メディアグランプリ

自分を愛するということ

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*この記事は、「絶対麗度ライティング」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

絶対麗度ビューティー・レコーディング・ラボ



記事:小田ゆかり(絶対麗度ライティング)
 
 
先日の秘めフォト撮影の際、私は秘かな実験を行った。奇しくも1年前と同じアングルでの撮影。1年前の写真と今の写真と、自分がどう変わったか、見比べてみようと思い立った。
 
1年前、私は絶望の最中に居た。ふわふわと漂う、ぱんぱんに膨れた風船に、ある日突然、針がぶすりと刺された。心がバリンと音を立てて粉々に砕け散った。怒りや悔しさを燃料に再びそれを膨らましてみても、すぐにパンッとはじけ飛ぶ。自爆と誤爆、膨らまない心。自律神経がばたりと倒れた。ひしゃげた心を胸に痛々しく抱えていた時に「久しぶりに写真撮ってみませんかー?」と天狼院の田中さんはのんびりと声をかけてくれた。
写真に何が写るのか、写ってしまうのか、不安でもあった。でも、撮影に集った女の人たちの姿に不思議な勇気をもらった。「みんないろいろあるのかも知れないけど、みんなきれいだ」どの人も凛としている。ファインダーを前にして「これが私」と1本の花のようにすくっと立つ姿。その女性たちの美しさに、ひしゃげた心が少し救われた思いがした。数日後、出来上がった自分の写真を見たとき、勇気づけられた。「これが私」写真の中の私が私に向かって言ってくれているような気がした。「いろいろあるけど頑張ってるよ、私」そう言っているように思えたのだ。そして、ふつふつと思いが湧き起こった。「この私を大切にできるのは、他ならぬ私以外に存在しないではないか」と。
 
それからの1年は、砕けた心と倒れた自律神経を治すための1年だった。いつの間にかするする減っていく体重を呆然と眺めているだけではダメだと思った。一度ゼロになってしまった食欲を取り戻すことは、返って自分の食生活を見直す貴重なきっかけとなった。外食はほとんどしなくなり、食事はほぼすべて自炊に切り替えた。毎日のお弁当づくりは日常の中の大切な楽しみのひとつになった。眠れぬ長い夜が怒りや悔しさを目覚めさせ、心に攻撃をしかけてきた。夜がかきむしるほど憎く思える。だから少しでもと眠気を欲して、ウォーキングを始めた。そのうち黙々と歩き続けるだけでは物足りなくなってきた。「頭の中に音楽が欲しい。ステップが欲しい」と思うようになり、ヒップホップダンスのレッスンに通い始めた。ずっと習ってみたかったから「いまだ」と思ったのだ。若い女の子達の中に40代が一人混じり、どたばたとステップを踏む。でも年下のメンバー達はいつも私に優しく大らかで、何よりも私は久しぶりの部活の雰囲気を心から楽しいと思えた。毎週月曜のレッスンに向けて、ダンスの振りを覚える。手や足はどう伸ばし、どう曲げたらきれいに見えるか。自宅の鏡に自分を映しながら踊ることが日夜の日課となった。自分の傷で自分の感性をつぶしたくなかったから、旅行や美術館巡りにも勤しんだ。目にはなるべく美しいものを映そうと心がけた。
そして、そんなリハビリと治癒の道のりに居る自分を定点観測すべく秘めフォトで撮影し続けた。「自分を愛する」このことをこれほどまでに自分に言い聞かせてきた1年間は今までなかった。写真は不思議だ。見えないものを見せてくれる。普段は見ることがない私の姿が、私に向かって話しかけてくる。「自分を大切にしよう」自分の姿からその言葉を何度でも受け取るため、私は写真を撮り続けた。「自分を愛すること」がどういうことなのか分からなくなっていた私にとって、いつしか写真はお守りのような存在となった。何度も撮影に参加するうちに「下着姿で会っていないと気恥しい間柄」という不思議な友達にも巡り合えた。たびたび撮影を共にするその人がいつものように美しくカメラの前に立つのを見ると、なぜか私は自分のことのように嬉しくなる。推しの境地なのかもしれない。
 
そうやって文字通り自分自身を見つめながら1年が過ぎた。改めて、1年前と今の写真を見比べてみる。上の写真が1年前、髪の短い下の写真がつい先日。私は、今の写真の方が圧倒的に好きだと思う。諦めなかった自分がここに写っている。「自分を愛そう」と思い続けてきた自分がここに写っている。目に力があるのは下の写真の方だと思う。これが今の私、そう思うと、自分のことが何とも誇らしい。1年前、私は自分がこんなふうに自分を肯定できるようになるとは思ってもみなかった。
 
砕けた心、倒れた自律神経。1年かけてやっと傷は癒え、心と体が元気を取り戻した。だから、もうここまででいいのかもしれないとも思う。でも、三浦さんが誘ってくれたからというのだけが、絶対零度への参加の理由ではない。これからの1年は一人ではなく、みんなと頑張るのだと思うと、わくわくしたからだ。美を極めようとする個人同士が堂々と応援しあって頑張るなんてなんて素敵だろう。「絶対にきれいになる!!」と息巻くみんなの熱気でこのグループページはまるで温室のようだ。きっと必ず芽は育って、大きく大きく花が咲く。そう思うとわくわくが止まらない。1年前、絶望の渦中に居た私にこの姿をすぐにでも見せてあげたいくらいだ。
 
もしも、あなたが今、何かに傷付いているとしよう。でも絶対に大丈夫だと私が大きな声で言おう。一年前の私、今の私、どちらの私もあなたに向かって「大丈夫!」「私も大丈夫になったのだから、大丈夫!」と言っている。だから一緒に頑張ろう。
 
風船が再び膨らんでいるのを、今、胸の中に感じている。「これだ!」と思える最高にきれいな自分の写真を目にすることが、今の私の目標だ。みんなが居る。きっと大丈夫、もっときれいになれる。
 
 
 

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この記事は、天狼院書店の「絶対麗度ライティング」にご参加の方が書いたものです。

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2024-02-24 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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