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メディアグランプリ

言葉が人を作る、言葉が人を変える

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:桜井 祥子(2023年・年末集中コース)
 
 
父は言う。
 
「前みたいに失敗するなよ。ははは」
 
母は言う。
 
「そんな事言われたら嫌よねえ、
でも失敗しないように頑張るのよ、ふふふ」
 
私は思う。
 
「失敗しないように頑張らなくちゃ!」
 
私の出番が終わった。
ああ、良かった、失敗せずに終えられた。
 
父は言う。
 
「失敗しなくて良かったな、ははは」
 
母は言う。
 
「失敗しないかドキドキしちゃった、うふふ」
 
私も思う。
 
「失敗しなくて良かった!」
 
 
伝わるだろうか。
ウチの家系って、何だかちょっと、
言い方や考え方がネガティブなのだ。
 
別に、嫌だと思ったことはなかった。
父は、俺良い事言ったよな、って満足気だし、
母は笑ってるしで、
そういうものだと自然に受け止めていた。
 
でも、世の中みんなが
ネガティブなわけじゃない。
そのことに気づいたのは、20代半ば、
彼の実家に、結婚の挨拶に行った時だった。
 
「はじめまして」
 
緊張しながら、彼のご両親に頭を下げる。
 
笑顔が優しいお二人だけど、
正直、何を考えているかなんて分からない。
なんたって結婚の挨拶だ、
絶対失敗しないようにしないと。
 
いつもは大好きなビールも、
味が分からず、進まない。
 
お酒が入ったお二人は、彼を囲んで楽しそうだ。
話はだんだん、彼が小さかった頃の内容になっていく。
 
「オムツを外した次の日から、
ちゃんとトイレに行くようになって!
この子、神童だわって思ったのよ」
 
「誰よりも早くカタカナが読めるようになって、
この子、天才だって思ったんだよな」
 
「中学の時にはこんなすごいことをして」
 
「大学の時にはあんな立派なこともして」
 
びっくりだ。
この人たち、私という他人を前にして、
身内を褒めちぎっている。
ここではそれが自然なのか、
彼は恥ずかしがる様子もない。
 
ネガティブの国からやって来た私は、
初めて聞く言語の扱い方が分からず、
曖昧な笑顔で
「すごいですねえ」
と繰り返しつつ、
ビールをちびちび飲んでいた。
 
さらにびっくりすることが起きた。
お二人は、私のことを褒め始めたのだ。
 
「ビールのつぎかたが、本当に上手!」
 
「背が高くて良いねえ!」
 
ネガティブ国では、
酒ばっか飲んで嫁の貰い手がないぞ、とか、
図体ばっかり大きくて困ったな、
なんて言われていた。
 
褒め言葉を向けられることに慣れていなくて、
もじもじしてしまう。
「いえ、ビール、泡だらけですみません……」
とか
「背が高いと、こんな事に困っちゃって……」
とか、
変な返事をしてしまう。
ああ、お二人の真っすぐな言葉には、
素直に真っすぐ返したいのに。
 
そういえば彼は、私のことを否定しない。
そうか、だってあなたは
ポジティブ王国の王子様だものね。
 
彼に教えてもらおう。
ポジティブな言葉がけ。
ポジティブな返し方。
不束者ではございますが、
これからよろしくお願いします!
 
 
結婚して、はや15年。
彼のご両親は相変わらず、夫と私をセットで、
にっこにこの笑顔で褒めてくれる。
 
40の半ばのおじさんおばさんを褒めるのだから、
子どもたち(ご両親にとっての孫たち)などは、
朝から晩まで、何をしても褒められている。
 
可愛い、賢い、優しい、よく食べる、
センスが良い、運動神経が良い。
きっとお二人には、
見る物・聞く事・感じる事、
全てが輝いているんだろう。
 
そんな風に、
ポジティブな言葉のシャワーを浴びて
育てられた子どもたちは、
運動会や学芸会や部活の試合で、
最高に自信に溢れた姿を見せてくれる。
そして
「うまくできた!」
と、自信満々に教えてくれる。
 
私も自然と、
「やったね! 最高だったよ!」と、
とポジティブな返しができるようになった。
 
(心の中で、
「あそこはイマイチだったけど……」
と思うことはあるが、
それは言わなくても良いかな、と思う)
 
 
ネガティブな言葉とポジティブな言葉。
何かを表現するときに、
どちらを選ぶのもあなたの自由だ。
 
どちらでも選べるなら、
ポジティブな言葉の方が良いな、
というのが、今の私の思いである。
 
ポジティブな言葉は、まるで魔法のようだ。
 
相手を喜ばせることができる。
相手に自信を与えることができる。
そんな相手を見て、こちらも嬉しくなる。
 
言葉一つで、相手にも自分にも、
幸せの魔法がかかるのだ。
だから私は、これからも、
ポジティブな言葉を
選んでいきたいな、と思っている。
 
 
ところで、
2019年のM-1グランプリで決勝に残った、
「ぺこぱ」というコンビをご存知だろうか。
 
「悪くないだろう」とか
「時を戻そう」という決め台詞で、
思い出す人もいるかもしれない。
彼らの漫才は、「全肯定漫才」と呼ばれた。
 
激しいボケとツッコミが闊歩する中、
相手の言葉を否定しない、優しい世界。
こんな漫才が勝ち上がってくるなんて、
世の中のみんなも、
肯定されて癒されたいのね、と思った。
 
が、その後の2022年のM-1グランプリでは、
毒舌漫才のウエストランドが優勝したので、
やっぱり多少の毒は、必要なんだろうなとは、
思っている。
 
 
 
 
***
 
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2024-01-15 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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