メディアグランプリ

おいしいごはんで語学スイッチがONになった話


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:きむらあや(ライティング・ゼミ2月コース)
 
 
ずっと、語学に苦手意識があった。
 
そもそも、人と話すことがあまりうまくないと思う。
初対面の人と話すときは、うまい言葉がでてこない。
少し打ち解けた関係になると、余計なことまで話しすぎてしまう。
 
母国語での日本語でのコミュニケーションでさえこんな有様である私にとって、外国語で話すことはものすごくハードルが高いことであった。
 
でも、それは思い込みだったのかもしれない。
 
これを書いている前日まで、出張でインドネシアに行っていた。
出張先での業務そのものは、現地の言葉が話せなくても問題なかった。加えて、直前まで別の仕事のことで手いっぱいだったこともあり、インドネシア語を予習する時間がほとんどなく、ほぼ丸腰でジャカルタに飛び込んだのであった。
 
幸い、このたびの出張では、ジャカルタ在住の日本人の方々との縁に恵まれており、仕事はもちろん、ジャカルタでの過ごし方、楽しみ方まで、何から何までお世話になった。
 
特にありがたかったのは、食事について指南いただけたことだった。
恥ずかしながら、渡航までインドネシア料理と言えば「ナシゴレン」「ミーゴレン」くらいしか知らなかった私(と、チームメンバー)。最初の食事は、到着日の夕食であった。
 
8時間のフライトで疲れ果てた我々には、最初の夕食をどこにするか考える余裕がなかった。それを救ってくれたのが、同僚の知人でジャカルタ在住のKさんであった。
直接やりとりしてくれていたのは同僚だったが、恐らくフライトでへとへとになっていることを見越して、「到着して、食事に出られそうならでいいよ。もし休みたかったらそれでもいいし」と言ってくれているらしい。もうそれだけで優しさが疲れた体に染みわたる。
ぜひぜひ、とお伝えいただいて、ホテルまで迎えに来てくださったKさん。予約をしてくれていたのは、インドネシア料理を提供するちょっと“いい“レストランだった。
初めての本格的なインドネシア料理。写真を見ても、どんな味がするのかあまり想像がつかない。「これは日本人の口に合うと思う」「これはあんまりおすすめしないよ」「これはすごく辛い」などなど、いただいたアドバイスはすべてその通りにオーダーしてみる。
 
「お、おいしい~~~~~!!!!!!」
 
提供された料理はとってもおいしかった。
日本の焼き鳥に似ている「サテ」や、日本では食べたことがない葉野菜の炒め物、スープ、大豆を発酵させた「テンペ」など。
 
それまでは、東南アジアは初めてだったので、食べ物の好みが合うか正直少し不安だったが、「インドネシア料理、好き!!!」と頭の中でスイッチが押されたのを感じた。
 
翌日は、ジャカルタ州から出て、郊外へ視察に行った。そこをアテンドしてくださった別の日本人のRさんがお昼に連れて行ってくれたのが、インドネシア料理のファストフード的なお店「ソラリア」だった。
 
このお店は、メニュー名が印刷されたオーダーシートに注文数を記載して、レジに持って行って支払う方式だった。つまり、食べたいものを決めるのにインドネシア語の文字情報しか与えられていないのである。しかも、メニューはおそらく100種類くらいある。
 
面食らう我々に、Rさんがメニューの見方や言葉の意味を教えてくれる。
「nasi(ナシ)」は「ごはん」、「Mie(ミー)」は「麺」。
「Goreng(ゴレン)」は「揚げる」とか「油いため」、「Siram(シラム)」は「あんかけ」。
「Ayam(アヤム)」は「鶏肉」、「Sapi(サピ)」は「牛肉」。
 
いくつか単語を教えてもらうと、インドネシアの料理名の構造がなんとなくわかってくる。
「メイン食材+調理方法+サブ食材」という法則だ。
私は、「Mie Siram Sapi(ミーシラムサピ)」、「牛肉あんかけ麺」をオーダーした。これもすご~くおいしかった。
 
そして、「やっぱりインドネシア料理、おいしい!」と思うと同時に、「インドネシア語、わかってきたかも! 楽しい!」のスイッチも入ったのを感じた。
 
それから、食事の際に、メニューを見てオーダーをするのが急に楽しくなった。
メニュー名からどんな料理かがなんとなくわかるだけで、会話らしい会話はとうていできないが、数字の「1(satu、サトゥ)」「2(dua、ドゥア)」「3(tiga、ティガ)」を組み合わせれば、「インドネシア語だけを使って」オーダーができる。発音が悪くても、インドネシアの人々はとても優しくて、丁寧に聞き返して確認してくれる。
「自分は語学が苦手」と、自分で自分の可能性にフタしてきたところがある私にとって、非常に大きな成功体験であった。
 
滞在中の10日間で、メニュー名から発展して、食事がらみで「辛い」「熱い」「冷たい」「シェアする」など、少しずつインドネシア語の語彙を覚えることができた。
 
言語って使いながら学ぶと習得が早いんだなあ、と、先人から耳にタコができるくらい聞いたことを、私は今、初めて実感できた。
気付きを与えてくれたおいしいインドネシア料理と、インドネシアで出会った優しいみなさんに「Terima kasih banyak(トゥリマカシバニャッ)」、本当にありがとう、と感謝を伝えたい。
 
次に訪問するまでには、食べ物のこと以外でもインドネシア語で少し会話ができるくらいにはなっていたい。
他の国にも、まずは食べ物に関する語彙を身に着けて、訪れてみたい。
おみやげに買ったテンペチップスをかじりながら、しみじみと思うのであった。
 
 
 
 
***
 
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

お問い合わせ


■メールでのお問い合わせ:お問い合せフォーム

■各店舗へのお問い合わせ
*天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。


■天狼院書店「東京天狼院」

〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
TEL:03-6914-3618/FAX:03-6914-0168
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
*定休日:木曜日(イベント時臨時営業)


■天狼院書店「福岡天狼院」

〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
TEL:092-518-7435/FAX:092-518-4149
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00


■天狼院書店「京都天狼院」

〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
TEL:075-708-3930/FAX:075-708-3931
営業時間:10:00〜22:00


■天狼院書店「Esola池袋店 STYLE for Biz」

〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-12-1 Esola池袋2F
営業時間:10:30〜21:30
TEL:03-6914-0167/FAX:03-6914-0168


■天狼院書店「プレイアトレ土浦店」

〒300-0035 茨城県土浦市有明町1-30 プレイアトレ土浦2F
営業時間:9:00~22:00
TEL:029-897-3325



2024-03-27 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事