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線状降水帯による洪水の被害で学んだ「保険は大事だよ」


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記事:佐藤京子(ライティング・ゼミ8月コース)
 
 
ポコポコポコ! という可愛らしい音と共に、我が家に「洪水」がやってきた。
 
自宅は、河川と河川との間に挟まれた土地であることから、市が発行する防災マップでは、大雨による被害地域に指定されている。浸水の深さ0.5メートル~3メートルが予測される危険区域。
これまで、何度か、台風の影響等により、「避難勧告」が出されたことがあったが、隣近所まで、水害が及ぶことは一度もなかった。
 
だから、ここ数年、線状降水帯での被害ニュースを頻繁に目にしていても、どこか他人事で、こんな日が訪れることなど、思いもしなかった。
 
9月8日、午後5時30分、外は土砂降りの雨。私は会社を後にし、自宅へと向かった。
自宅から100メートル離れた橋を通過する際、橋下を流れる河川を見て、「ちょっとやばいかも」と声に出た。とても嫌な感じがした。
川の水面が、ものすごく近くに感じる。こんなに増水するのは、近年でも稀だった。
 
10分ごとに、スマホで、天気予報の雨雲レーダーを確認し、雨雲が去るのを願った。
でも、予測通りに雨雲が動いてくれない。
危険警告色の赤色に染まった雨雲が、大蛇となり、我が家の上空を通過している。
頭からしっぽまで、真っ赤に染まった長い胴体が、我が家の上空をゆっくりと動いている。
 
午後8時過ぎ、河川の氾濫に怯えながら、停電に備え、懐中電灯とロウソクを準備し、雨が止むのを待っていた。
 
その時、その音は鳴った。
ポコポコポコ!
外を見渡すと、すでに自宅周辺一帯は、湖と化していた。
河川が氾濫したのだ。
玄関から浸水してきた水は、あっという間に床上を這って、家の中一帯を覆っていった。
それは、土の混じったこげ茶色の汚水。
 
この茶色い侵入者に、抵抗することも、対抗することもできず、ただ見ているしかできない。ただ、ただ、虚しかった。
 
避難した先の、二階から見下ろした景色は、不謹慎だがキレイだった。
浸水された周辺一帯がキラキラしてやけに明るい。
広範囲に広がった水が、家から漏れる電気の明かりや、車のライトを反射させていた。
 
また、庭に停められ、車体の半分まで浸水した車のライトが点滅し続け、「ビー、ビー、ビー」とクラクションの音を鳴り響かせている。合唱するように、何台も、何台も。
とても異様な光景だった。
 
二階に避難して間もなく停電。
ロウソクの明かりの中、何もできず、ただ雨雲レーダーだけを見つめていた。
日付が変わる頃には、雨が止み、電気も回復し、床上15センチメートルまで上がった汚水が引けていった。
胃がキリキリと痛む夜だった。
 
翌日、あらためて被害の大きさを知る。
河川から溢れた水は、迷惑な土産をたくさん置いていった。
家の一階部分はもちろん、目の前の庭が、お隣の庭が、近隣の道が、泥で覆いつくされ、河川や橋には木材やごみが流れ着いていた。
変わり果てた姿、被災地感に涙がにじんだ。
 
この台風13号による線状降水帯は、市内の広範囲に被害を及ぼしていた。
床上浸水162棟、床下浸水265棟、道路被害56カ所。
3.11 東日本大震災以来の大規模な被害となった。
 
浸水被害では、汚泥の片付けや、汚水に浸かった家具等の廃棄や、消毒など行わなければならず、体力が削られる日々だった。
 
しかし、ライフラインが無事で、被害エリアが限定されていたことから、被災者とはなったが、心まで被災せずに済んだ。
 
泥を洗い流すための水は使えたし、猛暑日が続く中、エアコンも使えた。
汗と疲れた身体を癒す、お風呂にも入れたし、外食することも、飲酒することもできた。
 
また、浸水被害にあったことで、家屋の補修や家財購入の費用が発生したが、保険補償の対象となり、十分な保険金がおりるとのことで金銭的にも救われた。
 
火災保険では、床と壁紙の張替、システムキッチンと物置の買い替え。
家財保険では、下駄箱やソファー、リビングボード、タンス、本棚の買い替えができる費用が補償された。
火災保険も家財保険も、補償内容に「水災(水害)」をプラスしていたことが吉とでた。
貯金を崩さず、プチリフォームと新しい家財の購入ができることが不幸中の幸いだった。
 
さらに、納車2ヵ月で水没した愛車は、車両保険の新車特約(車両新価特約)を付けていたことで、新車購入費用が補償されることとなり、水没した車両と同じ車両を予約することができた。
 
もしもの時に備えて加入し、支払い続けた保険料。
今回の有事があって、保険の意味と、補償内容の理解が大切であることを、実体験を通じて学ぶ事ができた。「保険は大事だった」
 
あの日から、2週間経った現在。
ボランティアの方たち、親族、友人、会社のスタッフのお力を借り、床・床下・庭に溜まった泥を排出することができ、浸水により破棄すべき家財等も、全て処分することができた。
床や壁紙の修復など、まだまだ、道半ばではあるが、快適な我が家まであと一息。
 
今回の災害では、たくさんの方に心配してもらい、助けてもらい、救っていただいた。
無償の愛をたくさんいただいた。
この恩を忘れず、我が家なりに、お返しすべきことを考えていきたい。
 
大規模な自然災害が、いつどこで起こってもおかしくない今日。
皆さまには、災害に備えた対策と、保険内容のご確認をおすすめ致します。
 
 
 
 
***
 
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2023-09-07 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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