メディアグランプリ

●元気がないなら、隣の駐車場代金を払ってみよう


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:小栗 健吾(ライティング・ゼミ10月コース)
 
 
「そっか。元気がでないんだね。では、隣の車の駐車場代金を払ってみよう」
 
「えっ? 何故ですか!?」
また、師匠が無茶なことをいう。別に僕でなくとも普通の人の反応だろう。
元気がないなら、隣の車の駐車場代を払おうと言われて、「確かにそうですね」と答える人はほとんどいないだろう。
 
「ペイ・フォワード、という映画を見たことはあるかい?」
また、話があちこちにとぶ。聞いたことはあるけど、ハッキリは知らない。
「勉強不足だなあ、すぐに見た方がいいよ」
そう言われたので、仕方なく次の日すぐにDVDを借りて映画を見た。
 
見終わって、少しだけ意味がわかった。
もちろん、映画の中で駐車場代を払うなんて話は一切でてこない。
簡単にあらすじを言う。社会科の先生が中学生たちに課題をだす。「もし君たちが世界を変えたいと思ったら何をするか?」と。ある少年は、受けた好意を他人に贈る「ペイ・フォワード」という行動を思いつく。
 
ある人が3人に親切にして、その人が親切にしてもらった人に恩返しをするのでなく、別の3人に親切にして、またその3人が別の人たちに、優しさ連鎖をしたら、どうなるだろうか。
なるほど、と思いながらも「アメリカの映画で教えてもらわなくても、昔から日本には【恩送り】という素晴らしい文化があるじゃないか」ということを考えた。
 
その翌日に、福島市にいった。
あるパン屋さんの前で、「お互いさまの街ふくしま・お互いさまチケット」という貼り紙に出会った。
「なに、これ?」と思って店内に入ってみた。
 
ひときわ明るい女性が、説明してくれた
「これ、お互いさまチケット、というんです。何だか誰かを笑顔にしたいときや誰かを喜ばせたいとおもうときありませんか? そんなとき、お客さまが商品の一部代金分を先払いしてチケットを先に購入しておいておくんです。すると、お財布がピンチの方や、商品をためしてみたかった方がこのチケットをつかって低価格で商品を買うことができます。
例えば、この380円のチケットを使えば、500円のパンを実質120円で買えます。使った方は、感謝のメッセージを残してもらいます。逆もまたしかりで、お客様がここのチケットを使って安く購入することもできます」
 
面白い取組だなと思った。福島では20店舗くらいが導入しているらしい。そのやりとりに、名前は一切必要ない。寄付する方はメッセージを書いて、ただおいておく。使う方は、感謝のメッセージを書く。
見知らぬ誰かのために恩をおくったり、受取ったり、だからお互いさまチケットと呼んでいるらしい。
 
その2日後に、金沢市の出身大学近くのカレー屋さんに行った。
そこにも「お互いさまチケット」があり、同じ取組をしていることにとても驚いた。
聞けば、福島にいって取組を知って感銘をうけたオーナーが石川県で初めて取組はじめたらしい。美味しそうなカレーが知らない誰かの御恩で、ほんのわずかなお金で食べることができる。
 
自分が大学生の頃、本当にお金がなくて生活が苦しいときがあった。
あのとき、こんな取組があったらと思う。腹いっぱい美味しいカレーライスを食べられるうれしさを考えると笑顔になった。
思わず、何枚もチケットを購入して、「いま、苦しいかもしれないけれど、遠慮なくチケット使ってカレーをたべて、いつか出世払いで次の世代におごってあげてね。30年前の卒業生より」と書いた。
気になって次の日にもお店に行ってみると既にチケットはなかった。
「後輩です。先輩、恩にきます。いつか、働くようになったら僕も誰かに恩送りします!」と感謝メッセージが書いてあって、なんだかすごく気持ちがよく、胸が温かくなった。
 
同じ時代に京都の大学にいった先輩は、お金がないときに、ラーメンなどを腹いっぱいたべさせてくれて、帰りに皿洗いをすると無料になる取組に本当に救われて、自分もお店を開いたときに学生には同じことをした、と聞いたことがある。
 
1週間のうちに、連続でそんな体験をして、自分もそんな恩送りの文化を日本に取り戻して広げていきたいと思った。すぐに師匠に会って、この間の動きを報告したら驚かれつつも、ニヤリと笑った。
「いや、そこまで気づいたら、もはや何もいうことはないよ。恩送りをしてみて、元気になったのは誰だい? 自分自身だよね。駐車場で隣の車の代金を支払ってみようよ、というのはちょっとわかりづらいけど同じことだよ。見知らぬ誰かに恩を送ってみようよ、というのと同じだ。きみが体験したことの方が間違いなくわかりやすく素晴らしいことだよ」
 
今では、よくわかる。結局、与える方が幸せをもらえるのだ。
それは自分にかえってこなくてよい。恩送りのチケットに名前もいらない。
もし聞かれたら、こう答えるだろう。
「名乗るほどの者でもございません。通りすがりのものです」と。
 
だから、時々いたずらのように、隣の車の代金を支払ってみたりする。
もしかして、車の清算をしようとしたとき、ほとんど料金がかかっていなかったら、僕や仲間のいたずらのせいかもしれない。その時は、笑って受取ってほしい。
 
 
 
 
***
 
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2024-02-07 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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