを買いに行かねば。
 
 
 
 
***
 
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

お問い合わせ


■メールでのお問い合わせ:お問い合せフォーム

■各店舗へのお問い合わせ
*天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。


■天狼院書店「東京天狼院」

〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
TEL:03-6914-3618/FAX:03-6914-0168
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
*定休日:木曜日(イベント時臨時営業)


■天狼院書店「福岡天狼院」

〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
TEL:092-518-7435/FAX:092-518-4149
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00


■天狼院書店「京都天狼院」

〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
TEL:075-708-3930/FAX:075-708-3931
営業時間:10:00〜22:00


■天狼院書店「Esola池袋店 STYLE for Biz」

〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-12-1 Esola池袋2F
営業時間:10:30〜21:30
TEL:03-6914-0167/FAX:03-6914-0168


■天狼院書店「プレイアトレ土浦店」

〒300-0035 茨城県土浦市有明町1-30 プレイアトレ土浦2F
営業時間:9:00~22:00
TEL:029-897-3325



2023-07-19 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事