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人生二度生き、上書き


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:菅 宏之(ライティング・ゼミ8月コース)
 
 
人生は一度きり、ということは誰もがわかっていることだ。
それがために悔いがない様に生きたいとか、思った通りに生きたいが、なかなかその通りにはいかない。人それぞれのドラマとして、大なり小なり、山あり谷あり乗り越えている。
 
そんな中で、自分が意に介しなかったところで、人生を変えてしまうことがある。
例えば、台風や地震など天災に巻き込まれたら、どうだろうか。
また、世界中で一向に無くならない戦争もそうだ。自分は何も悪いことをしていないのに、
「えっ? そんな!?」
となるに違いない。
思っても見なかった病気にかかってしまった場合も同じで、
「なんで、こんなことになるの!」
と気持ちが動転してしまうことになる。
 
6年前の2017年、まさに自分がそういうことを経験した。
仕事の関係で2015年から2年間、タイへ海外出向することになり、駐在員として暮らしていた。もともとは3年間だったが、家庭事情のこともあり1年前倒しで日本に戻ることになった。
帰任してから、決まり事と言われて検診を受けることになった。期間が限られていたので、すぐさま診療所に行ったが、受診後1時間くらい待たされただろうか。看護師に呼ばれて診察室に入った。丸イスに座って向かった先生に笑顔はない。目線が合ったと同時に重い口をあけて、
「胸が苦しいとか、痛いとか症状はありますか? お体、しんどくないですか?」
「別に何もないですが。 一体、どういうことですか?」
すると先生が、
「お住まいの近くの病院を紹介しますので、早く精密検査を受けてください」
数日後、紹介の病院へ行って、精密検査を受けた結果、
「狭心症ですね。心臓をとりまく血管の1本の面積が1/4しかなく、このまま詰まってしまうと突然死です。しんどいとか、苦しい症状の自覚がないのは、最悪のシナリオですね」
「はぁ? どうもないのにいきなり死ぬとか、意味がわからない」
と、先生を怒鳴ってしまった。
「落ち着いてください。詳しく説明するので、ご家族の方呼んでもらえますか? 来られるまでの間、少し時間をあけましょう」
 
2時間後、カミさんが来てから先生から説明を受けた。その時、変な覚悟といったら良いだろうか。矢継ぎ早に、
「先生、あとどれだけ、生きることが出来るのでしょうか」
と、小声で言った。
「ハハハ……」
「なんで、笑うんですか! 手術するにしても、脚から血管を取り出して、胸を開けて付け替えるんですよね。待っている間にスマホで調べました。ホント、やり切れないです」
だんだんと気力が失せていく感じの中。急に先生の声が明るくなってびっくりした。
「よく調べましたね。でもそれは昔の話ですよ。今は詰まった血管にステントを入れて、血流を確保する治療法があります。それをお勧めしますが、いかがしますか?」
その後、いろいろ質問をした後、
「お願いします!」
 
1週間後、入院してカテーテル手術を受けて、患部の血管にステントを入れた。
術後の診察で、先生がこう言った。
「よし、経過は良好です。これからの20年、元気に心臓は動きますよ。今回の手術であなたの寿命が伸びたのだから、人生二度目のスタートですよ。確かあなたは手術前にやり切れないと言いましたね。それは日本語が間違っています。槍は切るものではなく、通すもの。これからの人生をしっかり、やり通してくださいね」
その言葉を聞いて、胸が熱くなって号泣してまった。
「二度目の人生のスタートですか。先生の言葉、一生大事にします」
 
それから3ヶ月に1回、定期診察に行っていたが、ある時病院に貼られた告知の紙で、突然の訃報を知ってがく然とした。先生が亡くなられたのだった。
「えっ!? なんで……」
「先生自らの命を犠牲にして、自分の命を救ってくれたんや」
 
今も定期診察に行く度、先生のことを思い出すが、同時に人生二度目のスタートというフレーズが頭をよぎる。
それからは仕事で自分が前面に立って指揮することをやめて、部下を引き立てるスタイルに変えた。そんな中で、人に教えることについて次第に興味を持つようになり、教え方みたいなことが学べないだろうか? と、探していたところ、九州にある大学院に教授システムという学問があることを知った。いろいろと調べていくうちに、
「自分が大学院? そんなこと思いもしなかったのに、これも先生が道を示してくれたのかな? しかし大学受験の時の作戦失敗もあるので、ちょっといきなりはキツいから、科目履修生の受験から始めてみよう」
知っての通り、大学は専門を学んで卒論を書いて単位を得るが、大学院となると研究が一層つきまとう。なので、院試となると論文や研究計画書が必要だということがわかった。
受験を思い立って、がむしゃらに論文を書いて、研究計画書を作成して出願した。
結果が届くまでの3週間はヤキモキしたが、合格してなんとか科目履修生になることが出来た。
「やったー! 合格というフレーズも本当に久しぶり。自分が信じられない」
「大卒が最終学歴だったけど、このまま学びを続けていったら大学院の正科生も夢でなくなるかもしれない。最新学歴を狙ってみるか」
科目履修生として2年が経過し、少しずつ取得単位が増えてきた。学びの中で議論していくうちに仲間も増えてきた。
「先生のお陰で、人生二度生きしている。そして、このまま学んでいけば大学院に進学して、学歴を更新できる可能性も出てきた。これこそ人生上書きだな……」
 
「人生二度生き、上書き」
これが今、自分にとっての信条である。この信条を懐に入れて、成長の旅は続く。
 
 
 
 
***
 
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2023-12-06 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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