メディアグランプリ

駅で見た衝撃的光景からちょっとだけ未来のことを考えた、っていう話


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:桜井なな(ライティング・ゼミ6月コース)
 
 
「うそでしょ!」
これはある日の、心の中の大きな叫びだ。
私は東京都内に住んでいる。
 
日々電車にはお世話になってる庶民でござる。
 
ついでに言うと、私はどういうわけか昔から、よくも悪くも「他人の見た目」が気になる性分。
 
自分の見た目はどうなんじゃい、っていうツッコミは置いといて、ファッションや持ち物、歩き方などなど、つい他人様に目がいってしまうことが多い。
 
さまざまな人が乗っている電車、人が行き交う駅というのは、渋谷のスクランブル交差点並みに、ドッと、一度にたくさんの人を目にする場でもありますな。
 
東京に住んで約20年、いろんな人を見てきたと思う。
 
断っておくと、どんなファッションもどんな持ち物もどんな関係性も個人の価値観だと思うので、迷惑行為でない限りそれをどうこう、良し悪し云々言うつもりはまったくござりませぬよ。
 
そんな私がつい先日、ある衝撃的な光景を見た。
 
忘れもしない、あれは都営新宿線の市ヶ谷駅、平日の朝、ラッシュアワーは過ぎ、人にぶつかる距離感ではないくらいの時間帯。
 
その女性(ひと)は、おもむろに私の視界に入ってきた。
 
違和感……
 
からの衝撃!
 
目の前を早足でゆくその女性(ひと)は、「手ぶら」だったのである。
 
それがどうした? って?
 
いや、そう思う人もいるとは思うんだけども、わたし的には、結構な驚きだったのである。別に、「常識」なんていうつまらない言葉を使うつもりはないんだが、単純に、「え? 手ぶら? 荷物、ないの?」と思ったのだ。
 
だって、近所の100均で遭遇したわけじゃない。(それだって財布くらい持っていく)まだまだ通勤時間帯の市ヶ谷駅だ。
 
しかも、おそらくはお仕事に向かっているのであろう格好の、30代と思しき女性が手ぶらですよ。そりゃ、びっくりしませんか? おにいさん。
 
改札はどうやって通るんだろう? と思ったら、いや、もちろんそうだろうなとは思ったけれど、やはりスマートフォンを取り出して、それこそスマートにピッとやって、私の目の前ですり抜けていきましたさ。
 
もう、私は目が離せない。
 
ある意味、かっこいい。
かっこいいんだけども、やっぱり違和感しかない……
私以外の人は、特に彼女が気になる風でもない。だれもなにも感じないんだろうか? 私がおかしいのか? とさえ思ったけど、そもそもみんな、私みたいに他人様のことは気にならないものなのか?
 
化粧ポーチもお裁縫道具も持ち歩いてないくせに、なぜかいつも荷物が大きくなってしまう私。
そんな私だからなおさらかもしれないが、女性が、(おそらくはオフィスに向かって)手ぶらで歩いているという光景が、かなり衝撃的だった。
 
たまに、男性ではそういう人を見かけることがある。それもやはりなぜか目が行く。気のせいかもしれないが、そういう人はことさらに目立つ動きをしているからだ。正直なところ、「俺、スマートが信条なんで」って言ってるみたいで、(要は格好つけてる感じで)あまりいい印象は持っていなかった。
 
男性の手ぶらにも違和感を感じていた私だったからかのかもしれないが、人生で初めて見た、手ぶらの女性にはびっくりしたのである。
 
期せずして、行き先が分かれるまでしばらくの間、彼女の後ろを歩くことになったのだけど、その間ずっと、違和感は拭えなかった。でも同時に、だんだん、なんか笑えてもきた。
いや、その女性を笑っている、というのではない。なんていったらいいんだろう、強いて言うなら「ここまできたか」っていう感じ。お姉さんは嬉しいよ、的な。
何が、ここまできたか? なのかと言われるとまた困るけど、強いて言うなら、「日本」? 「東京」? 「時代」? (全然強いて言えてない)
ほかの都市も国も未来も知らないけどね。でもなんか、そんな感じ。
 
未来といえば、きっと数年後には、もっともっとたくさんの人が、手ぶらで歩いてるんじゃないのかな、とも思った。
あの違和感も、単に「見慣れてない」ってだけなんだろうなと。
言わずもがな、AI時代がやってきて、AIネイティブたちが社会に出てくる頃になれば、手ぶらどころの騒ぎじゃない、今の私なんかが想像もできない通勤スタイルが生まれているかもしれない。
考えてみれば、紙の切符がICカードになった時だって、多くの人が衝撃を受けて、その光景に違和感を抱いたのだろうな。
 
この手ぶら女性の話を同世代の友人に話したら「私、それ憧れる!」と言っていた。「たぶん、できないけど」とも。
そう、私も、憧れないわけじゃない。そして、たぶん私もできない。
 
だからこそ、目が離せなかったのかもしれないな。どっかで、羨ましかったのかもしれない。
「君はゆけ。私は行けない。君のゆく先に幸あれ。」
的な?
 
どんな「的(てき)」だよ、って感じだけど、なんとなく伝わるだろうか。
 
もしまた彼女を見かけたら、今度はどんな風に感じるんだろう? もちろん声はかけないが、心の中で応援しよう。
あなたの未来に幸あれと。
完全に、余計なお世話だけどね。
 
それよりも、いよいよAIの波が押し寄せて来た昨今、アラフィフの私の未来にもどうかどうか幸あれと、見捨てないでくださいと、願わずにはいられない。
 
 
 
 
***
 
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2023-08-02 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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